愛子内親王 内親王を巡って

愛子内親王

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/22 08:31 UTC 版)

内親王を巡って

2000年代を迎え、待望久しかった皇太子夫妻の第1子であったことから、誕生と同時に注目を集めた。出産翌日には皇居前広場で祝賀の「国民の集い」が行われ、約2万5000人もの市民が集った。皇居に記帳所が設置され、また赤坂では提灯行列が行われた。出産翌日に対面した父・皇太子は「非常に元気そうですね」という感想を述べた[57]

しかし、「発達の遅れがあるのではないか」等の誹謗中傷が、一部の国内週刊誌に取り上げられた[58][59]。この状況を受け、同年6月の定例会見にて林田英樹東宮大夫は、ただちに「事実無根で不本意」と否定[60]宮内庁は同年9月にスナップ写真や父の皇太子徳仁親王が東宮御所内で撮影したビデオ映像を公開し、事態の収束につとめた。ビデオ映像の中には父親の皇太子を「パパ」と呼びながら絵本を読む姿などが映されていた。

学習院幼稚園に入園してからは、運動会の大玉転がし、オール学習院の集いでの合唱の様子などがテレビ報道で公開されている。その後は、こうしたメディアの定期的な取材を受けることにより、愛子内親王が心身とも健康であることが浸透した。2013年(平成25年)においては、「学習院初等科での成績は学年でのトップクラス」と伝えられている[61]

皇室では、清子内親王から愛子内親王に至るまで9人連続で女性皇族(内親王4名・女王5名)が誕生しており、1965年(昭和40年)の秋篠宮文仁親王以降男子は誕生しなかった。皇統に属する男系男子にのみ皇位継承権を認める現行の皇室典範見直しの機運が高まり、皇太子徳仁親王に第一子として女子が誕生したこともまたこれを後押しした。[要出典]

そのため、2005年(平成17年)から2006年(平成18年)にかけて、当時の内閣総理大臣小泉純一郎の私的諮問機関として「皇室典範に関する有識者会議」において愛子内親王の即位を念頭においた女性天皇女系天皇の可能性が検討された(詳細は「皇位継承問題」も参照)。有識者会議は2005年11月24日に象徴天皇制の安定的な維持のため、皇位継承資格を女性や天皇・皇族の女系子孫に拡大することなどを求める最終報告書[62]をまとめ、小泉総理に提出。

しかし、2006年(平成18年)2月に秋篠宮妃の第3子懐妊が判明。9月6日に皇室で41年ぶりの男子である悠仁親王を出産したこと、総理大臣に皇室典範改正に慎重な安倍晋三が就いたことなどから改正の動きは止まった。

その後も2019年(平成31年)の退位特例法による天皇の退位を契機として将来の皇室制度の持続可能性について議論が再燃するなどの動きがあったが、現在に至るまで皇室典範改正には至っていない。


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  2. ^ 2001年(平成13年)12月1日宮内庁告示第12号「皇太子徳仁親王妃雅子殿下は、宮内庁病院において御出産、内親王が御誕生になった件」
  3. ^ 2001年(平成13年)12月7日宮内庁告示第15号「御誕生になった内親王殿下は、御名を愛子と命ぜられ、敬宮と称される件」
  4. ^ 皇室典範第二十三条第二項「前項の皇族以外の皇族の敬称は、殿下とする。」
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  33. ^ 2014年(平成26年)12月1日 日テレNEWS24 愛子さま13歳に 初めて一人で皇居訪問
  34. ^ 産経ニュース 愛子さま、14歳のお誕生日
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  37. ^ 2016年(平成28年)8月10日 日テレNEWS24 皇太子ご一家、長野で「山の日」記念式典へ
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  78. ^ 2003年(平成15年)、皇太子誕生日記者会見
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  81. ^ 宮内庁ウェブサイト


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