村上克司 デザインワークス

村上克司

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/06 00:39 UTC 版)

デザインワークス

イナズマン』へのスタッフ参加以来、ポピー、バンダイ提供でのアニメ特撮番組に数多くデザイン・アイデアを提供した。「玩具メーカー主導のアニメ・特撮番組制作」という、現在の制作体制を確立した第一人者でもある。内田有作村枝賢一の対談記事の中で内田は『『超人バロム・1』のマッハロッドは、ポピーの村上がポンコツ屋から車のシャーシだけ買ってきて、デザインを描いてものの見事にマッハロッドを作った」と語っている[8][注釈 5]が、村上自身がこれについて言及したことはなく「最初に担当したのは『イナズマン』のライジンゴーです」と明言している[10]

スーパー戦隊シリーズの黒ゴーグル付きヘルメットマスクと強化スーツや巨大ロボット、追加戦士案、スーパー合体ロボや黒と緑の5人共存戦隊案、『宇宙刑事ギャバン』に始まる宇宙刑事シリーズおよびメタルヒーローシリーズ路線、『ウルトラマン80』のウルトラメカ、玩具化可能な様々な変形合体アニメロボット、ライタンシリーズ、『マシンロボ』、『タマゴラス』、『TOKIMA』に至るまで数多くのデザインに携わったほか、『スペースコブラ』のサイコロイドや『機動戦士Ζガンダム』のサイコガンダムなども村上の作によるものである。1984年に村上が開発、デザインした『タマゴラス』はグッドデザイン賞を受賞した[11][12]。この『タマゴラス』はテレビのキャラクターではなく玩具のオリジナル企画で、卵が変形して動物(動物型ロボット)やロボットに変形するという、テレビのキャラクター作品で培った変形ギミックを活かしたユニークな商品だった。

メタルヒーローシリーズでは「ゴーグルの下に目がある」というデザインを多用している[13]。当時の部下であった野中剛もこれは「強面だが実は優しい」という表現であり、村上が好んで用いたパターンであったと証言している[13]

ライオンが好きで[14]大鉄人17』、『スパイダーマン (東映)』、『未来ロボ ダルタニアス』ではいずれもライオンがモチーフになっている。他にも猛禽類や、神々をモチーフにした像にもインスピレーションを受け、『勇者ライディーン』のゴッドバードの変形と、『六神合体ゴッドマーズ』の各六神ロボも、いずれもそういったものがモチーフに活かされ、後のスーパー戦隊シリーズなどの東映作品に登場する多くのメカデザインの源的な影響を今でも与えている。

既成のヒーロー概念に捉われることが無く、様々な新味を出すことに惜しみない部分があり、『マシンロボ』を『ビー・バップ・ハイスクール』のアニメ版(『マシンロボ ぶっちぎりバトルハッカーズ』)に路線変更を提案したり、『仮面ライダー』をバイクだけでなく車に乗せる(『仮面ライダーBLACK RX』)発想も村上によるものだといわれる[15][16]。デザインにおいては、過去にヒットしたものや現在支持されているものの後追いはせず、自身がヒーローになったつもりでどんなスーツやメカを使いたいかということを重視している[2]

持論として、当初のコンセプトから大きく離れてしまうようなものは視聴者に受け入れられないと考えており、生み出す際に苦労するものは発想自体だめなのだと述べている[2]

4Gamer.netの黒川文雄によると、バンダイの元社長である山科誠も、村上の「よいものにしたければ、ストーリーラインに組み込むように」という考えに賛同していたとされている[17]


注釈

  1. ^ 書籍によっては、デザイン室と記述している[2]
  2. ^ 主に劇中に登場する商品化の予定のあるロボットやスーパーメカ。
  3. ^ 超人機メタルダー』は頭部のみデザイン。それを元に森木靖泰が全身をデザイン。
  4. ^ いずれの企業も2005年9月に行われたナムコとの経営統合後は、バンダイナムコグループに属している。
  5. ^ エキスプロダクション三上陸男は雑誌のインタビューで、マッハロッドのデザインは自分が描いたことや、車はエキスプロが作ったと語っている[9]

