顔料 顔料に要求される性能

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顔料

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/18 14:00 UTC 版)

顔料に要求される性能

分光反射率、着色力

色相が鮮明で、着色力が強いものが望ましい。

透明性または隠蔽性

透明性屈折率粒子径に依存する[6][7]。一般に媒剤との屈折率が近似すれば透明になる。また可視光線波長の半分以下の粒子径では透明になるが、それ以上では小さいほど不透明になる。要求される透明性の度合いは目的によって異なる。塗料に用いるものは不透明性(隠蔽性)を要求されるが、三原色シアンマゼンタイエローキーの4色のインキ(CMYK)を重ねるカラー印刷には、透明色が使用される。

分散性

顔料が粉体のまま使われることはほとんどなく、塗料・インキ・絵具クレヨンクレパス・カラーマーカー等の形で使われる。これらは顔料を水や油・溶剤樹脂ワックスなどのバインダーと練り合わせたものである。顔料は使用目的に応じてバインダーに対しての分散性を要求される。分散が損なわれれば、現象として発色が阻害され、鈍い色合いになったり不鮮明に発色する。またバインダーとの相性次第では、粘度が高く扱いにくくなる場合もある。分散性を制御するために顔料の表面を改良し、分散性を向上させる技術が知られている。

耐性

耐光性
有機顔料の化学構造は、太陽光や紫外線に弱く、屋外の直射日光が当たるところでは色が無くなり易い。屋外に長期間掲示されたポスターの写真が青黒くなっているのは黄と紅の色が無くなって藍と黒のみが残った結果である。長期掲示されるポスター類には有機顔料の中でも耐光性の良いものが使われる。無機顔料は一般的に耐光性が良好で、建築物の塗料に多用される。工業的に耐光性は促進試験機で光を曝露して評価される。ブルースケールと呼ばれる褪色度の異なる8種類の染料で染色された標準布を試料と同環境に置き、試料の褪色の程度をブルースケールと比較して8段階の評価を数値化して表示する。
耐候性
英語ではWeather Fastnessと表示されており、主に塗料塗膜で日光曝露をして褪色の程度をJISグレースケールで5段階評価する。耐光性との違いは屋外で曝露するため、雨、また降雨に含まれる化学物質の影響を受ける。
耐熱性
陶器の着色など焼き付ける場合には最も高い耐熱性が求められる。プラスチックの着色に使う場合はその軟化点以上、レトルトパックの印刷には100℃の沸騰水に耐える顔料が求められる。
耐溶剤性
顔料は溶媒・溶剤に不溶であることが定義であるが、有機顔料の場合多かれ少なかれ溶媒に対して溶ける。使用用途により条件は様々であるが、温度や溶媒の極性により溶出度は大きく異なる。特定溶剤に規定時間湿潤した後、溶出した色の程度で評価する。

その他、使用目的によって耐水性・耐油性・耐アルカリ性/耐酸性(耐薬品性)等の耐性が求められる。


  1. ^ Market Study: Pigments”. Ceresana Research. 2010年8月8日閲覧。
  2. ^ 俗に、カラーインデックス名。ただし、Colour Index Constitution Numberをカラーインデックス名とする誤用もある。
  3. ^ 俗に、カラーインデックス番号。ただし、Generic Nameをカラーインデックス番号とする誤用もある。
  4. ^ 『有機顔料ハンドブック』 橋本勲 カラーオフィス 2006.5
  5. ^ SINLOIHI 蛍光塗料・蛍光顔料シンロイヒ
  6. ^ 一見敏男 (1980). “顔料の色の話”. 化学教育 (日本化学会) 28 (1): 32-35. NAID 110001822628. 
  7. ^ 大塚淳. “顔料”. 日本大百科全書(ニッポニカ). 小学館. 2016年12月9日閲覧。
  8. ^ a b c 顔料技術研究会編 『色と顔料の世界』 三共出版 2017 ISBN 978-4-7827-0759-3 pp.213-219.
  9. ^ 『世界大百科事典 第2版』 平凡社、2009年。
  10. ^ Kassinger, Ruth G. (2003-02-06). Dyes: From Sea Snails to Synthetics. 21st century. ISBN 0-7613-2112-8. https://books.google.co.jp/books?id=5pWAWgq5My4C&printsec=frontcover&dq=Dyes:+From+Sea+Snails+to+Synthetics&hl=ja&ei=NlJfTIWyFoy4vQO71_iZDA&sa=X&oi=book_result&ct=result&redir_esc=y#v=onepage&q&f=false 
  11. ^ Theopompus, cited by Athenaeus [12.526] in c. 200 BCE; according to Gulick, Charles Barton. (1941). Athenaeus, The Deipnosophists. Cambridge: Harvard University Press.
  12. ^ Michel Pastoureau (2001-10-01). Blue: The History of a Color. Princeton University Press. ISBN 0-691-09050-5 
  13. ^ Jan Wouters, Noemi Rosario-Chirinos (1992). “Dye Analysis of Pre-Columbian Peruvian Textiles with High-Performance Liquid Chromatography and Diode-Array Detection”. Journal of the American Institute for Conservation (The American Institute for Conservation of Historic &#38) 31 (2): 237–255. doi:10.2307/3179495. JSTOR 10.2307/3179495. http://links.jstor.org/sici?sici=0197-1360(199222)31%3A2%3C237%3ADAOPPT%3E2.0.CO%3B2-7. 
  14. ^ Amy Butler Greenfield (2005-04-26). A Perfect Red: Empire, Espionage, and the Quest for the Color of Desire. HarperCollins. ISBN 0-06-052275-5 
  15. ^ a b Pigments Through the Ages”. WebExhibits.org. 2007年10月18日閲覧。
  16. ^ Rossotti, Hazel (1983). Colour: Why the World Isn't Grey. Princeton, NJ: Princeton University Press. ISBN 0-691-02386-7 
  17. ^ Simon Garfield (2000). Mauve: How One Man Invented a Color That Changed the World. Faber and Faber. ISBN 0-393-02005-3 
  18. ^ Jeff Behan. “The bug that changed history”. 2006年6月26日閲覧。


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