沙羅曼蛇
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/08 09:07 UTC 版)
ゲーム内容
システム
8方向レバーと2ボタン(ショット、ミサイル)で、1P側がビックバイパー(青)、2P側がロードブリティッシュ(赤)を操作する。全6ステージで、奇数面が横スクロール、偶数面が縦スクロールである。
2人同時プレイが可能であり、ステージ6以外であれば途中参加ができる。コンティニューはできず、コインを投入することで上限はあるが残機が増える仕様[注釈 1]。得点による残数の増加はない。ループゲームで、周回数を重ねるごとに地形が変わるほか、3周目以降は倒した敵機が弾を撃ち返すようになるなど、10周目まで難度が上がり続ける。
パワーアップは、『グラディウス』のカプセルストック制ではなくアイテム制になっている(ファミコン(以下FC)版、MSX版はカプセルストック制。各移植版の項も参照)。自機が破壊されても画面が切り替わることもなくその場で復帰し、ゲームは続行される。このような違いから、グラディウスシリーズの中でも異質な作品となっており、『グラディウス』とは一味違った独自のシステムとなっている。
なお、パワーアップが『グラディウス』と同じカプセルストック制になった『ライフフォース』(前述の通り、元々は沙羅曼蛇の海外バージョン名であり、国内版と海外版の2種類で内容が異なる)も発売されている。
パワーアップ
パワーアップの構成は『グラディウス』と似ているが、パワーアップの方法はそれぞれの装備に該当するアイテムを取得することによって行う。本作ではアイテムのことをパワーユニットと称する。パワーユニットは特定の敵(ほとんどの場合、赤い色違いの敵)を倒すことによって出現する。なお、このパワーユニットを持った敵の出現位置はすべて固定であるが、数はプレイによって異なる。プレイされない間のデモンストレーション中に各パワーユニットの説明が表示される。
パワーユニットとその効果
各装備の細かい性能や補足事項などについては#パワーアップの制約・固有性能で解説する。特記ないものは1段階しかパワーアップしないが、いずれもパワーアップ限界数を越えて取っても得点にはなる。
- スピードアップ (SPEED UP)
- 自機の移動速度が上がる。最大5速。
- ミサイル (MISSILE)
- 横スクロール時は上下、縦スクロール時は左右にミサイルを発射。地形に接触すると地表を滑走するほか、壁を登る性能もある。前作『グラディウス』と同様、地上のハッチを一撃で破壊できる。ステージ4と6に限り、画面奥の方向にもミサイルを投下するが、こちらは地表を滑走する性能はない。
- リップルレーザー (RIPPLE LASER)
- 徐々に拡大するリング状レーザーを前方に発射。貫通力なし。レーザーとは排他選択であり併用できない。
- レーザー (LASER)
- 威力が高く雑魚敵を貫通する螺旋模様のレーザーを前方に発射。リップルレーザーとは排他選択であり併用できない。
- マルチプル (MULTIPLE)
- 自機と同じ武装を持ち、自機を追うように動く無敵の発光体。自機の攻撃と同じ攻撃をする。最大4つまで装備可能。グラディウスシリーズでいうところの「オプション」。マルチプルという名称自体はグラディウスの海外版『ネメシス(NEMESIS)』で使用されており、日本国内シリーズでは本作が初出である。
- フォースフィールド (FORCE FIELD)
- 一定の方向に敵の攻撃を防ぐバリア。最大4つ(実質3つ)装備可能。詳細は後述を参照。
パワーアップの制約・固有性能
- ミサイルは特定の障害物(2, 5面の岩、3, 6面のボスなど)に撃ち込むことで、その障害物の当り判定を消すことが可能。
- ステージ4と6で発射可能な下方向(画面奥)へ投下するミサイルは空中の敵機を破壊することができる。また、発射から一定時間後に着弾し爆発するが、この爆発を画面奥に描かれる特定の地上物にヒットさせるとそれを破壊できる。
- メインウェポンで一番弾速が速い装備はリップルレーザー。
- リップルレーザーの地形との接触判定はレーザーの中央付近にしかないため、拡大した状態であっても中央付近が地形と接触していない限りは消滅しない。
- レーザーの当たり判定は、『グラディウス』同様、上下に幅広い攻撃判定を持つため、見た目よりも広い範囲に攻撃することができる。
- レーザーはシリーズ他作品(ライフフォースを除く)と違い、ショットボタン連打で細切れ状に連射できる。ただし、どれも自機の位置(奇数面では自機の高さ、偶数面では左右)に合わせて同一射線上を移動するので連射することに意味はない。
- 自機が破壊されると、装備していたマルチプルは全てアイテムとなり、スクロールと共に流れていく。復帰した自機が回収すれば再度装備される。ただしこのマルチプルのアイテムは取得しても得点は加算されない。
