ハイマツ ハイマツの概要

ハイマツ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/20 03:42 UTC 版)

ハイマツ
ハイマツの針葉と球果
保全状況評価[1]
LOWER RISK - Least Concern
(IUCN Red List Ver.2.3 (1994))
分類クロンキスト体系
: 植物界 Plantae
: 裸子植物門 Gymnospermae
: マツ綱 Coniferopsida
: マツ目 Coniferae
: マツ科 Pinaceae
: マツ属 Pinus
亜属 : Strobus
: Strobi
: ハイマツ P. pumila
学名
Pinus pumila (Pall.) Regel[2]
シノニム
  • Pinus pumila (Pall.) Regel var. yezoalpina Ishii et Kusaka[3]
  • Pinus pumila (Pall.) Regel var. kubinaga Ishii et Kusaka[4]
和名
ハイマツ(這松)
英名
Siberian Dwarf Pine

名前と分類

和名ハイマツは漢字で這松と書き、地を這うように生育することから命名されたものである[5]。別名に、イザリマツ[5]、ソナレマツ[5]、エゾハイマツ[2]、クビナガハイマツ[2]などがある。種小名 pumila は「小さい」という意味である[6]。北日本産やシベリアのものは樹形や針葉内部の樹脂道の数が本州中部高山帯のものと異なり、亜種として認める意見もある[7]

身近な松であるアカマツクロマツとは亜属単位で異なり、Strobus亜属、いわゆる五葉松のグループに分類される。

分布・生育地

シベリア東部、カムチャツカ樺太中国東北部朝鮮半島、日本にかけての寒冷地に分布する[8]。日本は分布の南限に当たる。氷期に北方から南下してきて、温暖化とともに日本に取り残されて高山に逃げ込んだ氷河遺存種である。日本国内では北海道から中部地方高山帯に分布し、その南限は赤石山脈光岳、西限は加賀の白山である。本州では中北部の一部の山地上部で見られるが、比較的標高が高い富士山男体山(栃木県)などでは見られない[8]

日本では一般に高山帯の植物で、高木限界より上部の中部山岳地帯でおよそ海抜2,500 - 3,000メートル以上、青森県八甲田山で海抜1,500メートル以上、北海道でおよそ海抜1,000メートル以上に自生することが多いが、北海道の知床半島礼文島では海岸近い低地にも自生している例がある[5]。道東、屈斜路湖の近くにあるアトサヌプリ(硫黄山)は山頂の標高は512メートルに過ぎないが、山麓の低い標高の場所でもハイマツが見られる[8]。これはこの山が常に硫黄の蒸気を噴出する活火山であるため土壌が酸性化しており、平地に通常生育する植物が育つことができないためである。


  1. ^ Conifer Specialist Group 1998. Pinus pumila. In: IUCN 2010. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2010.4.
  2. ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Pinus pumila (Pall.) Regel” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年8月7日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Pinus pumila (Pall.) Regel var. yezoalpina Ishii et Kusaka” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年8月7日閲覧。
  4. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Pinus pumila (Pall.) Regel var. kubinaga Ishii et Kusaka” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年8月7日閲覧。
  5. ^ a b c d e f 辻井達一 1995, p. 22.
  6. ^ 豊国秀夫 編 『復刻・拡大版植物学ラテン語辞典』ぎょうせい、2009年。 
  7. ^ 石井盛次「マツ属の基礎造林学的研究 特にその分類学的ならびに地理学的考察」『高知大学農学部紀要』19号、1968年。
  8. ^ a b c 辻井達一 1995, p. 23.
  9. ^ a b 辻井達一 1995, p. 19.


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