賭博 経済

賭博

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/06 06:57 UTC 版)

経済

各国において強い規制がかけられている一方で、賭博を楽しむ人々は全世界に存在し、経済的にも大きな存在となっている。2009年には全世界の合法的な商業賭博の総売上は3350億ドルに達した[20]。このうち規模の大きなものは宝くじなどのくじ類と、カジノやゲームマシン、ビンゴ等である。2015年には、オンラインカジノも含む全世界のカジノの売り上げは1828億ドルに達していた[22]。こうした賭博の利益の源泉は、胴元が賭博の売り上げの中から一定の割合で控除する金銭、いわゆるテラ銭である。この控除金額は賭博や地域によって異なっており、一般的にカジノゲームでは2%未満から5%[23]、それぞれ平成20年度で日本の公営競技が25.2%、サッカーくじが50.4%、宝くじが54.3%となっている[24]。宝くじの控除金額は世界的に見ると50%前後が多い[10]。宝くじは古くから公共の利益のために目的税的な利用をされることが多く[25]、国や州などの政府が主体となって販売され、その重要な財源となっている[10]

世界には、アメリカ・ネバダ州ラスベガスのように、賭博を合法化して観光資源の一つとすることで世界中から観光客を集めている都市もある。カジノ事業に乗り出す地域は増加しており、とくに2010年に始まったシンガポールのカジノが大成功を収めたことでこの流れはアジアにおいて加速した[26]。日本でも2016年12月15日に統合型リゾートの設置を目的とした「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(IR推進法)が成立した[27]

カジノの存在する主な都市は、以下のようになっている。この中でも、古くからカジノを中心として栄えたラスベガス[28]、2002年に外国資本にカジノ経営が開放された[29]後に中国大陸の経済成長に伴って急成長し、2013年にはラスベガスの7倍の売り上げを誇るようになったマカオ、2010年のカジノ開設後急速に成長して2013年にはラスベガスと同程度の売り上げとなったシンガポールの3都市が特に規模としては大きい[28]。このほかにも多くの国にカジノは存在し、約140カ国でカジノは合法化されている[30]

合法化 建設 都市 場所 地図
1931年[31] 1931年[31] ラスベガス アメリカ合衆国ネバダ州クラーク郡 北緯36度11分39秒 西経115度13分19秒
1933年 カンピョーネ・ディターリア イタリアロンバルディア州コモ県 北緯45度58分15秒 東経8度58分15秒
1976年[31] 1978年[31] アトランティックシティ アメリカ合衆国ニュージャージー州アトランティック郡 北緯39度22分38秒 西経74度27分04秒
1847年[29] マカオ 中国 マカオ 北緯22度10分00秒 東経113度33分00秒
2005年[26] 2010年[32] シンガポール シンガポール
モンテカルロ モナコ 北緯43度44分23秒 東経7度25分38秒
1962年[33] 1968年[33] ウォーカーヒル 韓国ソウル特別市広津区 北緯37度33分18.8秒 東経127度6分39.2秒

ギャンブル禁止の経済効果

オーストラリアでは、市中のパブクラブスロットマシンが置かれている。店に出入りできる年齢であれば気軽にギャンブルができる環境にあったが、2020年3月23日には、新型コロナウイルスの感染拡大によりパブやクラブが一時閉鎖され、ギャンブルができる環境が失われた。ギャンブル問題を啓発する団体は、閉鎖された後一か月間に少なくとも10億豪ドル(約690億円)がスロットマシンにつぎ込まれずに済んだこと、それら金額が食卓の食べ物、医療費や光熱費、家賃、住宅ローンの支払いに充てられることが可能になったこと、ギャンブル依存症なども緩和されたことなどの効果を指摘した[34]


注釈

  1. ^ サイコロを投げてその目の出方に掛ける競技であるが、サイコロを投げる役であるシューターがプレイヤーに回り、シューターも他の役と同様に掛けることが出来るため、賭事と博戯が混在している。
  2. ^ 投資商品の中でも、当たれば巨額の利益が得られるが、相場の値下がりなどによる投資額の損失リスクが高いもの。
  3. ^ この場合の引換券は「ゲームカード」と言われ、当てれば粗品がもらえるカードの意。

