神社建築
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/29 14:04 UTC 版)
概要
今日の神社建築は、一般に、本殿(正殿)・幣殿・拝殿が中心である。神社を訪れると、本殿の手前に拝殿(礼拝用の建物)が建っており、賽銭箱が置いてある。拝殿は参拝者が祈祷などを受ける場所になっていることもある。
拝殿の奥に御神体を収める本殿がある。本殿は拝殿の奥にあってみえにくいため、一般の参拝者は拝殿を神社建築の中心的建物と考えがちである。本殿は流造、春日造が一般的で、小型の本殿では、風雨から守るために覆屋をかける場合もある。 拝殿と本殿をつなぐ部分に幣殿が造られることも多く、これらを一続きに建てる場合も多い。建物の横に回ると、拝殿の奥に幣殿や本殿を確認することができる。
本殿は神がいるとされる神聖な場所であるため、瑞垣などで囲われたり、覆屋が造られ、普段はその内部をみられないことが多い。一部の神社では山や岩を神体として崇めるため、本殿を持たず、神体を直接拝むための拝殿のみがあるところ(大神神社・金鑚神社など)や拝殿も持たない(檜原神社や湯殿山神社)ところもある。このように、社殿のない神社が本来の形式であったと考えられる。
仏教伝来以降の神社建築は、寺院建築の影響を受け、朱塗りや瓦屋根を取り入れた例もあるが、建物内部に関しては神道伝統の構成がよく守られている。神社建築は、一宮などの各有力神社において固有の様式を採っており、なおかつ、その固有の伝統的な様式を維持しようと努めている。そのため、神社建築の様式を解明することは、その神社の祭神の性格を知る上で重要な手がかりの一つとなる。後にできた神社においても、建立当初の様式を保つものが多い。
本殿
本殿(ほんでん)は、神霊を宿した神体を安置する社殿のことで、神殿(しんでん)ともいう。本殿は人が内部に入ることを想定していないため、拝殿より小さいことが多い。古くは1宇の本殿に1柱の神が祀られたが、現在では1宇の本殿に複数の神が祀られることも多い。内部には神体(鏡など)がおさめられる。内陣と外陣に分かれている場合は内陣に神体が納められ、外陣は献饌・奉幣の場として使われる。
拝殿
拝殿(はいでん)は、祭祀・拝礼を行うための社殿で、祭祀の時に神職などが着座するところでもあり、吹き抜けとされる場合が多い。通常、神社を訪れた際に見るのはこの拝殿で、一般の参拝は拝殿の手前で拍手を打って行うが、祈祷などの際は拝殿に昇る(昇殿)こともある。拝殿は、一般に本殿よりも大きく建てられ、床を張るのが一般的であるが、中央が土間となっており、通り抜け可能な「割拝殿」(国宝となっている桜井神社と出雲建雄神社のものが著名)もある。舞殿、神楽殿、社務所などを兼ねることもある。
神社によっては拝殿がないところ(春日大社・伊勢神宮など)や、2つ持つところ(伏見稲荷大社・明治神宮など)もある。2つある場合は、手前を外拝殿(げはいでん)と呼び、奥のものを内拝殿(ないはいでん)と呼ぶ。鈴(鈴の緒)や鰐口がある場合もある。
幣殿
幣殿(へいでん)は、祭儀を行い、幣帛を奉る社殿である。本殿と拝殿との間に位置し、両者をつなぐような構造になっているのが特徴である[1]。中殿ともいう[1]。幣殿が独立していることもある。また、拝殿と一体になっている幣殿もある。幣殿がない神社もある。
権現造では、本殿・拝殿よりも低い「石の間」と呼ばれる建物が幣殿である[1]。
その他
このほか、楼門(神門)や鳥居、神楽殿(舞殿)、手水鉢、社務所などが神社建築に含まれる。
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