動物咬傷
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/06 02:45 UTC 版)
ヒト咬傷
咬傷は基本的に手・四肢・顔面が好発部位であるが,ヒト咬傷では乳房や性器に生じるケースが見られる。ヒトによる咬傷のうち最多原因は喧嘩である。主に拳で相手の口付近を殴ったときに起こり、感染のリスクが特に高い。喧嘩による咬傷で受傷した直後に、握っていた手を開いた際に皮膚で基礎損傷した構造からずれるために、より細菌が創傷の内部に入り込む。しばしば患者が隠すために治療が遅れて細菌が既に増殖しているケースが多々見られる[3]。
AIDS(後天性免疫不全症候群)- ヒト咬傷で起きる感染症としては HIV(ヒト免疫不全ウイルス)が伝播する可能性はあるものの、感染者でも唾液中の阻害物質がHIVウイルスを不活化するために「咬傷によるHIV伝播」の確率は低い。ただし、感染者の血液中のHIV濃度は唾液よりとても高いので、感染者の血液が自身の傷口や粘膜触れるのとが無いように気をつける必要がある[3]。
犬・猫咬傷
自身のペットの場合はペット咬傷とも言われる。イヌに咬まれた場合は4~20%、ネコに咬まれた場合は猫の歯は細く鋭い牙が深く突き刺さるために60~80%という高確率で感染が起こる。感染の可能性はネコより低いが、イヌの場合は犬種次第だが、基本的にネコより咬力が強いために損傷部位が大きくなり、顔や手の皮膚や組織が咬み切られるケースもある[4]。
表皮を超えるような甘噛みではない噛みつきをされた時は咬傷が原因による感染症が高い確率で発症する可能性があり、まず水道水や生理食塩水で十分洗ってから、形成外科など医療機関の診断を必要とする[4]。対策や治療として、ワクチンのあるモノはワクチン接種を行って、発症を予防することも必要になる。
- 壊死[4]
- 破傷風-破傷風菌を病原体とする人獣共通感染症の一つで、病原菌が神経毒を体内で産生する。破傷風ワクチンや三種混合ワクチンが存在する。
- パスツレラ症 - パスツレラ属菌への感染が原因であり、人獣共通感染症の様相を呈している。イエネコの口腔に約95%、爪に70%、イヌの口腔に約75%の確率に常在菌として存在する[5]。
- 狂犬病 - 狂犬病ウイルスが原因であり、インドでは年間2万人以上が死亡している。狂犬病ワクチンが存在する[6]。狂犬病ウイルスを撲滅していない海外で咬まれた場合は、イヌに限らず狂犬病ウイルスに注意が必要で、すぐに医療機関に行く必要がある[4]。
- 猫ひっかき病-バルトネラ・ヘンセラ菌が原因であり、リンパ節の炎症を主体とした人獣共通感染症の一つである。
- カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症-イヌやネコの健康な歯肉の細菌叢の構成細菌を原因とする人獣共通感染症の一つである
魚類による咬傷
釣れたゴンズイ、オコゼ、アイゴ、トラギス、ウニ、ヒトデに咬まれたり刺された場合、最初皮膚が白くなり、しばらくしてから腫れて赤くなる。疼痛がひどい場合はやけどしない程度で、なるべく高温の湯(45〜50℃位)で疼痛が和らくまで浸すのがよい。
お湯による疼痛緩和が期待できない場合、神経ブロック注射や局所麻酔を行う。犬・猫の時と同じように、破傷風予防のため、破傷風ワクチンの接種を行うのが望ましい。
- ^ a b “フェレットにかまれ感染症に 16年半闘病の警官が死亡”. 朝日新聞デジタル (2019年11月7日). 2022年9月23日閲覧。
- ^ “咬傷 ―咬みきず ヒト咬傷、動物咬傷― | 一般形成外科 | 福山の医療法人 太田形成外科クリニック”. www.otakeiseigeka.jp. 2022年9月24日閲覧。
- ^ a b c “ヒトおよび哺乳類による咬傷 - 22. 外傷と中毒”. MSDマニュアル プロフェッショナル版. 2022年9月24日閲覧。
- ^ a b c d “動物咬傷(ペット咬傷)|一般社団法人 日本創傷外科学会 一般の皆様へ”. www.jsswc.or.jp. 2022年9月24日閲覧。
- ^ “感染症トピックス:「パスツレラ症」の日本の現状認識に違いがあった!? 1”. square.umin.ac.jp. 2022年9月23日閲覧。
- ^ “世界の医療事情・インド”. 外務省 (2016年10月). 2018年8月4日閲覧。
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