出典

  1. ^ a b 広辞苑第六版「賭博」
  2. ^ 「賭博1」(ものと人間の文化史40-1)p64-66 増川宏一 法政大学出版局 1980年6月20日初版第1刷
  3. ^ 「賭博1」(ものと人間の文化史40-1)p45 増川宏一 法政大学出版局 1980年6月20日初版第1刷
  4. ^ 「カジノ産業の本質 社会経済的コストと可能性の分析」p94 ダグラス・M・ウォーカー 佐々木一彰・仁木一彦監訳 山田美明・田畑あや子・岡本由香子訳 日経BP社 2015年6月15日第1版第1刷発行
  5. ^ a b 大谷實『新版刑法講義各論[追補版]』(成文堂、2002年)533頁
  6. ^ 呉智英『言葉につける薬』(双葉社1994年 ISBN 4-575-28339-8 )93頁「ばくち打ちは二度ばくちを打つ」より
  7. ^ 「合百賭博に手入れ 女もまじえた一味二十二名検挙」『日本経済新聞』昭和24年6月23日2面
  8. ^ 「ニワトリの動物学」(アニマルサイエンス5)p20 岡本新 東京大学出版会 2001年11月6日初版
  9. ^ 「スポーツの世界地図」p104-105 Alan Tomlinson著 阿部生雄・寺島善一・森川貞夫監訳 丸善出版 平成24年5月30日
  10. ^ a b c 「宝くじ問題検討会報告書 平成22年11月 宝くじ問題検討会」 (PDF) 日本国総務省 2020年2月19日閲覧
  11. ^ 「宝くじの文化史 ギャンブルが変えた世界史」p16-17 ゲイリー・ヒックス著 高橋知子訳 原書房 2011年11月10日第1刷
  12. ^ 「アジア各地に外国人専用カジノ、恩恵と損失の狭間で政府苦肉の策」 AFPBB 2013年1月29日 2020年2月18日閲覧
  13. ^ 武宏, 慎. “高級クラブ嬢から借金、税金滞納、闇カジノでバカラ賭博、そして…イチローとWBC決勝で名勝負を演じた林昌勇(46)の転落人生”. 文春オンライン. 2023年2月22日閲覧。
  14. ^ 「公営競技の文化経済学」(文化経済学ライブラリー1)p12-13 佐々木晃彦 芙蓉書房出版 1999年3月31日第1刷
  15. ^ 「賭博3」(ものと人間の文化史40-3)p337-338 増川宏一 法政大学出版局 1983年10月5日初版第1刷発行
  16. ^ 「宝くじ問題検討会報告書 平成22年11月 宝くじ問題検討会」 (PDF) 日本国総務省 2020年2月18日閲覧
  17. ^ 「公営競技の文化経済学」(文化経済学ライブラリー1)p21 佐々木晃彦 芙蓉書房出版 1999年3月31日第1刷
  18. ^ 「公営競技の文化経済学」(文化経済学ライブラリー1)p28 佐々木晃彦 芙蓉書房出版 1999年3月31日第1刷
  19. ^ 「公営競技の文化経済学」(文化経済学ライブラリー1)p34 佐々木晃彦 芙蓉書房出版 1999年3月31日第1刷
  20. ^ a b c 「スポーツの世界地図」p104 Alan Tomlinson著 阿部生雄・寺島善一・森川貞夫監訳 丸善出版 平成24年5月30日
  21. ^ a b c 「米、全州でスポーツ賭博解禁へ 最高裁が判断」 AFPBB 2018年5月15日 2020年2月18日閲覧
  22. ^ 「本物のカジノへ行こう!」p88-89 松井政就 文藝春秋 2016年3月20日第1刷
  23. ^ 「本物のカジノへ行こう!」p92-94 松井政就 文藝春秋 2016年3月20日第1刷
  24. ^ 「宝くじ・公営競技・サッカーくじの実効還元率 資料3」 (PDF) 日本国総務省 2020年2月18日閲覧
  25. ^ 「宝くじの文化史 ギャンブルが変えた世界史」p13-14 ゲイリー・ヒックス著 高橋知子訳 原書房 2011年11月10日第1刷
  26. ^ a b 「カジノ産業の本質 社会経済的コストと可能性の分析」p20 ダグラス・M・ウォーカー 佐々木一彰・仁木一彦監訳 山田美明・田畑あや子・岡本由香子訳 日経BP社 2015年6月15日第1版第1刷発行
  27. ^ 「【IR法成立】「観光立国の実現の第一歩」高まる経済効果への期待」 産経新聞 2016年12月15日 2019年12月22日閲覧
  28. ^ a b 「本物のカジノへ行こう!」p90 松井政就 文藝春秋 2016年3月20日第1刷
  29. ^ a b 増子保志, 「マカオカジノ産業における構造変化 -転換点としての対外開放-」 日本国際情報学会 『国際情報研究』13巻 1号 2016年12月25日発行, p.26-36, 2020年2月18日閲覧。
  30. ^ 「本物のカジノへ行こう!」p84 松井政就 文藝春秋 2016年3月20日第1刷
