村上克司 来歴

村上克司

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/06 00:39 UTC 版)

来歴

少年時代から絵を描くのが得意で、手塚治虫小松崎茂に大きな影響を受けた。やがて工業デザイナーを志望し、理数系の岐阜県立岐山高等学校に入学する。

1961年に同校を卒業後、父親の反対や経済的な理由から美大への進学を断念し、バンダイに入社[1][2]。当時のバンダイには企画やデザインといったセクションが存在せず、営業部に配属された村上は工場や返品係などで玩具作りのすべての仕事をこなしつつ、就労後にデザイン画を描きアイデアを練っていた[4]。その後は仕入部研究室[注釈 1]に入り、商品やパッケージのデザインを行なっていたが、約1年後「商品開発の役に立つ」との社長命令で、2年間大阪へ営業の修行に出た。このときの経験は後の開発などの仕事に役立ったという[5]

バンダイが子会社のポピーを設立する直前の1971年にポピーのロゴをデザインした直後、自動車デザイナーを目指すため一時退社し、フリーの工業デザイナーとして独立する。この時期には変身サイボーグ関連商品などの玩具デザインも行っていた[4][6]

1973年、ポピーの専務・杉浦幸昌の誘いでポピーに入社し、大ヒット商品となった超合金ポピニカマシンロボタマゴラス、TOKIMAといった、玩具史に残る名商品の数々を企画、デザインして世に送り出す[2]

村上は超合金シリーズの第1号である『超合金マジンガーZ』の発案者であるため、「超合金の生みの親」として書籍などで紹介されることが多い。『超電磁ロボ コン・バトラーV』以降、自らキャラクターデザイン[注釈 2]も直接行うことが多くなり、大河原邦男らとともに「メカデザイナー」としてもアニメファンから知られるようになる。

玩具デザイン集団の必要性を提唱し、1981年にバンダイの子会社プレックスの前身のポピー企画室を発足、マシンロボシリーズや平成ウルトラシリーズ、スーパー戦隊シリーズのデザイナーであるプレックス大石一雄もこのポピー企画室に創立時より参加した村上の最初の弟子である[7]

1983年にポピーがバンダイと合併し、ボーイズトイ事業部へ変更された後も、長きにわたってバンダイの男児向け玩具の開発に腕を振るってきた。1984年にバンダイの専務取締役に就任し、1997年に退社[2]

1984年以降の監修的な立場になった後でも、合体ロボットの場合は頭部のみデザインしたものもいくつか存在する(『恐竜戦隊ジュウレンジャー』の大獣神など)。メタルヒーローシリーズは『テツワン探偵ロボタック』まで主役のキャラクターのみ、ラフデザインは自身で担当している[注釈 3]。スーパー戦隊シリーズでは、『救急戦隊ゴーゴーファイブ』まで、主役のヒーローのデザインにタッチしている。

その後も村上は1990年代までプレックスのデザインの監修を担当している。そのプレックスやメガハウスなどバンダイグループ数社[注釈 4]の社長を務めた後、2002年にグループから離れ、同年ライブ・ワークスの代表取締役に就任した[2]。また2007年には『獣装機攻ダンクーガノヴァ』のコンセプトデザインを担当している。

2009年、新書『超合金の男 -村上克司伝-』(アスキー・メディアワークス)を出版。

2011年9月1日、マッグガーデンの取締役に就任し、遅くとも2015年8月までに退任。

2016年10月、自身の名前をクレジットした商品「村上克司原画リトグラフ」(合同会社いと・まほろば)を発表。宇宙刑事ギャバン、宇宙刑事シャリバン、宇宙刑事シャイダー、仮面ライダーBLACK、シャドームーン、仮面ライダーZOをリリース。東映ヒーローネットで限定販売。

