漏れインダクタンス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/10 05:21 UTC 版)
漏れインダクタンスの利用
漏れインダクタンスを利用する際、実際には漏れインダクタンスLeを直接利用することはなく理論的に登場するのみである。直接的に利用される数値は工業会で実測的に定めた漏れインダクタンス(短絡インダクタンス)Lscの方である。一般に、変圧器の漏れインダクタンスは変圧器の出力電圧を下げる要素として好ましくないとされるが、電流が流れると電圧が下がる性質を積極的に利用して、変圧器に大きな漏れインダクタンスを持たせたものが、主に負性抵抗特性を有する蛍光灯やネオン灯、その他放電灯の電流安定器、アーク溶接の安定器、電子レンジのマグネトロンの安定器などに応用される。磁気漏れ変圧器の用途は多彩である[注 8]。
また、二次巻線に並列に共振コンデンサを接続し、二次側の短絡インダクタンスと容量成分とを共振させた共振変圧器は、蛍光灯電子安定器(インバータ)、ネオン灯電子安定器、冷陰極管用インバータや、テスラコイルなどに応用される。また、近年研究が進むワイヤレス電力伝送の動作解析においても電気学会定義の漏れインダクタンスLeと短絡インダクタンスLscはともに効率、性能、共振周波数などを決める重要なパラメータとなっている。
関連事項
注釈
- ^ 0から1までの値をとる。
- ^ それぞれの示す値は異なる[1]。
- ^ 鎖のように交わる。(英語:interlinkage)
- ^ JIS C6435による測定法によって計測する。
- ^ 短絡インダクタンス (short-circuit inductance)という用語がJIS C5602で定められている[5][信頼性要検証]。
- ^ 値が一致しない場合は計測誤差があるとみてよい。
- ^ 実用的にはインダクタンスの大きい側から計測した方が正確である。つまり、降圧トランスの場合は一次巻線側から、昇圧トランスの場合は二次巻線側から計測した方が精度がよい。
- ^ この場合も実際にパラメータが利用されているのは短絡インダクタンスである。
出典
- ^ 「漏れインダクタンス」用語に関する注意点
- ^ 山内幸長、山本宣春「長距離ワイヤレス給電の実験と研究 ~数cm-数十cm/10Wの高効率伝送に挑戦~」『グリーン・エレクトロニクス』第6号、CQ出版、2011年9月、64-65頁、ISBN 9784789848367。
- ^ 牛嶋昌和、湯浅肇、荻野剛「ついに突破口が見つかったワイヤレス給電の新方式 磁界共振理論の問題を微修正して効率とロバスト性を改善」『グリーン・エレクトロニクス』第19号、CQ出版、2017年10月、62頁、ISBN 9784789848503。
- ^ “変圧器の等価回路”. 仙台電波工業高等専門学校. 2007年7月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年10月21日閲覧。
- ^ “JISC5602:1986 電子機器用受動部品用語”. 日本産業規格の簡易閲覧. 2017年2月11日閲覧。
- ^ 変成器と最大電力伝送定理(東工大) 式3.19、および、式3.29 (PDF) 。
- 1 漏れインダクタンスとは
- 2 漏れインダクタンスの概要
- 3 漏れインダクタンスの利用
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