  31. ^ a b c d 「カジノ産業の本質 社会経済的コストと可能性の分析」p19 ダグラス・M・ウォーカー 佐々木一彰・仁木一彦監訳 山田美明・田畑あや子・岡本由香子訳 日経BP社 2015年6月15日第1版第1刷発行
  32. ^ 「本物のカジノへ行こう!」p20 松井政就 文藝春秋 2016年3月20日第1刷
  33. ^ a b 「韓国カジノ産業の動向」p62 柳匡勳 (観光文化224号 January 2015) (PDF) 公益財団法人日本交通公社 2020年2月18日閲覧
  34. ^ スロット禁止「思わぬ効果」 コロナ感染防止、依存症が緩和―オーストラリア”. 時事通信社 (2020年4月28日). 2020年4月29日閲覧。
  35. ^ 「カジノ産業の本質 社会経済的コストと可能性の分析」p238-245 ダグラス・M・ウォーカー 佐々木一彰・仁木一彦監訳 山田美明・田畑あや子・岡本由香子訳 日経BP社 2015年6月15日第1版第1刷発行
  36. ^ 「本物のカジノへ行こう!」p53 松井政就 文藝春秋 2016年3月20日第1刷
  37. ^ 「スポーツ賭博解禁に揺れるアメリカ、野球界には根強い抵抗」 冷泉彰彦 ニューズウィーク日本版 2018年05月31日 2020年2月18日閲覧
  38. ^ Blau, Benjamin M.; Whitby, Ryan J. (2020-09-01). “Gambling activity and stock price volatility: A cross-country analysis” (英語). Journal of Behavioral and Experimental Finance 27: 100338. doi:10.1016/j.jbef.2020.100338. ISSN 2214-6350. http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2214635019302965. 
  39. ^ アメリカ精神医学会『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』578-582頁 「物質関連障害および嗜癖性障害群 - 非物質関連障害群 - ギャンブル障害」。日本語版用語監修:日本精神神経学会、監訳:高橋三郎・大野裕、訳:染矢俊幸・神庭重信・尾崎紀夫・三村將・村井俊哉。、医学書院、2014年6月15日。ISBN 978-4260019071 
  40. ^ WHO『ICD-10 精神および行動の障害-臨床記述と診断ガイドライン(新訂版)』221-222頁「F63 習慣および衝動の障害」 監訳・融道男・中根允文・小見山実・岡崎祐士・大久保善朗。、医学書院、2005年11月15日。ISBN 978-4260001335 
  41. ^ a b c d ジョナサン・ウルフ 『「正しい政策」がないならどうすべきか:政策のための哲学』 大澤津・原田健二郎訳 勁草書房 2017年 第2刷 ISBN 9784326154401 pp.56-60.
  42. ^ イスラーム契約のシャリーア(イスラーム法)適合性 - 平成30年度土木学会 小林潔司会長情報発信プロジェクト 基礎知識 08_2018.10 月版
  43. ^ a b c d e f 『イスラーム世界がよくわかるQ&A100』/第6章 Q82:カフェでトランプをしているようですが、お金を賭けているのでしょうか。 - AA研
  44. ^ ギャンブル”. 2018年5月14日閲覧。
  45. ^ The Unofficial Site of the Iglesia ni Cristo”. 2019年4月17日閲覧。
  46. ^ 「賭博1」(ものと人間の文化史40-1)p108 増川宏一 法政大学出版局 1980年6月20日初版第1刷
  47. ^ 「賭博1」(ものと人間の文化史40-1)p124 増川宏一 法政大学出版局 1980年6月20日初版第1刷
  48. ^ 「賭博1」(ものと人間の文化史40-1)p138 増川宏一 法政大学出版局 1980年6月20日初版第1刷
  49. ^ 「賭博1」(ものと人間の文化史40-1)p49-50 増川宏一 法政大学出版局 1980年6月20日初版第1刷
  50. ^ 「賭博3」(ものと人間の文化史40-3)p5 増川宏一 法政大学出版局 1983年10月5日初版第1刷発行
  51. ^ 「賭博3」(ものと人間の文化史40-3)p339-340 増川宏一 法政大学出版局 1983年10月5日初版第1刷発行
  52. ^ 「歴史と統計学 人・時代・思想」p94 竹内啓 日本経済新聞出版社 2018年7月25日第1刷






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