結合係数の意味
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/28 19:02 UTC 版)
結合係数は巻線の自己インダクタンス中の有効インダクタンスの比である。言い換えれば変圧器の一次側・二次側それぞれの自己インダクタンスのうち、何割が変圧器として働き、何割がチョークコイルとして働いているかを表す係数であるといえる。 理想的な変圧器の磁束は全て主磁束で構成され、漏れ磁束がない。この場合の結合係数k = 1(または-1)である。しかし、実際の変圧器では漏れ磁束があるので、結合係数は1よりも小さくなる。そして、この漏れ磁束が変圧器の一次側、二次側にそれぞれ直列に接続されたインダクタンスになる。これが漏れインダクタンスである。漏れインダクタンスは変圧器の一次巻線または二次巻線に直列に接続されたチョークコイルと等価な働きをする。 一次巻線、二次巻線の自己インダクタンスをそれぞれL1、L2 、一次側、二次側の有効インダクタンス(励磁インダクタンス)をそれぞれM1 、M2 とすれば次の式が成り立つ。 M 1 = k L 1 {\displaystyle M_{1}=kL_{1}\,} M 2 = k L 2 {\displaystyle M_{2}=kL_{2}\,} 漏れインダクタンスは、等価回路においては一次側漏れインダクタンスL e1 、二次側漏れインダクタンスL e2 として表される。 L e 1 = ( 1 − k ) L 1 {\displaystyle L_{\mathrm {e} 1}=(1-k)L_{1}\,} L e 2 = ( 1 − k ) L 2 {\displaystyle L_{\mathrm {e} 2}=(1-k)L_{2}\,} つまり、変圧器として働くのは全巻線の自己インダクタンスのうちのk 倍である。例えば結合係数k = 0.7 として、一次巻線の自己インダクタンスがL1 = 1 H ならば、変圧器として働く有効インダクタンスはM1 = 0.7 H であるということになる。そして残りの部分 0.3 H は漏れインダクタンスになる。これは二次巻線側においても同じことが言える。 一次巻線側、または二次巻線側にインピーダンス変換した漏れインダクタンスはL e1 、L e2 とも同じ値になる。また、結合係数は一次側から見ても二次側から見ても同じ値である。
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