ネットブック ハードウェア

ネットブック

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/06 07:24 UTC 版)

ハードウェア

簡易的ながらビデオチャット用にWebカメラを備える機種もある(Eee PC

基本的に、小型で安価で一定性能に限定されている。携帯性の良いネット端末としてはすでに携帯電話が普及しており、また携帯性を重視した情報機器としては携帯情報端末(PDA)が存在していることから、ネットブックは「パソコン」としての最低限の機能を備えるものと位置づけられる。オペレーティングシステム(OS)は事実上の標準の地位を築いているMicrosoft Windows(主にULCPC向け限定ライセンスによるWindows XP)や、LinuxなどUNIX系オープンソースOSが搭載されている。

ネットワーク接続

ネットブックの主用途ともなるインターネットへの接続はイーサネットに対応し、有線LANに加え、無線LANモジュールを標準で搭載している機種がほとんどである。このため、基本的にブロードバンドインターネット接続に対応していると考えて問題ない。無線LANの利用が可能な範囲にあるネットブックは、ほとんどの場合は電源を投入し、簡単な設定をするだけで、すぐさまインターネットに接続可能である。

なおイーサネット接続並びに無線LAN接続では、ネットブックがインターネットへの接続と同時に、Local Area Network(LAN)内に接続された他のコンピュータ上で共有されるネットワークリソースにアクセス可能なことも意味しており、この中にはネットワークアタッチトストレージ(NAS)などファイルサーバも含まれる。

加えて、前述の通り移動体通信としての周辺機器を接続することにより無線アクセスのサービスも利用可能であることから、これらを利用すれば日常生活のあらゆる箇所で、電源さえ確保できればインターネット接続が可能であり、パソコンを使用する最低限度の作業が可能である。

CPU

ネットブックのCPUには低価格で省電力なものが採用されている。具体的には、CPU製造大手インテルのAtomプロセッサや[10]VIA TechnologiesC7-M[11]Nano U SeriesAMDGeodeAthlon Neoなど、そこそこの計算能力を備えつつ消費電力を抑え、かつ安価で供給されるCPUが搭載されている。

映像出力を補佐するGraphics Processing Unit(GPU)はチップセット統合型GPUを採用している。インテル製チップセット統合型GPUでは高画質な動画再生やFlash動画の再生でグラフィック性能不足が懸念されていたが、こうしたグラフィック性能改善を目的として、CPUにAMD Athlon II Neo、チップセットにRADEON IGPを内蔵したネットブック製品が各社から登場している。

入出力

入力機器としてキーボード、ポインティングデバイスにタッチパネルやタッチパッドを備え、外付け(USB接続)マウスも利用可能となっている。また外部モニタへの接続を視野にいれ、従来のノートパソコン同様にVGA端子などの映像出力端子を標準的に備える製品も少なくない。

記憶装置

メインメモリはOSが適度に動作できる1Gバイト程度を搭載するものが多い。内蔵の補助記憶装置にはハードディスクドライブ(HDD)ないしソリッドステートドライブ(SSD)が搭載されている。SSD搭載機種にはOSと幾つかのアプリケーションソフトウェアを導入できる数Gバイト程度の容量しか持たない機種がある。この限られた記憶容量は、多くがUSBメモリの使用で補われるが、メモリカードリーダーを内蔵する機種では、フラッシュメモリメモリカードも使用可能である。また、ウェブストレージを利用するユーザーもいる。

BD/DVD/CDドライブのような光学ドライブは携帯に不向きな大きさやコスト面の問題から省かれることが多く、これらの光学ディスクの読み書きにはUSB接続によって外部ドライブの使用が必要である。このように、多くの周辺機器はUSB接続で利用可能であるが、HD動画の再生のようなCPUの処理能力やメモリ容量など要求される利用法では、機種によっては満足に動作しない。

電源

動作電源は、普通の100-240Vの商用電源と内蔵バッテリーが利用できる。バッテリーの持続時間が2時間程度と従来型ノートパソコンの半分以下のものがあり、一部機種は急速充電に対応することで不便の軽減に努めている。連続稼働時間を延長できる大容量バッテリーを同梱や別売りにした上位機種もある。省電力なSSDを搭載した機種では、HDDを搭載した機種に比べて一般的にバッテリー持ち時間が長い製品が多い。


  1. ^ IT用語辞典 BINARY 「ネットブック」”. 2009年7月6日閲覧。
    IT用語辞典 e-Words「ネットブック」”. 2009年7月6日閲覧。
    Intel.com: Thoughts on Netbooks
  2. ^ ITpro記事:Netbookとは
  3. ^ スラッシュドットジャパン:100ドルPCの製造委託先が決定
  4. ^ PC Watch記事:大河原克行の「パソコン業界、東奔西走」
  5. ^ INTERNET Watch記事「多くの消費者がネットブックとノートPCを勘違い? 米NPD調査」
  6. ^ asahi.com記事「富士通、ネットブックのCPU性能向上」
  7. ^ “「ネットブック」はそれからどうなったのか”. Timesteps. (2016年10月9日). http://timesteps.net/archives/netbook.html 2017年3月18日閲覧。 
  8. ^ 「ネットブック」の再来?2万円のWindows 10ラップトップ、Acerの「Cloudbook」の衝撃 | Cloud-Work
  9. ^ 個人でも買える快速Chromebook - デル「Chromebook 11」を試す”. マイナビニュース. 2020年6月20日閲覧。
  10. ^ ITmedia記事:インテルの携帯デバイス市場進出に最高の武器──それがAtom
  11. ^ 日経PB記事:「Atomには譲らない」,VIAもC7-M搭載の小型ノート機をずらり展示
  12. ^ techarp "Maximum Hardware Specifications For Small Notebook PCs"
  13. ^ ネットブック専用? Windows 7 Starterは何が違う
  14. ^ 道本健二、内田泰著 『ネットブック第二幕』 日経エレクトロニクス2009年7月27日号
  15. ^ マイクロソフト社プレスリリース:Microsoft Announces Extended Availability of Windows XP Home for ULCPCs(英)
  16. ^ ITmedia記事:超低価格ノートPC、ノートPC市場の5%未満で推移――IDC予測
  17. ^ ITmedia記事:7月24日に再開された「HP 2133 Mini-Note PC」の販売が再度休止――日本HP
  18. ^ ITmedia +D PC USER記事:XPなら3倍速!?Windows XP環境で「HP 2133 Mini-Note PC」を試す
  19. ^ TechCrunch記事:[CG]Netbookは誰かがすでに登録商標済みだったんだって
  20. ^ PSION Teklogixプロダクト Archived 2011年1月4日, at the Wayback Machine.(英語)
    マイコミジャーナル記事:Psion、モバイル端末「NETBOOK PRO」発表、OSにWindows CE採用
  21. ^ ZDNet記事:「Netbook」商標問題でPsionとインテルが和解





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