出典

  1. ^ a b c d 宇宙船113 2004, pp. 124–125, 「ごっつい あの人に会いたい」第4回 村上克司(前編)
  2. ^ a b c d e f g h i j 奇怪千蛮 2017, pp. 188–189, 取材・執筆 高坂雄貴、山崎優「DESIGNER INTERVIEW_06 村上克司」
  3. ^ 村上 克司 超合金の生みの親と呼ばれるスゴい人! - 日刊スゴい人!
  4. ^ a b 宇宙船114 2004, pp. 116–119, 「ごっつい あの人に会いたい」第5回 村上克司(後編)
  5. ^ THE 超合金 1988, pp. 98–99.
  6. ^ スタジオたるかす編「ロングインタビュー・村上克司」『ROMAN ALBUM HYPER MOOK 2 超合金魂 ポピー・バンダイキャラクター玩具25年史』徳間書店、1998年3月10日、ISBN 4-19-720035-8、70-71頁。
  7. ^ 大石一雄 - OB,OG 仕事/作品-ギャラリー (NUDN)
  8. ^ 宮島和弘 編「村枝賢一 RIDER’S Talk Battle 魂の仮面ライダー爆談!! 対談編 Round 10 VS 内田有作【後編】」『東映ヒーローMAX』 Vol.25 2008 SPRING、辰巳出版〈タツミムック〉、2008年6月10日、87頁。ISBN 978-4-7778-0526-6 
  9. ^ 『別冊映画秘宝 特撮秘宝』Vol.2、洋泉社、2015年11月13日、242頁、ISBN 978-4-8003-0766-8 
  10. ^ THE 超合金 1988, p. 100.
  11. ^ THE 超合金 1988, p. 79.
  12. ^ 超合金の男 2009, p. 207.
  13. ^ a b 宇宙船148 2015, pp. 110–111, 「特別対談 横山一敏×野中剛
  14. ^ 超合金の男 2009, p. 84.
  15. ^ スタジオたるかす編「クリエーター対談・野中 剛VS大石一雄」『ROMAN ALBUM HYPER MOOK 2 超合金魂 ポピー・バンダイキャラクター玩具25年史』75頁。
  16. ^ 赤星政尚他「CHAPTER.5 リアルロボット・バブルとロボット ■マシンロボ ぶっちぎりバトルハッカーズ 視聴者ぶっちぎり!」『不滅のスーパーロボット大全 マジンガーZからトランスフォーマー、ガンダムWまで徹底大研究』二見書房、1998年9月25日、ISBN 4-576-98138-2、197頁。
  17. ^ 黒川文雄 (2021年7月16日). “バンダイ・山科 誠伝 前編 キャラクター商品という“魔物”への賭け 「ビデオゲームの語り部たち」:第22部”. www.4gamer.net. Aetas. 2021年7月17日閲覧。
  18. ^ 『超合金クロニクル 村上克司セレクション』(2004、バンダイビジュアル)の本人インタビューより
  19. ^ ハイパーホビー Vol.31 p. 32「富野由悠季 安彦良和 勇者ライディーン SPECIAL Talk」
  20. ^ キネマ旬報刊『動画王』Vol.7 p.169 安彦良和インタビュー
  21. ^ スタジオたるかす編「プレックス座談会」『ROMAN ALBUM HYPER MOOK 2 超合金魂 ポピー・バンダイキャラクター玩具25年史』82頁。
  22. ^ 超合金の男 2009, pp. 126–128.
  23. ^ 超合金の男 2009, pp. 173–175.
  24. ^ 超合金の男 2009, pp. 177–178.
  25. ^ a b 宇宙船149 2015, pp. 124–125, 「特別対談 小松義人×前澤範×野中剛


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