順位・規模法則 順位・規模法則の概要

順位・規模法則

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/12 22:55 UTC 版)

本記事においては、都市の順位・規模法則について扱う。

概要

ある地域内に存在する都市について、地域内で人口第2位の都市の人口は人口第1位の都市の人口の半分、第3位の都市の人口は第1位の都市の

都市の人口規模と人口順位の関係
両対数グラフで示している。

世界各国の都市の順位と都市の規模を両対数グラフで示すと、3種類のパターンに分けることができる[14]

  1. 順位・規模パターン(グラフ中の緑色直線
    対数正規型ともいう[15]。主に先進国のように高度に都市化が進んでいる国でみられる[9]外国への経済依存が低く、政体連邦制である国がこのパターンになりやすい[16]
  2. プライメイトパターン(グラフ中の赤色曲線
    首位都市型ともいう[15]。主に人口が少なく面積の小さい国に見られるが、例外的にフランスはこのパターンを示す[14]。外国への経済依存が高く、経済への政府の介入の多い国がこのパターンになりやすい[16]。経済発展の過程で次第に順位・規模法則パターンに移行していく[16]
  3. ポリーナリィパターン(グラフ中の青色の曲線)
    複数の都市がほぼ同規模で上位を占め、下位の都市が順位・規模法則パターンを示す[14]オーストラリアなどに見られる[14]

プライマシィ指数

プライマシィ指数(Index of primacy、首位性指数)は、プライメイトシティ(首位都市)の首位性(プライマシィ、primacy)を測定する指標である[14][15]。この値が高いほど首位性が高い、すなわちプライメイトパターンに近いと言える[14]。プライマシィ指数は第1位の都市の人口を第2位の都市の人口で割って算出する[14]。例えばフランスの場合、パリ大都市圏の人口が931.9万人、第2位のリヨン大都市圏の人口が126.2万人(いずれも1990年現在)である[9]から、プライマシィ指数Iは、I=931.9/126.2≒7.384となる。日本の場合、関東大都市圏の人口が37,273,866人、第2位の近畿大都市圏の人口が19,302,746人(いずれも2015年10月1日現在、国勢調査)であるから、プライマシィ指数Iは、I=37273866/19302746≒1.931となる。発展途上国、とくにラテンアメリカ諸国は高い値を示す[14]

首位性が高い(プライマシィ指数が高い)ことは、国全体の規模の経済集積の経済の恩恵を受けることができるとする肯定的見解と、生活水準の不均衡や農村の退廃をもたらすとする否定的見解の両方がある[16]


注釈

  1. ^ 先進国であっても、フランスのように中央集権の強い国では順位・規模法則が成立しない[10]
  2. ^ このように、全体と部分が相似であるものを自己相似という[11]
  3. ^ 調査時点の日本の市町村数は3245あった[18]

出典

  1. ^ Konishi and Nishiyama(2009):2869ページ
  2. ^ a b 高橋ほか(1997):73ページ
  3. ^ 吉村(1995):37ページ
  4. ^ 吉村・山根(2004):7ページ
  5. ^ 杉浦ほか(2005):142ページ
  6. ^ 高橋ほか(1997):73 - 74ページ
  7. ^ a b 高橋ほか(1997):74ページ
  8. ^ 吉村(1995):38ページ
  9. ^ a b c d 高橋ほか(1997):75ページ
  10. ^ 高橋ほか(1997):75 - 76ページ
  11. ^ 杉浦ほか(2005):143ページ
  12. ^ Suzuki(1983):61ページ
  13. ^ Suzuki(1983):62ページ
  14. ^ a b c d e f g h 高橋ほか(1997):76ページ
  15. ^ a b c 張(2006):96ページ
  16. ^ a b c d 高橋ほか(1997):78ページ
  17. ^ a b 吉村(1995):38 - 41ページ
  18. ^ 吉村(1995):40ページ
  19. ^ 張(2006):95ページ
  20. ^ 張(2006):96 - 101ページ
  21. ^ 角本(2008):6ページ
  22. ^ 角本(2008):5ページ
  23. ^ 角本(2008):6 - 15ページ


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