色覚異常 対応

色覚異常

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/16 15:04 UTC 版)

対応

デザイン・ウェブサイト

デザインの分野では、色覚異常者に重要な表示が読みづらくなる可能性を考慮して、特定の色遣いを避けることが推奨されている。ウェブサイト設計においては、前景色と背景色の色差、明度差を一定以上にするようW3Cがガイドラインを示している。

  • 赤(R)、緑(G)、青(B)の明るさをそれぞれ0 - 255の256段階で表す。
    明度差
    表示された際の明るさの差を表す。
    • 明度差は(R×299 + G×587 + B×114 )/ 1000 で計算する。
    • 明度差は125以上が望ましい。
    色差
    表示された際の色相の差を表す。
    • 色差は、RGBそれぞれの前景色と背景色の差を取り、合計した値。
    • 色差は500以上が望ましい。

これらの対応を行えば、色覚異常を有していても読みやすい表示が可能と言われる。加えて、白黒表示環境など多様な環境からのアクセシビリティの確保にも有利だと考えられる。

交通信号機

2012年2月に、東京都・芝郵便局前交差点に試験設置された信号機。 赤信号にピンク色で×印を表示している。

交通信号機では、照明を白熱電球からLEDに変更した影響により、色覚異常者が以前より色の判別が難しくなったとの指摘もある。しかし、赤信号に特殊なLEDで×印を表示する方法で、色覚異常者が赤と黄信号を判別しやすいように配慮されたユニバーサルデザインの信号機が開発された[30][31]

電子機器

状態を表示するために2色LEDを使用している電子機器において、その多くが赤と緑の組み合わせであるため、色覚異常で最多を占める赤緑色覚異常のヒトには、状態を判別できない。しかし、青色LEDの実用化に伴い、青とアンバーや青と赤の組み合わせの2色LEDも製品化された[32][33]


注釈

  1. ^ ヒトの視細胞のなかでは、桿体細胞が最多を占める。つまり、多くの光センサーで、光を待ち構えている状態である。
  2. ^ 赤や緑に比べていい加減な再現でも、ヒトの眼には違いが判別し難いため、画像圧縮でも青色情報には少ない情報量しか割り当てられない。
  3. ^ 大雑把に赤と緑だが、厳密には第1色覚と第2色覚で微妙に異なる。
  4. ^ 同明度の黄色と青紫は、一般的にいう黄土色と藤色の関係であり、普通の黄色と青紫では白と黒ほど明度が違って見えるため区別できないことは事実上ない。
  5. ^ ほとんどの場合、後天色覚異常が多い。
  6. ^ 事例として、第四次視覚野に銃弾を撃ち込まれてその部位だけ壊されてしまったヒトは、色の判別ができなくなり、視界が白黒に映るようになった(全色盲の例でもある)。銃弾が速く鋭利に発展したため、脳の一部のみを破壊する例が増え、こうした症例も確認されるようになったとされる[15]
  7. ^ 先述「医学用語(2004年以前)」表にもある通り。
  8. ^ 全ての色覚異常者がこれらに該当するわけではない。
  9. ^ 実際には色塗り作業は多い[25]

