ニューヨーク証券取引所
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/25 14:19 UTC 版)
組織
大陸間取引
2005年4月20日、電子証券取引所を運営するアーキペラゴ・ホールディングス社(Archipelago Holdings Inc.、AX)の買収計画が発表され、証券取引委員会(SEC)がこれを承認したことを受け、NYSEは66億ドルを投じてAXを買収。手続を2006年3月7日に終了させた上で持株会社「NYSEグループ」を設立、翌3月8日にNYSEに株式を上場した。これによりNYSEは、213年間に及ぶ非営利会員組織としての歴史に幕を下ろし、NYSEグループ傘下の株式会社として再出発した。
2006年6月1日、証券取引所運営会社ユーロネクストとの合併を発表。2007年4月4日、監督官庁や株主の承認を経て、新会社NYSEユーロネクストが発足した。
2013年11月、ニューヨーク証券取引所の親会社であるNYSEユーロネクストをインターコンチネンタル取引所が買収した[6]。
2017年10月、インターコンチネンタル取引所がロイヤル・バンク・オブ・スコットランドからユーロクリア株4%を買収しようと具体的な交渉を詰めていることが報じられた[7]。ニューヨーク証券取引所を起源とするDTCC(Depository Trust & Clearing Corporation)は事実上の国際証券集中保管機関として稼動してきた。ユーロクリアへの資本参加を打診しているということは、DTCCの手に余る事態が生じているということである。NYSE Arcaで上場投資信託(ETF)のマーケットメイク制度が未完成なのである。2018年5月ドッド・フランク法の改正と「ボルカールール2.0」の採択が行われ、大銀行とその傘下のシャドー・バンキング・システムがマーケットメイク制度に参加しやすくなる。
ETFとアーカ
ETFマーケットメイクをめぐる問題は、ETFとアーカの歴史から説明される。パシフィック証券取引所(Pacific Exchange)は現物株式と上場オプション市場を運営していたが、1980年代から出来高のシェアを失った。そこでパシフィックはETFマーケットメイクの試験的運営を証券取引委員会に登録申請した。これは1997年9月に恒久的な制度として承認された。パシフィックは2007年7月、アーキペラゴに電子取引システムを提供させ、自らは自主規制機能を担うという提携を発表した。2005年1月、アーキペラゴ・ホールディングスがパシフィックを完全買収、上場オプションとETF込み現物株式のマーケットメイカーとなった。[8]
2006年発足したNYSEユーロネクストは、2008年1月アメリカン証券取引所(アメックス)を買収した。アメックスはナスダックの発展にともない取引シェアを失っており、打開策として1993年1月にステート・ストリートのSPDRというETFを上場させ、他のETFに対しても上場を誘致していた。NYSEユーロネクストのアメックス買収はETF市場の取得を目的の一つとしていたので、NYSEユーロネクストは自社上場のETFとアメックス上場のそれを集約してアーカへ移管した。また、2005年7月にバークレイズ・グローバル・インベスターズ(現ブラックロック)が19銘柄、2008年8月にバンガード(Vanguard)が34銘柄、同年12月にステート・ストリートが75銘柄のETFをアーカへ移管、世界金融危機下でマーケットメイク等の合理化に成功した。[8]
危機でもETF設定累計額は上昇をやめなかった。2013年6月、アーカはETFマーケットメイカーにスポンサー(大銀行や機関投資家)をつける制度(EIP)の試験的運営を申請した。バンガードが利益相反の問題を指摘したものの、証券取引委員会は承認した。2017年4月の報告書は、試験結果を示すにはデータが不足していると述べた。試験はスポンサーがいなくなったので中断されたが、ボルカールール2.0で試験は再開される見込みである。[8]
日本は2018年7月2日に東京証券取引所がETF市場でマーケットメイク制度を導入した[9]。アメリカでEIPが制度化されて、日本へ輸入された場合は、日銀がシャドー・バンキング・システムに供給した流動性が、マーケットメイクのスポンサーという形で日本のETF市場をさらに機関化することになる。
- ^ “NYSE Composite Index”. 2013年5月7日閲覧。
- ^ National Park Service (23 January 2007). "National Register Information System". National Register of Historic Places. National Park Service. 2020年10月12日閲覧。
- ^ a b “New York Stock Exchange”. National Historic Landmark summary listing. National Park Service (2007年9月17日). 2014年6月9日閲覧。
- ^ a b c d e 亜州IR株式会社. “NY証券取引所、ナスダック…米国株式マーケットの基礎知識”. 幻冬舎ゴールドオンライン. 2022年3月7日閲覧。
- ^ 戸松信博『日本人が知らなかった海外投資 米国株』翔泳社、2012年、176頁
- ^ ICE、NYSEユーロネクスト買収を完了 - WSJ
- ^ skynews, "New York Stock Exchange owner to buy RBS stake in Euroclear", Sunday 22 October 2017, By Mark Kleinman, Retrieved Tuesday 13 March 2018
- ^ a b c 岡田功太 「米国ETFのマーケットメイカー制度と日本への示唆」 資本市場 (386), 52-59, 2017-10
- ^ マーケットメイク制度 | 日本取引所グループ
- ^ a b 新保博彦『日米コーポレート・ガバナンスの歴史的展開』中央経済社、2006年、77頁
- ^ Securities and Exchange Commision, Report of Special Study of Securities Markets, U.S.government printing office, 1963, Part.2. p.876. ChartⅧ h and i
- ^ Anthony Schlesinger, "The Third Market, Challenge to the New York Stock Exchange", Southwestern Law Journal, Vol.20, 1966, p.640.
- ^ “NY証券取引所のトップに女性、創業226年で初”. CNN Japan (2018年5月24日). 2018年6月2日閲覧。
- ^ NYSE: NYSE Market Information
- ^ 23:30 - 6:00(日本時間)夏時間(3月の第2日曜日 - 11月の第1日曜日)は1時間早い
- ^ a b そもそも米国株とは? マネックス証券 2016年12月23日閲覧
- ^ a b “NYSEとナスダックは、どう違う?”. SBI証券. 2022年3月7日閲覧。
- ^ National Park Service, National Historic Landmarks Survey, New York Archived 2013年9月22日, at the Wayback Machine., Retrieved May 31, 2007.
- ^ George R. Adams (1977年3月). “New York Stock Exchange National Register of Historic Places Inventory-Nomination (1MB PDF)” (PDF). National Park Service. 2008年1月30日閲覧。
- ^ “National Register of Historic Places Inventory-Nomination (1MB PDF)” (PDF). National Park Service (1983年). 2008年1月30日閲覧。
- ^ History of the Bell
- ^ [1]
- ^ “米証券取引委員会、外国企業の情報開示義務に関する最終規則発表”. 日本貿易振興機構. 2022年3月7日閲覧。
固有名詞の分類
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