天塩川 天塩川の概要

天塩川

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/05 08:31 UTC 版)

天塩川
岩尾内湖より上流の天塩川
水系 一級水系 天塩川
種別 一級河川
延長 256 km
平均流量 233.5 m³/s
(天塩大橋観測所 1962年 - 2010年)
流域面積 5,590 km²
水源 天塩岳(上川総合振興局管内)
水源の標高 1,558 m
河口・合流先 日本海(留萌振興局・宗谷総合振興局の管轄境界)
流域 日本 北海道
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天塩川河口周辺の空中写真。海岸沿いを約10 km南流し、天塩町の中心部付近で日本海へ注ぐ。1977年撮影の18枚を合成作成。
国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成。

地理

北海道士別市南東の紋別郡滝上町との境界に位置する北見山地天塩岳付近に源を発する。美しい渓谷美を見せ、林業が営まれる山間部、岩尾内湖・岩尾内ダムを経て、中流域の稲作の北限地帯で、チョウザメサケの養殖業が営まれる名寄盆地に入る。同盆地を北へ流れ、中川郡音威子府村内より再び山間渓谷部に入り、下流域で主に酪農が営まれる天塩平野に至る。平野内では天塩郡天塩町幌延町の境界を西へ、海岸目前で南に向きを変え浜堤に沿って10 kmほど流れ、天塩町の市街地前で日本海に注ぐ。河口付近ではシジミ漁、サケ漁、同養殖業が営まれる。

全長256 kmは北海道内では石狩川に続き2番目の長さで、日本国内でも4番目の長さとなる長流河川であるが、大きな支流が少ないため、流域面積は5,590 km2で国内10位にとどまる。和人入植以来、数次に渡り流路変更などの河川改修を行ってきた結果、その全長は明治時代以前の河川改修前より大幅に短くなっている。下流部を中心に河川改修跡である三日月湖が沿川に数多く見られるが、河口から158 km[2]まで堰などの川を横断する工作物が設置されておらず、また、コンクリートの護岸工事の実施箇所が少なく、自然のままの護岸が多く残されていることが特徴となっている。

河口部では満潮時に海水が遡上する。塩を含んだ重い水は、流れ下る淡水とあまり混じり合わず、川底のほうに沈んだ状態で入り込み、満ち潮が引いてもいくらか残る。天塩大橋より上流、河口から約22キロメートルまでは、水面下4メートルで塩分濃度が低い層と高い層に分かれている[3]。4メートルより浅い層はやや塩分を含んだ水で、深い層の塩分濃度は海水とあまり変わらない[3]。なお、河口部から約20キロメートルまでの川底は標高マイナス5からマイナス7メートルくらいで、海水面より低い[4]。22キロメートル地点で川底の標高がマイナス3メートルになり、ここで高濃度塩水が途切れる[4]

厳冬期には、河口から130キロメートルが川底まで凍結する[5]。春先には、天塩川の全面結氷が一度に壊れて流れ出す解氷現象がみられる[6]。例年、流域の中川町観光協会では解氷日を当てるクイズを実施し、PRを行っている。

川名の由来

アイヌ語で「(やな)」を表す「テㇱ(tes)」に関する名称に由来すると考えられ[7]、一説には「梁・多い・川」を表す「テㇱオペッ(tes-o-pet)」からとされる[7][8]。このほか、「梁・ある・ところ(=川)」を表す「テㇱウンイ(tes-un-i)」、「梁・ついている・ところ(=川)」「テㇱウㇱイ(tes-us-i)」からとする説がある[8]

この名称は実際に梁があったわけではなく、木材輸送のために浚渫される以前の中流域に、岩が梁のような形で川を横断していた箇所が多かったことに由来するとされている[9][8]。例えば、現在の美深町に旧図に「テッシ」や「カマテシカ」と呼ばれた岩盤が横切る浅瀬があったことに由来する旧地名があり、これらが河川名の発祥とも考えられている[9]


  1. ^ 「重要湿地」 No.008 天塩川環境省(2021年7月14日閲覧)
  2. ^ 士別市の天塩川第二頭首工まで。
  3. ^ a b 安間ほか(2005), p. 16.
  4. ^ a b 杉原.新目(2017), p. 4.
  5. ^ 凍った河川の秘密に迫る「北海道道 天塩川~"氷の一本道"の秘密~」NHK総合28日(水)後7:30『毎日新聞』朝刊2021年5月27日(北海道面テレビ番組紹介欄)
  6. ^ 迫力満点!音立て砕ける氷板 天塩川にも春、中川町民歓声”. 北海道新聞 (2018年3月31日). 2018年4月7日閲覧。
  7. ^ a b 北海道の地名, p. 137.
  8. ^ a b c アイヌ語地名リスト ツキサ~トヨコ P81-90P”. アイヌ語地名リスト. 北海道 環境生活部 アイヌ政策推進室 (2007年). 2017年11月24日閲覧。
  9. ^ a b 北海道の地名, p. 144.
  10. ^ 北海道庁『北海道名勝誌』(1911年)75-76頁
  11. ^ 島村英紀、森谷武男『北海道の地震』北海道大学図書刊行会、1994年、43頁。 
  12. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am 天塩川水系河川整備計画(案) 3.附図』(PDF)(プレスリリース)北海道開発局https://www.hkd.mlit.go.jp/as/tisui/ho928l000000057x-att/ho928l00000005aa.pdf2017年10月10日閲覧 
  13. ^ a b c d e 藤井 郁夫. “f01北海道” (PDF). PDF版 橋の情報と資料. 中日本コンサルタント. 2017年10月14日閲覧。






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