「深海熱水孔での独立栄養生物」が最初の生命とする説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 07:05 UTC 版)
「生命の起源」の記事における「「深海熱水孔での独立栄養生物」が最初の生命とする説」の解説
そもそも、生命の起源を考察するなかでは「最初の生命は独立栄養的だったのか、従属栄養的だったのか(炭素源は無機化合物であるかどうか)」という論争も絶えない。 1970年代に深海熱水孔(熱水噴出孔)がアルビン号によって発見されて以降、「最初の生命は独立栄養生物だった」とする説を支持するような説がいくつか提唱されるようになっている。深海熱水孔の発見は、「深海はほとんど生物の存在しない世界である」とする当時の一般的な通説、学説を一変させるものであった。太陽エネルギーの存在しない深海で、原核生物や多細胞生物を含めた真核生物が独自の生態系を形成している様子は、多くの学者を驚かせた。地上の生態系は、植物が「一次生産者」となり、動物が「消費者」、細菌や菌を「分解者」とする、太陽エネルギーに依存した物質の流れが基本である。しかしながら深海熱水孔においては、熱水孔から排出される還元物質を酸化しながら炭酸固定をしている化学合成独立栄養生物(硫黄酸化細菌など)が一次生産者であった。こうした、太陽エネルギーに依存しない生態系を発見したことから、「生命の起源は、還元的物質が地球内部から発生する深海熱水孔に由来するのではないか」という説が現れた。 ロンドン大学UCLの研究チームは、『ネイチャー』2017年3月2日号において、カナダのケベック州で採取した岩石中にある微細な筒状・繊維状構造物が、熱水噴出孔により活動していた生命の痕跡である可能性がある、と発表した。生命の痕跡としては最古級(42億8000万年前 - 37億7000万年前)と推定しているが、これら構造物の成因や年代については異論もある。 日本の海洋研究開発機構と理化学研究所は、「深海熱水孔の周囲で微弱な電流を確認し、これが生命を発生させる役割を果たした可能性がある」との研究結果を2017年5月に発表した。
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