京阪1000系電車 (3代)
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主要機器
変更点の少なかった車体周りとは対照的に、主要機器は本系列への改造に際して完全に一新された。
主制御器
1C4M制御方式の東洋電機製造製ACDF-H4155-589Aを各電動車に搭載した。昇圧対応を容易とするため単車昇圧方式を前提に設計された制御器であり、架線電圧600V時においては主電動機2基を1群として各600V(主電動機1基当たり300V)を印加し、同1,500V時においては結線を変更して主電動機4基に各375Vを印加する設計となっている。制御段数は直列20段・弱め界磁4段(発電制動24段)の計24段であり、直並列切替制御は行わない。
なお、本系列においては、放熱効率を向上させた波型抵抗体を採用した新型抵抗器を搭載したが、機器流用・車体新製車出自の本系列は床部分の構造が他のカルダン車各系列とは異なり、軽量化を重視した設計に起因して断熱性能が劣っていたことから、床温度の上昇が問題となった。加えて駅停車時における抵抗器からの放熱による影響も多大であったことから[注釈 8]、抵抗器裏側に強制送風機を追加[注釈 9]して対処を行った。
主電動機
東洋電機製造製TDK-8120A1直巻整流子電動機を電動車1両当たり4基搭載する。同主電動機は5000系で採用されたTDK-8120Aとほぼ同一機種であり、架線電圧600V時(端子電圧300V時)の定格出力は130kW、1,500V昇圧後(端子電圧375V時)の定格出力は155kWである[注釈 10]。歯車比は84:16 (5.25)と5000系3次車以降に準じており、2200系・2400系と比較して中高速域の性能に余裕を持たせた設定となっている。
集電装置
パンタグラフは冷房装置搭載に伴い従来のPT-42系菱形パンタグラフからPT-4805A-M下枠交差形パンタグラフに換装された。併せて制御電動車1000型・1050型については搭載位置を運転台寄りから連結面寄りへ移設している。
台車
電動車が川崎重工業製エコノミカル式KS-77Aを、付随車が住友金属工業(現・新日鐵住金→日本製鉄)製側枠緩衝ゴム式FS399を装着し、いずれもインダイレクトマウント方式の空気ばね台車である。KS-77A・FS399とも5000系において採用されたKS-76・FS-399Aと同等機種である。
制動装置
5000系において採用実績を有する発電制動併用全電気指令式空気ブレーキHRD-1Dを採用し、応答性の向上が図られた。 また、踏面ブレーキは片押し式(シングルタイプ)である。
その他
冷房装置は東芝製RPU-2205A集約分散型冷房機(冷却能力8,000kcal/h)を1両当たり4基搭載する。
電動発電機(MG)は東洋電機製造製TDK-3750B(出力140kVA)を付随車1500型に、電動空気圧縮機(CP)はHB-1500B(吐出量1,590L/min)を付随車1500型・1600型に各1基ずつ搭載した。
注釈
- ^ a b ただし、実際の施工は自社寝屋川工場において実施された。
- ^ パンタグラフ搭載車の数値。パンタグラフ非搭載車は4,160mm。
- ^ その他、初代1800系や2000系「スーパーカー」もカルダン駆動の高性能車であったものの、搭載する機器の都合上、昇圧対応改造が困難であり、同様に廃車の方針が決定していた。
- ^ 700系(2代)に先んじて同一の手法で製造された600系(2代)は、車体の経年劣化に加えて、徹底した軽量化が災いして冷房改造に必要な車体強度が足りないと判断されたことから、1800系(初代)の機器と台車とを組み合わせて昇圧対応化した1800系(2代)に改造された14両を除いて昇圧時に全車廃車となっている(なお、1800系(2代)は1989年に全廃)。
- ^ 余剰となった2両(いずれも中間電動車)は600系(2代)に編入され、1983年(昭和58年)12月の昇圧時に廃車となった。
- ^ 7両固定編成の本系列は、車庫内の留置線有効長が7両編成に対応していない深草車庫への入・出庫列車には充当されない措置が採られていた。
- ^ 同様の経緯で2000系を大改造して誕生した2600系(0番台)についても2000系を廃車扱い・2600系を新製扱いとする措置が取られている。
- ^ 放熱効率を重視したことにより、周囲への熱影響もまた従来型の抵抗器と比較して大きなものとなったことによる。
- ^ 後年の界磁添加励磁制御化ならびに回生制動化によって放熱問題は根本的に解決したことにより撤去された。
- ^ 端子電圧375V、定格電流465A、一時間定格出力155kW、定格回転数1,730rpm。
- ^ 残り2編成は緑色の波状ラインをあしらった「みどり号」(2200系2217編成)、青色の波状ラインをあしらった「みず号」(6000系6009編成)であった。
- ^ 当系列のように、吊り掛け駆動(700系(2代)時代)→抵抗制御カルダン駆動→添加励磁制御カルダン駆動、といった変遷を遂げた車両は極めて珍しい。他社の例では相鉄3010系電車が吊り掛け駆動からVVVFインバータ制御改造を受けたが、既に廃車されている。
- ^ 先頭車前面にも新CIロゴ貼付に伴って、従来取り付けられていたエンブレムは撤去された。
- ^ 列車無線を送信した列車の列車番号を運転司令所側に通知・表示させるものである。
出典
- ^ 京阪電車には「ぼっちシート」がある!? - at home VOX、2015年2月3日
- ^ ジェー・アール・アール 『私鉄車両編成表2022』 交通新聞社、2022年、144頁。
- ^ 『関西の鉄道』No.60 「京阪だより」 p.102
- ^ Kプレス2013年6月号(vol.171) - 「くらしの中の京阪6月号 vol.448」内「京阪線車両のカラーデザイン変更が完了しました」を参照。
- ^ 「10月18日(土)、最後の天満橋ゆき列車に着脱式の行先表示板を掲出して運転します (PDF) 」 京阪電気鉄道、2008年10月10日
- ^ 『鉄道ピクトリアル』2009年8月増刊号(通巻822号) 「京阪電気鉄道 現有車両プロフィール」 p.238
- ^ 「私鉄車両年鑑2020」 - イカロス出版 2020年 ISBN=978-4802208376 64頁
- ^ ジェー・アール・アール編『私鉄車両編成表 2009』交通新聞社、2009年、120頁。
- ^ 「京阪電気鉄道 現有車両車歴表」『鉄道ピクトリアル2009年8月臨時増刊号』第822巻、電気車研究会、2009年、274 - 277頁。
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