- マルチプルは2人同時プレイ時では、2人合わせて4つまで装備可能。
- マルチプルには「マルチプルの間隔がマルチプルを展開する画面の位置で変わる」・「追従が自機から近い順にワンテンポずつ遅れる」など、他シリーズのオプションにはない癖がある。そのため、「ゴム紐オプション」などといった愛称で呼ばれることもあった。
- フォースフィールドはアイテムが1周回中で3つしか出現しないため、最大装備数は実質3つ[注釈 2]。
- フォースフィールド装着順序は、前方→上(縦スクロール時:左)→下(縦スクロール時:右)→後方。1つでもダメージを受けて解除された場合は前述の装着順序が優先順位となって消えた所から装着し直される。
- フォースフィールドは、1周回中最初に装着したものと、それ以降に装着したもので性能が以下のように変化する。共通事項としては、触れた敵機にダメージを与える、地形と接触しても耐久力は削られない[注釈 3]、ゲーム難度は装備しているフォースフィールドの数に従って上昇することが挙げられる。
- 1周回中最初に装着したフォースフィールドは敵弾を防ぐ。フォースフィールドがアイテムに接触するとそのアイテムを取得することができる。しかし、アイテムとの接触によってもその耐久力が減らされる。
- 上記以降に装着したフォースフィールドは敵弾を防がない。アイテムを取得する効果も消滅し、アイテムとの接触によってその耐久力が減らされることもない。左右と後ろに装着するフォースフィールドは、自動的にこちらの性能のものになる。
- 前者のフォースフィールドを使い切る前に自機が破壊された場合、次に装着したフォースフィールドは前者の性能となる。
2人同時プレイ
発売された当時としては画期的な2人同時プレイを実現している。1P側(ビックバイパー、青色の機体)と2P側(ロードブリティッシュ、赤色の機体)で、それぞれグラフィックは全く異なるが性能に違いはない。
双方の機体は互いに重なることができず、ぶつかると相手の機体を押すことになる。押された結果、地形に接触してしまうとミスとなるため、狭い場所では左右に少し動くときでさえ相手の位置に注意しなければならなかった。これはAC版『沙羅曼蛇』やこれを忠実に移植した作品のみの現象で、国内版『ライフフォース』やFC版などではこの現象は起きない。また、押された側のマルチプルは移動しないので、通常ではできないような自機とマルチプルの距離の開け方も可能であり、2人同時プレイの場合はこれを利用してボス戦に有利なフォーメーションを取るなどといった使い方もあった。
前述の通り、2人同時プレイの場合であってもマルチプルを装備可能な最大数は画面内に4つまでである。片方のプレイヤーが1つ以上装備すると、もう片方のプレイヤーはその個数分だけ装備可能なマルチプルの個数は減る。片方が4つ装備するともう片方のプレイヤーは1つも装備できない。
難易度
敵の出現位置、攻撃方法、アイテムの場所などは完全に固定されており、安全地帯も多いため、パターン化によって攻略法を確立できる。
なお、本作では『グラディウス』とは異なり、再開時に一定の場所まで戻されることはなくその場で復活[注釈 4]し、復活後、装備していたマルチプル(オプション)が回収可能である。そのため、低次周ならばミスした場合でも『グラディウス』よりは復活が容易な場面が多い(ただし、高次周だと逆になってしまう)。復活時は数秒間の無敵時間があるが、すべての装備を失ってしまうため、その無敵時間を活用して立て直すことは困難であった。
2周目以降は周回数によって地形(奇数周と偶数周で1面の盛り上がる地形の場所や、3面のプロミネンスの噴出する場所や組み合わせ)が変わったり、周回を重ねる毎に撃ち返し弾が増えていくなど、最終的には尋常でないほどの攻撃をしてくるようになり、高次周では一度ミスすると復活は極めて困難になる。
なお、4面最後の地上ハッチなど、一旦破壊されるとその後のプレイではボスが攻撃をしてこない[注釈 5]ため、プレイ条件は常に一定ではない。
演出
先述の通り、グラフィックやステレオサウンドが特徴として挙げられる。さらにシリーズを通じて初めて「声(英語)」による演出を行っている[注釈 6]。主に、武器をゲームプレイの最初に装備した時、ステージの切り替わり、ボス戦の直前に発せられる。ミサイルを装備していない時にミサイルショットボタンを押すと音声で注意される演出もある。ただし、これら音声の演出は、周囲で他のゲームが稼働しているゲームセンターなどでは聞きとりづらく、さらに低音質だったため、聞き流されることがほとんどだった。
この「声」の演出は、以降のグラディウスシリーズにも標準的に採用される。
注釈