2017年、デザインワーク集『オール・アバウト村上克司』(パイインターナショナル)を出版。


注釈

  1. ^ 書籍によっては、デザイン室と記述している[2]
  2. ^ 主に劇中に登場する商品化の予定のあるロボットやスーパーメカ。
  3. ^ 超人機メタルダー』は頭部のみデザイン。それを元に森木靖泰が全身をデザイン。
  4. ^ いずれの企業も2005年9月に行われたナムコとの経営統合後は、バンダイナムコグループに属している。
  5. ^ エキスプロダクション三上陸男は雑誌のインタビューで、マッハロッドのデザインは自分が描いたことや、車はエキスプロが作ったと語っている[9]

出典

  1. ^ a b c d 宇宙船113 2004, pp. 124–125, 「ごっつい あの人に会いたい」第4回 村上克司(前編)
  2. ^ a b c d e f g h i j 奇怪千蛮 2017, pp. 188–189, 取材・執筆 高坂雄貴、山崎優「DESIGNER INTERVIEW_06 村上克司」
  3. ^ 村上 克司 超合金の生みの親と呼ばれるスゴい人! - 日刊スゴい人!
  4. ^ a b 宇宙船114 2004, pp. 116–119, 「ごっつい あの人に会いたい」第5回 村上克司(後編)
  5. ^ THE 超合金 1988, pp. 98–99.
  6. ^ スタジオたるかす編「ロングインタビュー・村上克司」『ROMAN ALBUM HYPER MOOK 2 超合金魂 ポピー・バンダイキャラクター玩具25年史』徳間書店、1998年3月10日、ISBN 4-19-720035-8、70-71頁。
  7. ^ 大石一雄 - OB,OG 仕事/作品-ギャラリー (NUDN)
  8. ^ 宮島和弘 編「村枝賢一 RIDER’S Talk Battle 魂の仮面ライダー爆談!! 対談編 Round 10 VS 内田有作【後編】」『東映ヒーローMAX』 Vol.25 2008 SPRING、辰巳出版〈タツミムック〉、2008年6月10日、87頁。ISBN 978-4-7778-0526-6 
  9. ^ 『別冊映画秘宝 特撮秘宝』Vol.2、洋泉社、2015年11月13日、242頁、ISBN 978-4-8003-0766-8 
  10. ^ THE 超合金 1988, p. 100.
  11. ^ THE 超合金 1988, p. 79.
  12. ^ 超合金の男 2009, p. 207.
  13. ^ a b 宇宙船148 2015, pp. 110–111, 「特別対談 横山一敏×野中剛
  14. ^ 超合金の男 2009, p. 84.
  15. ^ スタジオたるかす編「クリエーター対談・野中 剛VS大石一雄」『ROMAN ALBUM HYPER MOOK 2 超合金魂 ポピー・バンダイキャラクター玩具25年史』75頁。
  16. ^ 赤星政尚他「CHAPTER.5 リアルロボット・バブルとロボット ■マシンロボ ぶっちぎりバトルハッカーズ 視聴者ぶっちぎり!」『不滅のスーパーロボット大全 マジンガーZからトランスフォーマー、ガンダムWまで徹底大研究』二見書房、1998年9月25日、ISBN 4-576-98138-2、197頁。
  17. ^ 黒川文雄 (2021年7月16日). “バンダイ・山科 誠伝 前編 キャラクター商品という“魔物”への賭け 「ビデオゲームの語り部たち」:第22部”. www.4gamer.net. Aetas. 2021年7月17日閲覧。
  18. ^ 『超合金クロニクル 村上克司セレクション』(2004、バンダイビジュアル)の本人インタビューより
  19. ^ ハイパーホビー Vol.31 p. 32「富野由悠季 安彦良和 勇者ライディーン SPECIAL Talk」
  20. ^ キネマ旬報刊『動画王』Vol.7 p.169 安彦良和インタビュー
  21. ^ スタジオたるかす編「プレックス座談会」『ROMAN ALBUM HYPER MOOK 2 超合金魂 ポピー・バンダイキャラクター玩具25年史』82頁。
  22. ^ 超合金の男 2009, pp. 126–128.
  23. ^ 超合金の男 2009, pp. 173–175.
  24. ^ 超合金の男 2009, pp. 177–178.
  25. ^ a b 宇宙船149 2015, pp. 124–125, 「特別対談 小松義人×前澤範×野中剛






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