RING (アーケードゲーム基板)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/16 00:13 UTC 版)
概要
アーキテクチャはPCベースで構成されており、アプリケーション開発は容易である。これにOSとしてWindows XPベースのMicrosoft Windows Embedded Standard 2009を採用。これにより実質上セガ専用基板状態であったLinuxベースのLINDBERGH以上にアプリケーション開発がしやすくなり、他社からもアプリケーションが供給されている。アプリケーションは引き続きDVDで供給される他、ALL.Net P-ras MULTI Ver.2対応タイトルはネットワーク経由でダウンロード配信される。 RINGシリーズよりNAOMI GD-ROMからLINDBERGHまで使用されたPICを利用したセキュリティキーチップが廃止され、新たなキーチップが採用された。これは当時海外にてセキュリティが解析され、キーチップの不正コピーが出回っていたことが原因と考えられる。キーチップが無いとゲームは読み込まれず起動しないため、ゲームソフトの不正なコピーを防止することが出来る。 電源投入後、数秒間のBIOS起動画面(ハニカム状の画面と下部にコンソール表示)を経てWindows XP起動ロゴが表示される[2]。その後RINGシリーズのロゴ、ゲームの起動状況およびメインID、キーチップIDが表示され、ゲームがロードされる。[3]。
RINGEDGE対応の第1弾タイトルとしてサードパーソン・シューティングゲームの新作『ボーダーブレイク』を発表。2009年9月から2019年9月までの稼働。(ともに9月9日)
RINGWIDE対応の第1弾タイトルとして児童向けトレーディングカードアーケードゲームの新作『歴史大戦ゲッテンカ』を発表。2009年11月から2011年12月まで稼動。
RINGEDGE2対応の第1弾タイトルとして競馬メダルゲーム『STARHORSE』シリーズ3作目『STARHORSE3』を発表。2011年11月から稼働している。
さらにいくつかのタイトルがRINGシリーズ対応として発表されている。
他社の同様のPCベース基板と比べると、エアフロー対策や特殊I/Oにも対応しているなど、LINDBERGHシリーズ同様に業務用ゲーム向けの特徴が際だっている。動作が不安定になる弊害が頻繁に発生していたLINDBERGHシリーズの反省(電源周りの電圧低下・ノイズの影響の受けやすさ・当時としては超高発熱のCPUを搭載していたこと・環境次第では熱暴走を引き起こしやすく、グラフィックが安定しなくなるなど)を活かし、ミドルレンジモデルのRINGEDGEとハイエンドモデルRINGEDGE2は電源内蔵に変更。FlexATXサイズの電源ユニットを採用し、AC INコネクタも通常のC14ソケット-C13プラグの組み合わせではなく専用のソケットとプラグに形状変更されている。ちなみにローエンドモデルのRINGWIDEは電源外付けのままであるが、LINDBERGHシリーズと比較しても入力コネクタの数が圧倒的に少なく、汎用電源を使用する形で電源を確保している。これにより電源周りの電圧低下のリスクとノイズの影響による問題は低減された。
RINGEDGE2採用タイトルである『CODE OF JOKER』の一部で、起動しなかったり、画面表示の異常(ブラックアウトやブロックノイズ等)といったトラブルが発生していた。原因は同基板で使用しているビデオカードが製造元のリコール対象製品であったためである。このため対象部材の無償交換、有償修理済みの場合は返金対応が行われた[4]。
2017年以降は対応タイトルの一部において、使用している筐体の部品調達難やネットワークサービス終了に伴い、修理サポートを終了するタイトルが相次いでいる。2017年3月31日を以って一部タイトル[5]、2018年2月28日を以って『MELTY BLOOD Actress Again Current Code』並びに、2017年にネットワークサービスが終了した『戦国大戦』と『ぷよぷよ!!クエスト Arcade』の修理サポートがそれぞれ終了した[6]。『頭文字D ARCADE STAGE』シリーズ(「6AA」〜「8 インフィニティ」)と『OPERATION G.H.O.S.T.』も、2020年2月28日を以って修理サポートを終了した[7]。『ボーダーブレイク』シリーズ、『WORLD CLUB Champion Football』シリーズ、『CODE OF JOKER』シリーズ、『STARBOAT』シリーズ、『ホルカ×トルカ』の修理サポートも2021年2月26日をもって終了した[8]。
基板スペック
RINGEDGE2については2017年現在、スペックは公にされてはいないが採用した戦国大戦のサービス終了にともなう筐体撤去や日本国外で現品を入手した現地人による情報により判明している。外観はRINGEDGEとほぼ同じでありながら、上位のCPUとGPUが採用されている。これは、カスタムマザーならではのカスタマイズ性を活かし、RINGEDGEの端子類をそのままに、上位のチップセットとCPUソケットを採用させたために出来たことである。なお、ビデオカードとして採用されたGeForce GT545は一般向けには販売されていないOEMモデルとなっている。
RINGEDGE
- CPU
- インテルPentium Dual-Core E2160 1.8GHz[9]
- メインメモリ
- DDR2 SDRAM PC2-6400 1GB
- ビデオカード
- NVIDIA製GeForce9600GS GDDR3 VRAM384MB搭載 PCI Express接続[10]
- Shader Model4.0、2画面同時出力も可能。最大解像度1920×1200
- サウンド
- High Definition Audio。5.1chサラウンド出力対応
- 入出力
- アナログ・デジタル2ポートDVI-I端子×2(GPUから出力)