- ^ コイン投入口が2つある場合はコイン投入で即残機に変換され、あらかじめ複数クレジットを投入した状態でゲームを開始または途中参加すると、そのクレジット数分の残機を最初から持ってゲームが開始する。投入口が1つの場合はコイン投入後スタートボタン押下で残機が増える。上限はゲーム開始分とあわせて各プレイヤー9クレジットまで。以降はゲーム中にコイン投入しても、残機に変換されない。店舗側のディップスイッチ設定で上限クレジットを5, 3, 1(追加不可)に減らせる。2人同時プレイで片側のプレイヤーだけがいったんゲームオーバーになり途中参加した場合は上限が回復する。
- ^ デラックスパック版では、裏技を使用しかつフォースフィールドのアイテムを取得することで4つ付けることができる。
- ^ AC版のフォースフィールドは他のAC版グラディウスシリーズの同様の装備(シールド)とは異なり地形との接触判定はない。
- ^ 「ゲーメスト」など当時のゲーム雑誌では他のゲームで同種のシステムを表現する場合に「曼蛇復活」と呼ぶこともあった。
- ^ バグと推測される。通常はゲームを開始する際に初期化されるワークエリアが、一部初期化されない模様。電源を一度切り、ある程度放置した後に電源を再投入すると、ようやく元に戻る。
- ^ 本作を含めた当時のコナミのアーケード作品には音声合成チップ「VLM5030」が搭載されており、『イー・アル・カンフー』(1985年)や『ツインビー』(1985年)などでも声での演出が用いられていた。
- ^ 『ゼビウス』の敵キャラクターおよびそのスピンオフタイトルと同名だが無関係である。開発チームの上司に気に入られたことからフラック・アタックでも登場し、そちらでは破壊可能。
- ^ 他で出ないのは、元々がバクテリアン側の部隊名なので、いわばゲーム中に出現する敵全体を指すため。
- ^ MSX版のものに近いレイアウト。
出典
- ^ a b マイウェイ出版『死ぬ前にクリアしたい200の無理ゲー ファミコン&スーファミ』 (ISBN 9784865119855、2018年10月10日発行)、37ページ
- ^ a b c 「5月10日号特別付録 ファミコン ロムカセット オールカタログ」『ファミリーコンピュータMagazine』第7巻第9号、徳間書店、1991年5月10日、201頁。
- ^ a b c d 「10月号特別付録 PCエンジンオールカタログ'93」『PC Engine FAN』第6巻第10号、徳間書店、1993年10月1日、78頁。
- ^ 北村孝和 (2002年8月6日). “コナミ、iモード「タイムパイロット」、J-スカイ「沙羅曼蛇」など新作アプリの配信サービスを開始” (日本語). GAME Watch. インプレス. 2019年4月21日閲覧。
- ^ “J-SKYに沙羅曼蛇&けっきょく南極大冒険追加!” (日本語). SOFTBANK GAMES NEWS INDEX. ITmedia (2002年8月1日). 2019年4月21日閲覧。
- ^ 鷹木創 (2003年5月23日). “コナミ、505iシリーズ向けに「沙羅曼蛇」と「ときめき2ショット」” (日本語). ケータイ Watch. インプレス. 2019年4月21日閲覧。
- ^ 大久保有規彦 (2006年4月7日). “i-revo、「沙羅曼蛇」のファミコン/MSX/PCエンジン版を配信” (日本語). BB Watch. インプレス. 2019年4月21日閲覧。
- ^ a b c d e f g Dr.KILL「沙羅曼蛇」『Beep』 3巻、9号、日本ソフトバンク、1887年9月号、14 - 15頁。雑誌 17659-9。
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- ^ a b “沙羅曼蛇 まとめ [ファミコン]” (日本語). ファミ通.com. KADOKAWA CORPORATION. 2015年2月11日閲覧。
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- ^ “Life Force for Wii (2007)” (英語). Moby Games. Blue Flame Labs. 2017年5月5日閲覧。
- ^ a b “Life Force for MSX (1987)” (英語). Moby Games. Blue Flame Labs. 2017年5月5日閲覧。
- ^ a b c 「最も愛されたゲームたち!! 読者が選んだベスト30」『ザ・ベストゲーム 月刊ゲーメスト7月号増刊』第6巻第7号、新声社、1991年7月1日、32頁、ASIN B00BHEECW0。
- ^ 「ザ・ベストゲーム」『GAMEST MOOK Vol.112 ザ・ベストゲーム2 アーケードビデオゲーム26年の歴史』第5巻第4号、新声社、1998年1月17日、77頁、ISBN 9784881994290。
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