出典

  1. ^ 川端裕人 (2022年10月26日). “いろいろな人のいろいろな色 色覚多様性をめぐって. <準備の章【前編】と【後編】の間のコラム> ~色覚をめぐる言葉の整理~]”. 集英社学芸部. 2024年2月25日閲覧。
  2. ^ 日本遺伝学会 監修『改訂 遺伝単』、NTS、2021年3月15日 第1版 第1刷、p.15
  3. ^ 森圭吾 (2017年11月16日). “色覚「異常」ではなく「多様性」である【時流◆遺伝学用語改訂】”. m3.com. エムスリー. 2021年10月20日閲覧。
  4. ^ 小澤瀞司・福田康一郎 監修『標準生理学 第8版』、医学書院、2015年8月1日 第8版 第2刷、p.290
  5. ^ a b KIM E. BARRETT ほか原著改訂、岡田泰伸 監訳『ギャノング生理学 原著23版 』丸善株式会社、2011年1月31日 発行、p.233、節『クリニカルボックス 12-6 色覚異常』
  6. ^ ゲーム「ぷよぷよ」も対応、「色弱」の人が抱える困難”. 日刊スポーツ (2022年2月17日). 2022年2月17日閲覧。
  7. ^ カラーバリアフリー「色使いのガイドライン」 (PDF) - 国立遺伝学研究所(2005年4月)
  8. ^ a b 岡部正隆、伊藤啓「女性で赤緑色盲が少ない理由」『細胞工学』第21巻第7号、2002年7月。 
  9. ^ オリヴァー・サックス『色のない島へ』,(The Island of the Colorblind 1996年、ISBN 4-15-050237-4早川書房,第1部「ピンゲラップ島」77頁
  10. ^ 日本眼科学会:目の病気 先天色覚異常
  11. ^ Chan, Xin; Goh, Shi; Tan, Ngiap (2014). “Subjects with colour vision deficiency in the community: what do primary care physicians need to know?”. Asia Pacific Family Medicine 13 (1): 10. doi:10.1186/s12930-014-0010-3. 
  12. ^ a b c 岡部正隆、伊藤啓「なぜ赤オプシン遺伝子と緑オプシン遺伝子が並んで配置しているのか」『細胞工学』第21巻第7号、2002年7月。 
  13. ^ a b c 三上章允 (2004年9月18日). “霊長類の色覚と進化” (PDF). 公開講座「遺伝子から社会まで」. 京都大学霊長類研究所. 2013年9月20日閲覧。
  14. ^ 市川一夫 (2007年9月6日). “色覚関連用語について”. 日本医学会医学用語辞典. 日本医学会. 2013年9月20日閲覧。
  15. ^ 池谷裕二『進化しすぎた脳 中高生と語る[大脳生理学]の最前線』講談社、2007年、ISBN 978-4-06-257538-6、p.58より。
  16. ^ 田辺詔子、深見嘉一郎、市川一夫 ほか、眼科的検診のための仮性同色表 『臨床眼科』 47巻5号 (1993年5月), doi:10.11477/mf.1410908623
  17. ^ a b “色覚異常の中高生、半数気づかず進学・就職”. 読売新聞. (2012年9月19日). https://web.archive.org/web/20130921054610/http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20130919-OYT1T01158.htm [リンク切れ]
  18. ^ a b c “色覚異常、半数気づかず 検査中止10年、進路断念も”. 朝日新聞デジタル. (2013年9月19日). http://www.asahi.com/national/update/0919/TKY201309180649.html [リンク切れ]
  19. ^ “小4での色覚検査、中止から10年 異常知らず進路選択、トラブルも”. MSN産経ニュース: p. 2. (2013年9月30日). https://web.archive.org/web/20131002170623/http://sankei.jp.msn.com/life/news/130930/bdy13093008200000-n2.htm [リンク切れ]
  20. ^ 学校保健安全法施行規則の一部改正等について(通知)[リンク切れ] 文部科学省 26文科ス第96号 2014年4月30日
  21. ^ 学校における色覚検査に関する見解 日本眼科学会 2015年9月11日 (PDF)
  22. ^ 高柳泰世, 宮尾克, 色覚異常者のよりよい色彩環境を考える」『人間工学』 1998年 34巻 Supplement号 p.256-257, 日本人間工学会, doi:10.5100/jje.34.Supplement_256
  23. ^ News Up タヌキの色は緑色? 知っておきたい色の見え方の多様性 - NHK[リンク切れ]
  24. ^ 色覚検査のすすめ” (pdf). 日本眼科医会. 2016年9月22日閲覧。
  25. ^ マンガ家 安藤正基先生[リンク切れ] - 名古屋造形大学
  26. ^ 学校における色覚に関する資料 (10/17)”. 日本学校保健会. 2021年1月24日閲覧。
  27. ^ 色覚バリアフリー社会への一助でありたい - NPO法人True Colors
  28. ^ よくある質問 Q&A|航空身体検査|一般財団法人 航空医学研究センター
  29. ^ 航空管制官採用試験”. 航空保安大学校. 2013年9月20日閲覧。[リンク切れ]
  30. ^ 「色覚異常:見やすい信号機 東京・芝に試験設置」毎日新聞 2012年2月7日配信
  31. ^ ユニバーサルデザイン信号機、ついに登場!”. 聖学院大学非公式ブログ「福祉のこころ」 (2012年2月8日). 2013年9月20日閲覧。[リンク切れ]
  32. ^ 2色LEDは色覚異常者の敵”. U'eyes Design Inc 使いやすさ日記. 2015年5月31日閲覧。
  33. ^ 2色LED製品情報”. サンケン電気. 2015年5月31日閲覧。[リンク切れ]
  34. ^ 新屋太九郎、少陽経と陽明経の異常と色盲治験 『日本鍼灸良導絡医学会誌』 7巻 2号 1978年 p.4-6, doi:10.17119/ryodoraku1971.7.2_4






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