ドッペルゲンガー ドッペルゲンガーの概要

ドッペルゲンガー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/29 20:51 UTC 版)

ダンテ・ガブリエル・ロセッティ, How They Met Themselves, 水彩, 1864

ドイツ語: Doppel英語: doubleと同語源)とは、「二重」「生き写し、コピー」という意味を持ち、: Doppelgängerを逐語訳すると「二重の歩く者」「二重身」となる。英語風に「ダブル」と言うこともあり、漢字では「復体」と書くこともある[2]

ドッペルゲンガー現象は、古くから神話伝説迷信などで語られ、肉体から霊魂が分離・実体化したものとされた[6][2]。この二重身の出現は、その人物の「の前兆」と信じられた[6][注釈 1]

18世紀末から20世紀にかけて流行したゴシック小説作家たちにとって、死や災難の前兆であるドッペルゲンガーは魅力的な題材であり、自己の罪悪感の投影として描かれることもあった[7]

特徴

ドッペルゲンガーの特徴として、

  • ドッペルゲンガーの人物は周囲の人間と会話をしない。
  • 本人に関係のある場所に出現する。
  • ドアの開け閉めが出来る
  • 忽然と消える
  • ドッペルゲンガーを2回見ると見た人も死ぬ

などがあげられる。

同じ人物が同時に複数の場所に姿を現す現象、という意味の用語ではバイロケーションと重なるところがあるが、バイロケーションのほうは自分の意思でそれを行う能力、というニュアンスが強い[2]。つまりドッペルゲンガーのほうは本人の意思とは無関係におきている、というニュアンスを含んでいる。

歴史と事例

アメリカ合衆国第16代大統領エイブラハム・リンカーン帝政ロシアエカテリーナ2世、日本の芥川龍之介などの著名人が、自身のドッペルゲンガーを見たという記録も残されている。

19世紀フランス人エミリー・サジェはドッペルゲンガーの実例として有名で[2]、同時に40人以上もの人々によってドッペルゲンガーが目撃されたといわれる[4]。同様に、本人が本人の分身に遭遇した例ではないが、古代の哲学者ピタゴラスは、ある時の同じ日の同じ時刻にイタリア半島のメタポンティオンとクロトンの両所で大勢の人々に目撃されたという。


注釈

  1. ^ 死期が近い人物がドッペルゲンガーを見ることが多いために、「ドッペルゲンガーを見ると死期が近い」という伝承が生まれたとも考えられる。

出典

  1. ^ a b 大辞泉』(小学館
  2. ^ a b c d e f g 「第II章 超心理学――ドッペルゲンガー」(羽仁 2001, p. 51)
  3. ^ a b c 三好行雄「注解――Kの昇天」(新潮文庫 2003, pp. 319–320)
  4. ^ a b 「ドッペルゲンガー」(都市伝説 2007, pp. 198–199)
  5. ^ 「目次」「はじめに」「第一部」(リン 1994, pp. 1–134)
  6. ^ a b c 世界大百科事典』(平凡社
  7. ^ a b c d サックス 2014, pp. 305–324.
  8. ^ Lencer R, Nagel M, Sprenger A, Zapf S, Erdmann C, Heide W, Binkofski F” (PDF). 京都大学 (2004年9月15日). 2009年8月26日閲覧。
  9. ^ a b c d 「第二部 第七章 二重の自我」(柏倉 2010, pp. 200–214)
  10. ^ リチャード・キャペル著・服部龍太郎訳『シューベルトの歌曲』(音楽之友社、1953年6月)。柏倉 2010, pp. 205–206
  11. ^ 「注解――Kの昇天」(ちくま全集 1986, pp. 128–138)
  12. ^ 池内紀川本三郎「読みどころ――梶井基次郎『Kの昇天』」(名作2巻 2014, pp. 487–488)
  13. ^ 『二つの手紙』:新字新仮名 - 青空文庫
  14. ^ 河合 1971, p. 51
  15. ^ 「泥濘」(青空 1925年7月・通巻5号)。ちくま全集 1986, pp. 59–70、新潮文庫 2003, pp. 61–76に所収


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