海のフォアグラ トラフグの肝

海のフォアグラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/11/22 07:08 UTC 版)

トラフグの肝

江戸時代から「フグは食いたし命は惜しし」と言われ、古くから美食として知られる。トラフグなどの肝臓には猛毒テトロドトキシンが含まれるが、フグの肝臓は美味と評価され商品価値が高い。21世紀の日本にはフグ肝と、フォアグラ、アン肝とを比べる研究者もいる。

2008年、東京医療保健大学の大貫和恵と野口玉雄が無毒な肝臓を持つトラフグを養殖するのに成功した[23]。フグは毒のある餌を食して毒を持つため、この養殖は陸上養殖で主な餌にカタクチイワシサバを用い[24]、フグに毒を持たせる餌を与えないという方法が用いられた[25]

フグ(養殖)の肝の脂質含量は66.2-69.3%、ビタミンEは56.8-100.7mg/100g、脂質構成脂肪酸の組成は高度不飽和脂肪酸にイコサペンタエン酸(IPA)が2.9-5.4%、ドコサヘキサエン酸(DHA)が11.0-13.0%など多量に含まれていた[26]。大貫は、フグ肝はアンコウの肝(アン肝)やフォアグラに食感が似ると言っている[24]。この理由を、フグ肝は7割程度が脂質だが、IPAEPA)、DHA(2種とも必須脂肪酸の一種)が沢山含まれ、口当たりも良いためだとした[24]

フグ肝料理は、刺身、味噌汁や西京漬けなどが例示された[24][23]。 フグ肝の食感は官能試験により、生食(薄造り、刺身)よりも、缶詰やレトルト加工が好まれる試験結果が得られている[24]。 理由は加熱処理により旨味が増すためとされる[23]。 また、フグ肝は味噌と合うという官能試験結果もでている[23]。 ただ、試食会で生(薄造り、刺身)を好む人もおり、「フグ肝は、高度不飽和脂肪酸を多く含むため、口の中で咀嚼した際、フグ肝特有の弾力や噛みごたえ、舌触りなどがあり、非常に口当りがよい」とし、素材のもつフレーバーだけでなく、テクスチャーによって美味しく感じると大貫は結論づけた[23]

また、フォアグラはIPA、DHAは全くなく、アン肝に比べてフグ肝は栄養価が非常に優れるとも大貫は考えている[24]。フグ肝はアン肝に比べ、DHAが2倍含まれ、IPAも多い[23]。そして、食べ過ぎなければ太る心配はないと大貫は説明した[24]。 大貫は結論として、「フグ肝はアン肝より栄養的に優れているだけでなく、より美味であると評価された」としている[26]

フグ肝特区

「フグ肝特区」というアイディアもある。フグ肝を無毒化した新技術を商品特性にするため、佐賀県などは2004年2010年にそれぞれ、フグ肝を特例で食用できる「フグ肝特区」を政府に申請した。認められれば、今まで産業廃棄物として捨てられていたフグ肝が名物料理となる、と佐賀県は説明した[27]。しかし、厚生労働省は「フグの毒化機構が明確にされていない」とする理由で認めなかった[28]


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