モクレン 特徴

モクレン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/08 01:44 UTC 版)

特徴

落葉広葉樹低木から小高木[18]株立ちすることが多く[18][8]、幹はしばしば基部で分枝し、高さ2 - 4メートル (m) になる[7][15][19][20](下図1a)。樹皮は灰白色で、平滑で皮目がある(下図1b)[8][7][20]。若木の樹皮は褐色を帯びる[8]。一年枝はやや細く紫褐色[8]、小枝は紫緑色から紫褐色で短枝化しやすく、托葉痕が枝を一周する[8][20]

1a. 花をつけた個体(3月)
1b. 樹皮
1c. 葉

互生し、葉身は広倒卵形から卵状楕円形で、長さ8 - 20センチメートル (cm)、幅 3 - 11 cmになり、葉縁は全縁でやや波状、基部はくさび形、先端は急に突出する[15][7][19](上図1c, 下図1e)。葉脈は羽状、側脈は8 - 10対[19][20]。葉はやや厚く、表面は緑色、裏面は灰緑色で葉脈上に毛がある[15][7][19][20]葉柄は長さ 0.8 - 2 cm[15][7][19][20]

冬芽は互生し、葉芽は小さく、短毛に覆われる[8][7](下図1d)。葉痕は浅いV字形や三日月形であり、維管束痕は7 - 8個、托葉痕は枝を1周する[8][7]花芽は大きく、長さ2 cmほどの先がとがった長卵形で枝先につき、白く長い軟毛で覆われる[8][7](下図1d)。冬芽の芽鱗は托葉2枚と葉柄基部が合着して、帽子状に被っている[8]。若葉は、開花と同時期に開き始める[18]

1d. 花芽と葉芽
1e. 花
1f. 雄しべ群と雌しべ群

花期は3 - 4月であり、葉より前に開花し始め、葉の展開に伴って咲き続ける[15][7](上図1a, 1e)。花は両性花、長さ約 10 cm、上向きに直立して開花するが、ふつう全開しない[18][15][7][20](上図1e)。モクレンの花は大形で、開きはじめのころは日当たりの良い方が早く生長するため、先端部が北の方角に向くのが目立つ[21]花被片はふつう3個ずつ3輪、外側の3枚は萼片状で長さ 2 - 3.5 cm、黄緑色から紫緑色で反曲し、早落性(上図1e)、内側の6枚は花弁状で倒卵状長楕円形、8 - 10 × 3 - 4.5 cm、紅紫色だが内面が白っぽいことがある(上図1e)[15][7][20]雄しべは多数がらせん状につき、長さ8 - 10ミリメートル (mm)、紅紫色、花糸は短く、は側向葯で長さ約 7 mm、葯隔は突出する[15][20](上図1f)。雌しべは多数がらせん状につき、離生心皮、淡紫色、無毛[20](上図1f)。花にはやや芳香があり[20]、花の匂いの主成分はペンタデカンである[22]

果期は8 - 9月、個々の雌しべ袋果となり、花軸が伸長して長さ 7 - 10 cm ほどの集合果になる[7][15][20](下図1g)。袋果が裂開すると、赤い肉質種皮で覆われた種子が珠柄に由来する白い糸で垂れ下がる[15](下図1h)。染色体数は 2n = 76[15][20](4倍体)[5]

1g. 集合果
1h. 袋果から出現した種子

注釈

  1. ^ 万葉集で詠まれている初夏に赤い花をつける植物であるが、具体的にどの植物なのかは不明である。シモクレンとする説のほか、ニワウメバラ科)とする説がある[11]
  2. ^ 「きはちす」、「きばちす」と読んだ場合はフヨウムクゲアオイ科)を意味する[13]
  3. ^ シモクレンの変種(Magnolia liliiflora var. gracilis)として分類学的に分けることもある[27]

出典

  1. ^ a b c d e f g h GBIF Secretariat (2022年). “Magnolia liliiflora Desr.”. GBIF Backbone Taxonomy. 2022年2月17日閲覧。
  2. ^ a b 東浩司 (2003). “モクレン科の分類・系統進化と生物地理: 隔離分布の起源”. 分類 3 (2): 123-140. doi:10.18942/bunrui.KJ00004649577. 
  3. ^ a b Wang, Y. B., Liu, B. B., Nie, Z. L., Chen, H. F., Chen, F. J., Figlar, R. B. & Wen, J. (2020). “Major clades and a revised classification of Magnolia and Magnoliaceae based on whole plastid genome sequences via genome skimming”. Journal of Systematics and Evolution 58 (5): 673-695. doi:10.1111/jse.12588. 
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  9. ^ 木蘭花”. コトバンク. 株式会社DIGITALIO. 2022年2月16日閲覧。
  10. ^ 木蓮・木蘭”. コトバンク. 株式会社DIGITALIO. 2022年2月26日閲覧。
  11. ^ 唐棣花・棠棣・朱華”. コトバンク. 株式会社DIGITALIO. 2022年2月16日閲覧。
  12. ^ a b c d e シモクレン”. 熊本大学薬学部 薬草園 植物データベース. 2022年2月16日閲覧。
  13. ^ 木蓮”. コトバンク. 株式会社DIGITALIO. 2022年2月26日閲覧。
  14. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2007–). “シモクレン”. 「植物和名ー学名インデックスYList」(YList). 2022年2月18日閲覧。
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  24. ^ a b 植田邦彦, 緒方健 (1989). “モクレン属”. In 堀田満ほか. 世界有用植物事典. 平凡社. pp. 650–652. ISBN 9784582115055 
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  26. ^ a b c d e モクレンの育て方”. ガーデニングの図鑑. 2022年2月18日閲覧。
  27. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2007–). “トウモクレン”. 「植物和名ー学名インデックスYList」(YList). 2022年2月19日閲覧。
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  29. ^ カラスモクレン”. コトバンク. 株式会社DIGITALIO. 2022-02-29閲覧。
  30. ^ モクレン”. 三河の植物観察. 2022年2月19日閲覧。
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  33. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2007–). “ソコベニハクモクレン”. 「植物和名ー学名インデックスYList」(YList). 2022年2月15日閲覧。
  34. ^ Magnolia ‘Ann’, ‘Betty’, ‘Jane’, ‘Judy’, ‘Pinkie’, ‘Randy’, ‘Ricki’, and ‘Susan’”. U.S. National Arboretum Plant Introduction. 2022年2月23日閲覧。
  35. ^ Magnolia ‘Star Wars’ (M. liliiflora x M. campbellii)”. BLACK DIAMOND IMAGES. 2022年2月27日閲覧。
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  38. ^ 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 68.
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  40. ^ シンイ”. 第十七改正日本薬局方(JP17) 名称データベース. 国立医薬品食品衛生研究所. 2022年3月14日閲覧。
  41. ^ 木蓮(もくれん)”. きごさい歳時記. 2022年2月28日閲覧。
  42. ^ モクレンの花言葉”. はなたま (2021年4月6日). 2022年2月19日閲覧。
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  44. ^ Ueda, K. (1985). “A nomenclatural revision of the Japanese Magnolia species (Magnoliac.), together with two long-cultivated Chinese species: III. M. heptapeta and M. quinquepeta”. Acta Phytotaxonomica et Geobotanica 36 (4-6): 149-161. doi:10.18942/bunruichiri.KJ00001078551. 






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