ラム酒 さまざまな用途のギャラリー

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ラム酒

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/30 07:06 UTC 版)

さまざまな用途のギャラリー

ラムに関するエピソード

  • バルバドス島では、この酒が焼けるように強いことから、「キル・デビル(kill-Devil、悪魔殺し)」と呼ばれていた[16][17]
  • イギリス人は、ラムのことを「憩いの水」とも呼ぶ。これは、1609年にジョージ・サマーという者の船がバミューダ島に向かっていた折、ハリケーンに遭い難破しそうになるということがあり、この時、船の乗組員は死の恐怖に直面したが、ラムを飲んで心の平穏を保ったことに由来するという[18]
  • イギリス海軍ではラムをストレートで海兵に支給していたが、何日か分の配給をためて一気に飲み干した者がいたため、エドワード・バーノン英語版提督が、1740年8月21日にラムとを1:4で混ぜて作った水割りのラムを支給するように命令した。当初、この薄いラムは部下達に不評であった[19]。部下たちは、グログラム (Grogramという混紡生地で出来たコートを着ていたバーノン提督へ“オールド・グロッグ”(Old Grog)というあだ名を奉り、この飲み物をある種の恨みを込めて「グロッグ grog」と呼ぶようになった[20]。しかし、18世紀末ころまでには、むしろグロッグの方が好まれるようになったと言われている[19]。2010年現在でも水割りラムはグロッグと呼ばれる。現代ではグロッグという語は酒類全般を指すためにも使われており、泥酔することを「グロッギー groggy」と言う[21]。そして日本で使われる「グロッキー」という言葉は、このグロッギーが訛ったものである。
  • 1805年トラファルガー海戦で戦死したホレーショ・ネルソン提督の遺体は、腐敗を防ぐためラムの樽に漬けてイギリスに運ばれ、このラムはダーク・ラムであったため、以降ダーク・ラムのことを「ネルソンの血」と呼ぶようにもなったと伝承されている[22]。この説は広く信じられており、英国海軍御用達の酒造パッサーズ社英語版までも「Nelson's blood」と銘打ったラム酒を販売するほどであったが、現在は異説が有力であり、ネルソン提督の遺体の保存のために使用されたのは、ラムではなくブランデーであったと言われる[23]。しかし、ブランデーは「ネルソンの血」と呼ばれることはない。
    • ネルソンの旗艦、ビクトリー号が保存されているポーツマス軍港の国立博物館発行のパンフレットには、ブランデーと記載され、イギリス政府のNational Archivesのホームページにも当初はブランデーとの記載があるので、ブランデー説が有力と思われる。ビクトリー号の現地解説員からは、コニャックを主体に、船医が綿密に計画して他液体を調合した、と説明がある。
    • このネルソンを漬けたラムを水兵たちが盗み飲みしてしまったため、帰国の際には樽は空っぽになっていたという逸話もある。しかし、実際にそのラムを飲んだのはイギリスに到着してからであった、つまりネルソンの遺体を保存するという役目を果たした後のラムであったとも言われる[24]
  • アメリカ第二次キューバ独立戦争に介入し、キューバがスペインから独立した時に、アメリカ兵がラムをコーラで割るという飲み方をした。このラムをコーラで割ったものは、キューバ・リブレ(Cuba libre, 英語ではキューバ・リバー、スペイン語ではクーバ・リブレ)と呼ばれるカクテルの1つである。コーラ割りというラムの飲み方は、ラムの水割りであるグロッグと共に、ラムの主要な飲み方の1つとなった。

その他

  • ベイラム - ラムにベイツリー 英語版をはじめとする各種薬草・香草・香油・等を配合したローション(主にアフターシェーブローション)。飲用ではないが、カートゥーンでは、これを飲んで酔っ払う場面が登場することがある。
  • ラムフィニッシュ - ラムを熟成した樽に熟成終了直前のウィスキーを入れて、ウィスキーの仕上げの熟成をする手法。これは、ラムの香味をウィスキーに移すことを狙った手法である。

注釈

  1. ^ 75.5%より高いアルコール度数のラムの銘柄も存在する。例えばStroh 80は80%である。

出典

  1. ^ [1]
  2. ^ 落合直文著・芳賀矢一改修 「らむ」「らむしゆ」『言泉:日本大辞典』第五巻、大倉書店、1928年、4906頁。
  3. ^ マグロンヌ・トゥーサン=サマ 著、玉村豊男 訳『世界食物百科』原書房、1998年、583頁。ISBN 4562030534 
  4. ^ [2]
  5. ^ フィリップ・ジャカン『海賊の歴史』創元社、2003年、129-130頁。 
  6. ^ a b リチャード・プラット『知のビジュアル百科 海賊事典』あすなろ書房、2006年、45頁。 
  7. ^ 洋酒物語, p. 93,97; 洋酒入門, p. 30.
  8. ^ ジョニー・デップに英ラム酒メーカー感謝?「パイレーツ」影響で消費量激増”. 映画.com (2007年12月4日). 2014年12月4日閲覧。
  9. ^ ラムの製法”. 日本ラム協会. 2017年4月12日閲覧。
  10. ^ UNESCO - Knowledge of the light rum masters” (英語). ich.unesco.org. 2022年12月3日閲覧。
  11. ^ 日本ラム協会『ラム酒大全』誠文堂新光社、2017年、27頁。 
  12. ^ 日本ラム協会『ラム酒大全』誠文堂新光社、2017年、107頁。 
  13. ^ 銘酒事典, p. 49,186.
  14. ^ “香川の和三盆、ラム酒に 美馬産業が蒸留所 廃棄の糖蜜活用、甘さ上品 観光一体型 12月稼働”. 日本経済新聞. (2022年4月21日). https://www.nikkei.com/article/DGKKZO60167080Q2A420C2LA0000/ 2022年8月30日閲覧。 
  15. ^ 和三盆ラム酒を日本酒の木おけで仕込み 「絶対良いものになる」伝統×伝統の新取り組み 香川”. 瀬戸内海放送 (2021年8月11日). 2022年8月30日閲覧。
  16. ^ ジョセフ・M・カーリン 著、甲斐理恵子 訳『カクテルの歴史』原書房、2017年、27頁。 
  17. ^ リチャード・フォス 著、内田智穂子 訳『ラム酒の歴史』原書房、2018年、35頁。 
  18. ^ 洋酒物語, p. 95.
  19. ^ a b 洋酒物語, p. 98.
  20. ^ ジョセフ・M・カーリン『カクテルの歴史』原書房、2017年、49頁。 
  21. ^ Vocabulary.com, groggy.
  22. ^ 洋酒物語, pp. 93–94.
  23. ^ ロイ・アドキンズ『トラファルガル海戦物語』 下、原書房、2005年。ISBN 978-4562039623 
  24. ^ 洋酒物語, pp. 93–94; 洋酒入門, p. 30.


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