方程式もの
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/28 05:25 UTC 版)
概要
このテーマの嚆矢となったゴドウィンの『冷たい方程式』では、主人公が操縦する宇宙船に1人の少女が密航したために、宇宙船の燃料が足りなくなり、目的地に無事に到着できないという状況に追い込まれる。そして主人公は悲しみつつも非情にエアロックの外へと少女を放り出した。いわば宇宙版カルネアデスの板(緊急避難)である。
宇宙船の速度、燃料、所要時間、重量などの要素を放り込んだ方程式の解として「密航者は排除すべし」の解が導かれたわけであるが、この結末を読んで納得しきれなかった読者は多かったようで、「少女を救う別の解もあるのではないか」とばかりに、条件や設定を変えた様々な変種が発表された。この一連の作品群を指して、俗に「方程式もの」と呼ばれるようになった。
『冷たい方程式』以前にも同様のテーマを用いた作品が発表されているので、このテーマの元祖とは言えないが、これ以降に発表された一連の作品は本作より直接の影響を蒙っている。
これらの作品は、舞台設定や条件を極限まで絞ったワンアイデア・ストーリーのため、発表された作品のほとんど全部が短編である。
基本設定
方程式ものにおける基本的な舞台設定は、以下のようなものが挙げられる。
- 主人公は、1人ないしは少数の宇宙船クルーである。
- 宇宙船は、必ずある目的をもって目的地へ到着しなければならない、という使命を持っている。
- 宇宙船は、燃料や酸素や食料など必須とする物資が必要最小限ギリギリまで切り詰められて航行している。
- そこに密航者(想定外のイレギュラー)が現れ、計算上目的地までは航行できなくなる(燃料が足りなくなる、酸素が尽きるなど)。
- 主人公たちは「密航者は排除すべし」の鉄則から、人道的な苦悩に直面する。
- 試行錯誤のすえ、解法が示される。
舞台は必ずしも宇宙船ではなく、類似した閉鎖的環境で展開されることもある。また、密航者ではなく酸素漏れ等の要因によって生存可能な定員が減るという状況の作品もある。これらの作品群は、大元の『冷たい方程式』が悲劇的結末であり、それに対する別解という背景もあって、大抵は主人公も密航者も助かる結末が用意されているが、その裏をかいてより悲惨な結末に至ることもままある。
- 1 方程式ものとは
- 2 方程式ものの概要
- 3 「方程式もの」一覧
- 4 「方程式もの」のパロディ
- 5 参考資料
「方程式もの」に関係したコラム
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