快天山古墳 遺跡歴

快天山古墳

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/12 23:10 UTC 版)

遺跡歴

  • 1950年度(昭和25年度)、埋葬施設の調査(香川県教育委員会)[2]
  • 1951年度(昭和26年度)、埋葬施設の調査(梅原末治ら京都大学文学部考古学研究室、2002年に報告書刊行)[2][8]
  • 1999年平成11年)2月5日、旧綾歌町指定史跡に指定[9]
  • 2001-2003年度(平成13-15年度)、墳丘の確認調査(測量調査(第0次調査)および第1次-第7次調査:いずれも旧綾歌町教育委員会、2004年に報告書刊行)[2][5]
  • 2004年(平成16年)9月30日、国の史跡に指定[7]
  • 2017年度(平成29年度)、史跡整備に向けた発掘調査(丸亀市教育委員会)[10]

墳丘

後円部から前方部を望む

墳丘の規模は次の通り[4]

  • 墳丘長:98.8メートル
  • 後円部 - 3段以上の築成。
    • 長径(南北方向):68.0メートル
    • 短径(東西方向):63.5メートル
    • 高さ:10.55メートル
  • 前方部 - 3段築成。
    • 長さ:35.6メートル
    • 幅:30メートル以上
    • 高さ:4.35メートル
  • くびれ部
    • 幅:32.5メートル

墳丘の前方部は、農地開発に伴う農道整備・養鶏場設置により一部削平を受けているほか、中ほどでは切断も受けている[11]

墳丘は斜面上に丘陵主軸と平行に形成されており、前方部を上方とする(讃岐型前方後円墳の特徴)[2]。そのうち前方部は地山削り出しに、後円部は地山削り出しと盛土による[2]。また、墳丘のテラス面(幅約1.5メートル)には円筒埴輪列(部分的に壺形埴輪)が巡らされ、テラス間の斜面は葺石で覆われている[2]

埋葬施設

後円部墳頂
右奥に第1主体、左奥に第2主体、右手前に第3主体(それぞれの位置に説明板)。中央の卵塔は江戸時代の僧快天の墓。

埋葬施設としては、後円部に次の3基が認められている。第1主体・第2主体は後円部中心点を挟んで東西対称に配置されるほか、第3主体は中心点から北寄り(前方部寄り)に配置されており、3基とも墳丘主軸と平行する[2]。石材はいずれも高松市国分寺町鷲ノ山産の変朽安山岩[2]

第1主体
竪穴式石槨。石槨は平板状安山岩の積み上げによる。推定される土壙の復原規模は南北幅5.0メートル、東西幅3.8メートル。[12]
石槨内部には刳抜式割竹形石棺を据える。石材は角閃安山岩で、石棺長は3.00メートル(身部:突起含む)。頭部には石枕を掘り出す(北頭位)。盗掘に遭っているため、調査時にはすでに棺内の埋葬品は失われていたが、棺外から多数の副葬品が検出されている。[12]
第2主体
竪穴式石槨。石槨は平板状安山岩の積み上げによる。推定される土壙の復原規模は南北幅4.7メートル、東西幅3.5メートル。[12]
石槨内部には刳抜式割竹形石棺を据える。石材は角閃安山岩で、石棺長は2.66メートル(蓋部:突起含む)。頭部には石枕を掘り出す(北頭位)。棺内からは多量の朱とともに人骨のほか副葬品数点が、棺外からも副葬品数点が検出されている。残存人骨によれば被葬者は女性で、30-35歳と推定される。[12][2]
第3主体
竪穴式粘土槨。石棺の全面を粘土で包むことによる。推定される土壙の復原規模は南北幅3.4-3.5メートル、東西幅1.0メートル。[12]
粘土槨内部には刳抜式割竹形石棺を据える。石棺長は2.87メートル(蓋部:突起含む)。頭部には石枕を掘り出す(北頭位)。棺内からは多量の朱とともに人骨のほか副葬品数点が、棺外からも副葬品数点が検出されている。残存人骨によれば被葬者は男性で、27-28歳と推定される。[12][2]

石棺3基の製作は、第2主体→第1主体→第3主体の順と推定される[2]。これらの刳抜式石棺は刳抜式木棺に代わるものとして採用されたもので、採用古墳としては全国で最古期に位置づけられる[2]。また快天山古墳石棺と同形態の石棺として、石材は異なる(火山石)が赤山古墳(さぬき市)の石棺が知られる。

石材に用いられている鷲ノ山産の変朽安山岩については、『播磨国風土記』賀古郡大国里条(印南郡大国里条)に息長帯日女命(神功皇后)が帯中日子命(仲哀天皇)の埋葬の際に「讃伎国羽若石(= 羽床石か)」を求めたとする伝承が見られ、畿内との関係が注目される[2]

なお、前方部先端部には組合式箱式石棺が4基以上存在したとされ、その石棺からは珠文鏡も出土したというが、その石棺等は上述の農地開発に伴い失われ現在は詳らかでない[12]








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