ミゾソバ 分布

ミゾソバ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/12 15:24 UTC 版)

分布

アジア日本朝鮮半島中国)に分布する。

日本では北海道本州四国九州に分布する[12]。山地の小川沿いや沼沢地、湿地、水田、畦、湖岸などに自生する[12]。 特に稲作地帯などでコンクリート護岸化されていない用水路脇など、水が豊かで栄養価が高めの場所に群生していることが多い。

今でこそ護岸をコンクリートで固められてしまった場合が多いが、かつて日本各地で水田が見られた頃は、土盛りされていた用水路、小川などの縁に普通に生えており、その見た目が蕎麦に似ていることが和名の由来になっている。

特徴

一年生の草本[12]。水辺などで 30 - 80センチメートル (cm) ほどに生長し、根元で枝分かれして地面を這って根を下ろして群生する[13]匍匐茎に閉鎖花をつけ種子を稔らせる場合もあるとされる[14]。またには下向きに細かい小さな刺が無数に生えており[13]、他の植物などに絡みついて伸びることがある。

葉は互生し、形が牛の額にも見えることからウシノヒタイ(牛の額)と呼ばれることもある。

花期は晩夏から秋にかけて(7 - 10月)[12]。茎の先端で枝分かれした先に、直径 4 - 7ミリメートル (mm) ほどで、根元が白く先端が薄紅色の多数の花を咲かせる。 なお、他のタデ科植物と同様に花弁に見えるものはである。

利用

開花前の若芽、若葉、つぼみや若い花を摘んで食用にする[13]。採取時期は、新芽と茎葉が4 - 6月ごろ、つぼみと花は7 - 9月ごととされる[13]。食味は穏やかな酸味と甘みがある[13]。若芽と若葉は天ぷらにする[13]。アクが強いため、下ごしらえにあく抜きをして使い、芽と葉は塩を入れた熱湯で茹でて水に取り、花は酢を入れた熱湯でさっと茹でる[13]。下ごしらえした若芽や若葉は、おひたし、ごま和え、油炒め佃煮などにする。また花は、酢味噌和え、辛子和え、ドレッシング和え、サラダトッピングにも使える[13]。花やつぼみにはシュウ酸が多いので、食べ過ぎないように注意が必要である[13]

著名な民間薬のひとつである石田散薬の原料とされた。なお、石田散薬の製造元では牛革草と呼ばれていた。「牛額」から転じたものであろうか。


  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Persicaria thunbergii (Siebold et Zucc.) H.Gross var. thunbergii ミゾソバ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年9月17日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Persicaria thunbergii (Siebold et Zucc.) H.Gross ミゾソバ(広義)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年9月17日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Polygonum thunbergii Siebold et Zucc. var. hastatotrilobum (Meisn.) Maxim. ex Franch. et Sav. ミゾソバ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年9月17日閲覧。
  4. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Polygonum thunbergii Siebold et Zucc. ミゾソバ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年9月17日閲覧。
  5. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Polygonum hastatotrilobum Meisn. ミゾソバ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年9月17日閲覧。
  6. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Polygonum thunbergii Siebold et Zucc. var. stoloniferum (F.Schmidt) Makino ミゾソバ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年9月17日閲覧。
  7. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Persicaria thunbergii (Siebold et Zucc.) H.Gross var. stolonifera (F.Schmidt) Nakai ex H.Hara ミゾソバ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年9月17日閲覧。
  8. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Persicaria thunbergii (Siebold et Zucc.) H.Gross var. coreana (H.Lév.) Nakai ミゾソバ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年9月17日閲覧。
  9. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Persicaria thunbergii (Siebold et Zucc.) H.Gross subsp. hastatotriloba (Meisn.) Sugim. ミゾソバ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年9月17日閲覧。
  10. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Persicaria thunbergii (Siebold et Zucc.) H.Gross f. inermis (Honda) Sugim. ミゾソバ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年9月17日閲覧。
  11. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Truellum thunbergii (Siebold et Zucc.) Soják ミゾソバ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年9月17日閲覧。
  12. ^ a b c d e f 篠原 2008, p. 128.
  13. ^ a b c d e f g h i 篠原 2008, p. 123.
  14. ^ 植物雑学事典 ミゾソバ(岡山理科大学 波田研究室)


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