金子信雄 来歴・人物

金子信雄

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/22 13:59 UTC 版)

来歴・人物

東京市下谷区(現・東京都台東区谷中)出身[2]。歯科医の家庭に生まれたが[2]、小学校1年の時から結核を患っており20歳まで闘病生活を送った。京華学園卒業。

1943年(昭和18年)に文学座所属俳優として芸能界入りする[1](当初は演出部に所属した[2])。1946年(昭和21年)に成瀬巳喜男監督の『浦島太郎の後裔』で映画デビュー。1952年(昭和27年)、演劇観の違いから文学座を退団し[1]木村功らと青年俳優クラブを結成した[1]。のちに青俳を脱退。

若い頃から映画・テレビドラマ界では人間臭い悪役として名を馳せ[1]、徹底して脇役、特に憎まれ役を演じることが多かった[2]。1950年代は主に主人公のいけ好かない恋敵や軽薄な男を演じた[2]。1960年代からは、日活全盛期のアクション映画・東映任侠映画やくざ映画で活躍。日活では、主に石原裕次郎小林旭などの銀幕スターに対抗する敵役を演じた[2]。1970年代になると、ずるくてセコくてスケベな上役を演じるようになり[2]仁義なき戦いシリーズシリーズでは、小心でずる賢いヤクザの組長役を全5作を通して見事に演じた[1]。一部では、「仁義なき戦いシリーズの陰の主役」とも評された[2]

1958年(昭和33年)に丹阿彌谷津子と結婚[2]1966年(昭和41年)に丹阿彌と劇団新演劇人クラブ・マールイを結成し、共同経営者となる。団員には松田優作(のち文学座に入座)、柄本明自由劇場を経て劇団東京乾電池を結成)などが在籍した[2]

俳優業以外でも料理研究をライフワークとしており、『うまいものが食べたくて』など食にまつわるエッセイを多数執筆[2]。また1987年(昭和62年)から、朝日放送(ABCテレビ)で自ら考案した料理を披露する番組『金子信雄の楽しい夕食』を放送[1]。金子の料理に加えて、東ちづるが金子にツッコミを入れるなどアシスタントとの絡みも話題を呼んだ[2]。これをまとめた書籍「楽しい夕食シリーズ」(実業之日本社)も発売された。同番組のスポンサー「イカリソース」のCMにも出演したことがあり、同社からタイアップ商品「金子信雄のグルメシェフ」シリーズも発売された。荻窪にかまえたフランス料理店「牡丹亭」のオーナーでもあった。

1995年平成7年)1月20日午前11時43分、細菌性敗血症のため東京都千代田区の病院で死去。71歳没[3][1]。故人の遺志により通夜と告別式は行わなかった[1]。同月11日から銀座セゾン劇場に出演予定であったが前年暮れに体調を崩したため降板していた[1]。また、『楽しい夕食』は死去以前から同年春で終了する事が決まっており、その矢先の死だったため残る2ヶ月近くの放送分は収録ストック分の消化を経て、番組内で金子が作ったレシピを辻調理師専門学校の講師が改めて作るという形で凌いだ。墓所は八王子市の東京霊園。


注釈

  1. ^ 具体的には、子分に泣き落としをしてしょげてみせたかと思えば鋭く恫喝する。その場の状況に応じた言動で器用に立ち回り、ヤクザの抗争の中しぶとく生き残る。

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j 朝日新聞大阪版 1995年1月21日 29面
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah 週刊現代2022年5月28日号「脇役稼業」第10回・金子信雄「悪い奴ほど面白い」p165-172
  3. ^ “個性派俳優、料理も指南・金子信雄さん死亡”. 読売新聞: p. 31. (1995年1月21日) 
  4. ^ 東宝特撮映画全史 1983, p. 538, 「主要特撮作品配役リスト」
  5. ^ 東宝特撮映画大全集 2012, p. 209, 「『ゴジラ』作品解説/俳優名鑑」






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