- オンボードLAN
- 業務用ゲーム入出力 JVS I/Oコネクタ
- シリアル3ch
- USB 2.0×3ポート(mini USB仕様)[11]
- ストレージ
- TDK製GBDISK RS2 SATA SSD 32GB
- その他
- ALL.Netサービス標準対応
RINGWIDE
- CPU
- インテルCeleron 440 2.0GHz[12]
- メインメモリ
- DDR2 SDRAM PC2-5300 1GB
- ビデオカード
- AMD製GPU RADEON HD GDDR3 VRAM128MB搭載 メインメモリより拡張可能 PCI Express接続[13]
- Shader Model4.0、2画面同時出力も可能。最大解像度1920×1200
- サウンド
- High Definition Audio。5.1chサラウンド出力対応
- 入出力
- アナログ出力 D-Sub 15pin×1 - シリアルコネクタ側に配置されている。
- アナログ・デジタルDVI-I端子×1 - PCIポート側に配置されている。
- オンボードLAN
- 業務用ゲーム入出力 JVS I/Oコネクタ
- シリアル3ch
- USB 2.0×2ポート(mini USB仕様)
- ストレージ
- TDK製GBDISK RS2 SATA SSD 8GB
- その他
- ALL.Netサービス標準対応
RINGEDGE2
出典:SYSTEM 16 THE ARCADE MUSEUM[14]
- CPU
- Intel Core i3 540 3.06GHz [15]
- メインメモリ
- DDR3 SDRAM PC3-10600 2GB [16]:STARHORSE3 向けの一部筐体には4GB搭載品が存在する(PC3-10600 4GB 1枚実装)
- ビデオカード
- NVIDIA製GeForceGT545 GDDR5 VRAM1GB搭載 PCI Express接続[17]
- Shader Model4.0、2画面同時出力も可能。最大解像度1920×1200 60fps
- サウンド
- High Definition Audio。5.1chサラウンド出力対応
- 入出力
- アナログ・デジタル2ポートDVI-I端子×2(GPUから出力)
- オンボードLAN
- 業務用ゲーム入出力 JVS I/Oコネクタ
- シリアル3ch
- USB 2.0×3ポート(mini USB仕様)
- ストレージ
- TDK製GBDISK RS3 SATA SSD 32GB:STARHORSE3 向けの一部筐体には 同製品の64GB 搭載品が存在する。
- その他
- ALL.Netサービス標準対応
- ^ Linuxベースのオリジナルモデルに当たるLINDBERGH(YELLOW)、同じくLinuxベースのローエンドモデルに当たるLINDBERGH REDとその上位版に当たるLINDBERGH RED EX、そしてWindowsベースのLINDBERGH BLUE
- ^ 但し稀なケースではあるが、アストロシティやブラストシティ、ネットシティ、MJ2非ワイド筐体等のブラウン管を使用した筐体に基板を接続・搭載した場合は、電源投入直後はこれらの表示が省略されているか途中から始まる場合がある。これはブラウン管の特性にあり、長期間使用され続けてきたブラウン管では完全に表示されるまでに時間を要するためである。
- ^ ゲームロードの手順は、まずOS起動直後のイニシャライズ(初期化)から始まり、ゲームイメージのマウント・ベリファイ、付随するアプリケーションの立ち上げを経てゲームプログラムが起動。その後ゲームプログラム内での各種システムチェックを経て、エラーが無ければ英文による「このゲームは日本国内専用です」という内容の警告文こと権利表記が表示される。そしてアドバタイズ画面が表示された時点でゲームの起動が完了し、プレイすることが出来るようになる。
- ^ 「CODE OF JOKER」機「起動しない/画面が消える」不具合発生時のお願いセガ・ロジスティクスサービス 2013年12月
- ^ 弊社製品保守対応の終了についてセガ・インタラクティブ、セガ・ロジスティクスサービス 2016年11月
- ^ 弊社製品保守対応の終了についてセガ・インタラクティブ、セガ・ロジスティクスサービス 2017年4月
- ^ 弊社製品保守対応の終了についてセガ・インタラクティブ、セガ・ロジスティクスサービス 2019年5月
- ^ 弊社製品保守対応の終了についてセガ、セガ・ロジスティクスサービス 2020年7月
- ^ CoreマイクロアーキテクチャMeromファミリのAllendale-1M(アレンデール)を採用
- ^ フルサイズPCI 1スロット占有
- ^ LINDBERGHシリーズは後付けされていたが、RINGシリーズはカスタムマザーならではのカスタマイズ性を活かし標準装備となった
- ^ CoreマイクロアーキテクチャMeromファミリのConroe-L(コンローエル)を採用
- ^ カスタムマザーならではのカスタマイズ性を活かし、オンボード化されている。これを自作PCで例えるなら、ロープロファイルサイズのビデオボードを延長コネクタ或いはアダプタを介して接続し、横向きに配置。更にD-Sub15pinをシリアルコネクタ側に延長していると考えると分かりやすい。
- ^ SYSTEM 16 THE ARCADE MUSEUMより、スペック情報を一部引用
- ^ NehalemマイクロアーキテクチャWestmereファミリーのClarkdale(クラークデール)を採用
- ^ 上位のCPUが採用されたことに伴い、メインメモリも上位の規格が採用された。
- ^ フルサイズPCI 2スロット占有
- 1 RING (アーケードゲーム基板)とは
- 2 RING (アーケードゲーム基板)の概要
- 3 対応ゲーム
- 4 後継汎用基板
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