メタミドホス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/20 10:23 UTC 版)
規制
国際的な基準としてはコーデックス委員会で定められた残留基準値がある[4]。この中では乾燥ホップに5 ppm、アルファルファ飼料2 ppm、芽キャベツ・キュウリ・レタス1 ppm、ナタネ0.1 ppmなどが定められている。
中国
中華人民共和国では、高毒性農薬であるとして野菜、キノコ、茶、果樹、生薬、家庭内の衛生害虫、家畜への使用は禁じられてきた。また、有機リン系農薬の最大許容残留量を穀物、野菜および果物、食用植物油に分けて定めているが、メタミドホスについては野菜などには使用禁止のため、使用が認められている穀物に関して0.1 ppm以下という残留基準しかない。検査はガスクロマトグラフによって行うことが中国国家規格(GB/T 5009.20-1996)に定められている。
しかしながら、1990年代より使用が禁止されているはずの野菜や果物に使用し、それが残留して中毒を起こす事例が多発したため、中国政府の関係部門は1995年頃より使用禁止を検討するようになった。例えば広東省広州市では1995年から野菜栽培地域でのメタミドホスの販売と使用を禁止し、2001年10月からは市全域で販売と使用を禁止した。
2003年12月30日には中国農業省が全国を対象に段階的に制限する通達を出した。これにより2004年1月1日からメタミドホス、パラチオン、メチルパラチオン、モノクロトホス、ホスファミドンの5種類の高い毒性を有する有機リン系製剤の製造許可証を取り消し、同年6月30日から中国国内での製剤の販売と使用を禁止した。ついで2005年1月1日より、メタミドホスなどの高い毒性を有する有機リン系5種の原体製造企業を除く製剤製造企業の製剤登録を抹消し、同時に原体製造企業の製品の使用範囲を綿花、イネ、トウモロコシ、小麦の4作物のみに縮小させた。2007年1月1日からは国内全域で農業での使用と販売を禁止、2008年1月9日からはすでに契約済みの輸出向け製品を除いて生産も禁止した[5]が、同年2月15日に共同通信の日本人記者がメタミドホスを中国国内で購入、所持していたとして河北省当局に拘束されるなど、違法な購入は可能な状況であった。2009年からは輸出向けも含めて全ての生産が禁止された。
また、日本では過去に中国からの輸入品を中心にソバやレイシなどで、残留基準値を超えるメタミドホスが検出されている[6]。
日本
農薬として使うには農薬取締法により毒性などの多くの試験が必要となるが、農薬登録には至っていないため使用は禁止されている。しかし、登録農薬であるアセフェートの加水分解で生成すること、世界中でメタミドホスが使用されていることから、いくつかの食品について残留農薬の規制値が設定されている[7]。また、規制値が設定されていない食品については、残留農薬等に関するポジティブリスト制度によって0.01 ppmが設定されている。
アメリカ
アメリカでは1996年に食品品質保護法が制定され、その結果有機リン系農薬について規制値の大幅な見直しが行われた。現在、ブロッコリー、キャベツ、キュウリ、ナス、レタス、トマト、ジャガイモなどに残留基準値が設定されている[8]。主に使用されているのはジャガイモである[9]。
- ^ 日本特許 特公昭42-14525
- ^ a b 米国特許 第3,309,266号、米国特許 第3,639,547号、日本特許 特公昭42-21811
- ^ 米国特許 第3,337,658号
- ^ a b International Program on Chemical Safety Health and Safety Guide No.79 [1]
- ^ 中国農業信息網:メタミドホスなど5種類の高毒性農薬の生産、流通、使用停止通達 Archived 2008年1月18日, at the Wayback Machine.(『中国農業省』公式ウェブサイト 2008年1月9日 中国語)
- ^ 中国製ギョーザで10人中毒症状 殺虫剤成分を検出 Archived 2008年2月3日, at the Wayback Machine.(『中日新聞』 2008年1月31日付 朝刊)
- ^ 日本食品化学研究振興財団 [2]
- ^ CFR 40 §180.315“アーカイブされたコピー”. 2008年6月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年3月2日閲覧。
- ^ [3]
- ^ TOXNET
- ^ 神奈川県化学物質安全情報提供システム - メタミドホス
- ^ (独)製品評価技術基盤機構 化学物質管理情報 GHS分類結果データベース - メタミドホス
- ^ FNNニュース - 中国産冷凍ギョーザを食べた10人が健康被害訴え 各地で一斉に回収作業 放送中、専門家[誰?]により「体重50kgの人間が1.5g食べると、約半分の確率で死亡する」との趣旨の発言があった。
- ^ Pesticide Management Education Program(コーネル大学、ミシガン州立大学、オレゴン州立大学、カリフォルニア大学 デービスキャンパスなどによるメタミドホスに関する情報提供)
メタミドホスと同じ種類の言葉
固有名詞の分類
- メタミドホスのページへのリンク