「お義理で拍手するのはやめてほしい」事件とは? わかりやすく解説

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「お義理で拍手するのはやめてほしい」事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/24 16:20 UTC 版)

岩城宏之」の記事における「「お義理で拍手するのはやめてほしい」事件」の解説

N響指揮者称号贈られ1969年10月岩城N響史上画期的大胆な試み持った定期公演2度にわたり指揮をした。プログラム以下の通りであった2つプログラム当時先端をゆく日本の作曲家現代作品だけで構成され岩城この手演奏会に対して一度やってみたかった」と「強行することに対する不安」の2つ相反する気持ち持ち合わせつつ指揮台上がった。 第530定期公演1969年10月2324日/東京文化会館黛敏郎:『BUGAKU舞楽)』 入野義朗:『小管弦楽のためのシンフォニエッタ』(1953) 平吉毅州:『交響変奏曲武満徹:『ノヴェンバー・ステップス』(琵琶鶴田錦史尺八横山勝也) 第531定期公演1969年10月29・30日/東京文化会館柴田南雄:『シンフォニア三善晃:『管弦楽のための変奏曲武満徹:『テクスチュアズ』 諸井誠ピアノ協奏曲ピアノ木村かをり) 間宮芳生:『オーケストラのための2つタブロー'65事件10月29日の第531定期公演起こった三善の『管弦楽のための変奏曲』が終わった直後岩城指揮台降りて観客に対して次のように言った。「お義理拍手するはやめてほしい。つまらないと思ったヤジってけっこうです。よいと思った盛大に拍手してほしい」。続く武満の『テクスチュアズ』の演奏終わったあと、岩城は再び観客に対してああいうことをいったからといって、そう拍手してくれなくても……」と二度にわたり語った岩城によれば、第530定期公演は「反響大きく、僕自身も実に感動した内容であった。その流れで第531回の指揮台上がったところ、第1曲の柴田シンフォニア』の演奏対す拍手が「儀礼的で、冷たい」と岩城感じた。2曲目三善管弦楽のための変奏曲』は「演奏困難なくらいむずかしい」作品であったが、この時は「うまくいった」。岩城コンサートマスター田中千香士に「うまくいったね」という意味合い笑顔返したところ、観客が「曲が終わっていない」と勘違いしたのか拍手止めてしまった。このハプニング岩城は「演奏家のわがままをいわせてもらえばしかったんです」。岩城が「お義理拍手するのは……」と言ったのにはそのような背景があり、次の『テクスチュアズ』終了後拍手に対して思わず「ああいうことを……」と言ったのであるが、岩城自身はこれについては「まったく余計だった思います」と反省し、さらに演奏会終了後には一連の演説」について「ああしたことはいうべきでなかったか、と苦しんだ」という。観客の反応としては1つ例を挙げるなら、女性会員一人が「ああいう曲になれていないから、曲がどこで終わるものかわからない、あの場合は、多くの人が拍手するタイミング逸してしまったのではないか」、「邦人作品は必ずしも慰めやら憩にはならないではないかプログラムのうちに1曲ぐいだった我慢もできるが、全曲ではとてもかならわない」といった趣旨感想述べた。ほかにも「岩城不遜だったのではないか」という趣旨厳し意見や、逆に岩城発言意思理解して擁護する意見寄せられた。岩城の「演説に関する論争N響会員の間のみならず、やがて週刊誌取り上げるほどの話題となった岩城かねがねN響が「ドイツ二流オーケストラコピー」的な存在甘んじることに対して批判的であり、第530回、第531回の両定期公演岩城の「新し方針くわえた」夢のプログラムでもあった。また、岩城は「N響はもちろん日本オーケストラですから - 日本の曲をやらなければならないベートーベンだけ、あるいは、ヨーロッパ作品だけを演奏するわけにはいかない」、「個性国民性のつよく持った作品が、逆に普遍性を持つ」という信念から「N響あわてふためいて日本現代音楽やり出すんでは手遅れ」と感じており、「そんな4~5年先を読んだ上でこうしたプロ強行したんです」と説明している。さらに岩城自身、「現役活動期にある作曲家作品だけを集めて、2回・4夜の演奏会りっぱなプログラム組める国、すなわちそれだけの秀れたレヴェル作曲家持っている国というのは、はっきりいって世界日本だけしかないと思うんです」と自負しており、一連の演奏会に関しては「僕はたいへんな自信誇り持っているんです」とも述べたそのうえでお義理拍手するのは……」発言については、「日本現代音楽対す反応についてだけを、いったつもりではなくて日本の音楽全般聴衆反応についていったつもりなんです」と説明した岩城この後ブラームス作品武満石井眞木廣瀬量平作品組み合わせるプログラムを組むなど、N響日本現代作品の紹介務めた岩城一件から14年後の1982年3月N響尾高賞30周年記念して1912年から1980年作曲され日本人の手による管弦楽作品1600曲から専門家15曲を厳選し外山雄三指揮する3つの定期公演(第865回、第866回、第867回)を開いた。ところが、N響定期公演においてこのような日本人作曲家作品のみのプログラム組まれるのはこれが最後となり、尾高賞受賞作品披露も特別演奏会経てMusic Tomorrow」に移されるなど、「日本人作品盛り立てる」という意味では岩城願いとは違う流れとなっている。

※この「「お義理で拍手するのはやめてほしい」事件」の解説は、「岩城宏之」の解説の一部です。
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