倍音 倍音の概要

倍音

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/16 05:06 UTC 版)

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倍音
正弦波

弦楽器管楽器などの音を正弦波(サインウェーブ)成分の集合分解すると、元の音と同じ高さのの他に、その倍音が多数(理論的には無限個)現れる。

ただし、現実の音源の倍音は必ずしも厳密な整数倍ではなく、倍音ごとに高めであったり低めであったりするのが普通で、揺らいでいることも多い。逆に、簡易な電子楽器の音のように完全に整数倍の成分だけの音は人工的な響きに感じられる。

歴史的な背景

古来合唱などで、本来聞こえるはずのない高い声がしばしば聞かれる現象が知られており、「天使の声」などと呼ばれて神秘的に語られていた。これらは倍音を聴取していたものだと現在では考えられている。

科学的な背景

倍音は、数学者マラン・メルセンヌによって1636年に発見された。

1753年ダニエル・ベルヌーイは、波動方程式の解として三角関数を想定することにより、弦の振動は基本周波数とその整数倍の周波数の成分(倍音)の重ね合わせとして表せることを発見した。

この概念は、19世紀数学者ジョゼフ・フーリエの見出したフーリエ級数によって体系的に理論化された。フーリエ級数とは、周期関数

倍音の周波数軸表示
上音
音を正弦波に分解したときに、最も低い周波数である基音以外の成分を上音(じょうおん、overtone)という。この上音には倍音でない音も含まれる。倍音は、基音の(2以上の)整数倍の周波数の上音であると言い換えることができる。
楽音
歌うときの人のや、楽器の音の多くのように、倍音以外の上音がほとんど無く音高(音の高さ)が強く感じられる音を楽音(がくおん)という。人の声を含め、主に音階を演奏する楽器音のうち最も大きい成分は多くの場合基音であり、基音の音高を音全体の高さとするのが普通である。通常、楽音の倍音が人間の耳にそのまま意識されることはあまりないが、特に高い音や音の種類、演奏環境などによって聞こえやすい場合もある。一般に倍音の構成の違いは音色の違いとして認識されている。特殊な音色の楽器音や声に限っては、いくつかの倍音がデシベル値で基音より大きい場合もあり得る。これはスペクトラムアナライザなどの音声解析機器または同機能を持つソフトウェア等で確認する事が可能である。
純音
上音を全く持たない音を純音(じゅんおん)という。すなわち正弦波の音である。
噪音
倍音以外の上音を多く持ち音高を感じさせない音を噪音(そうおん)という。打楽器の音のほとんどは噪音かそれに近い音である。打楽器の中でも、鍵盤打楽器などは上音があまり出ないようにして音を純音に近づけてあり、ティンパニは上音を倍音列に近づけてあるため、はっきりとした音高を感じることができる。また薩摩琵琶やヴィーナによる「さわり」と呼ばれるビビリ音を噪音と呼ぶこともある。
差音
基音を欠き、倍音だけから成る音でも、その理論上の基音に音の高さを感じることがある。これを、差音(さおん)と呼ぶ。

  1. ^ a b 文部省日本物理学会編『学術用語集 物理学編』培風館、1990年。ISBN 4-563-02195-4[リンク切れ]





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