スポーツ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/17 15:41 UTC 版)
語源
「sports スポーツ」の語源はラテン語の「deportare デポルターレ」にさかのぼるとされ、「ある物を別の場所に運び去る」が転じて「憂いを持ち去る」という意味、あるいはportare「荷を担う」の否定形「荷を担わない、働かない」という意味の語である。これが古フランス語の「desporter」「(仕事や義務でない)気晴らしをする、楽しむ」となり、英語の「sport」になったと考えられている[3]。
和製漢語では「遊戯[4]」「体育」「競技」「運動競技」などと訳されたが、現在では片仮名で表記するのが一般的であり、「スポーツ」と「体育」は区別される概念である。朝鮮語でも同様である。中国語では現在でもスポーツを「体育」と呼ぶ。
日本では大正時代末ころから「スポーツ」という言葉は一般化されたが、当時は欧米から入ってきた運動そのものだけを指していた。日本でも「スポーツ」が競技を意味するようになったり、柔道や空手などの武道が競技として発展し「スポーツ」として認知されるようになったりしたのは戦後のことである[5]。
その他にも、古代オリンピアの時代から詩歌や歌劇などの文学や演奏、絵画や彫刻などの造形・建築、鳩レースやドッグレース、数学やクイズ・謎解き、チェスやポーカーなどのボードゲームやカードゲームなど、人類史においては幅広い分野でスポーツ化が行われて楽しまれてきた。近代オリンピックにおいても完全アマチュア化が図られる1964年東京オリンピックの直前まで、絵画・造形・文学・建築・音楽などの分野が正式競技として採用されていた。
「スポーツ」の英語表記には、集合的な意味で用いるsportと、種目別に表現するような場合に用いるa sport / sportsの二種類がある。また、“sports medicine”や“sports injury”などのように形容詞的に用いる場合には、sportsという語が用いられることが普通である。特に、アメリカでは、集合的な意味で用いる場合にも“sports”という慣用表現が多用される。しかし、学会の名称や学術書の表題などのように学術的な意味で集合的に用いる場合には、“North American Society for Sport Management”や“Journal of Sport History”などのように、語尾に“s”を付けない表記が大多数を占めている。
- ^ First global market research project unveils more than one billion cricket fans 国際クリケット評議会 2019年7月6日閲覧。
- ^ 『大辞泉』小学館
- ^ ブリタニカ国際大百科事典「スポーツ」
- ^ 「遊戯」という言葉は運動に限らない遊び全般を指す言葉となっている。
- ^ “スポーツ - 語源由来辞典”. gogen-allguide.com. 2020年8月10日閲覧。
- ^ べーリンガー 2019, pp. 422–432.
- ^ べーリンガー 2019, p. 35.
- ^ べーリンガー 2019, p. 29.
- ^ べーリンガー 2019, pp. 41–42.
- ^ べーリンガー 2019, pp. 87–88.
- ^ “4. 近代スポーツを生んだ英国の階級文化 スポーツの始まり”. 笹川スポーツ財団. 2021年10月1日閲覧。
- ^ べーリンガー 2019, pp. 359–360.
- ^ べーリンガー 2019, pp. 361–362.
- ^ a b 山下晋司・船曳建夫 編『文化人類学キーワード』有斐閣、1997年、194頁。ISBN 4-641-05863-6。
- ^ べーリンガー 2019, pp. 373–376.
- ^ べーリンガー 2019, pp. 381–382.
- ^ 「スポーツイベントの経済学 メガイベントとホームチームが都市を変える」p43-44 原田宗彦 平凡社新書 2002年6月19日初版第1刷
- ^ 井上俊・菊幸一編著 2020, p. 28-29.
- ^ “体育・スポーツにおける多様な性のあり方ガイドライン”. 2023年4月15日閲覧。
- ^ “<アスリートの性差考>混合種目が競技に活力も”. 2023年4月15日閲覧。
- ^ “知られざるeSports ~eSportsはスポーツか? | InfoComニューズレター”. InfoComニューズレター(株式会社情報通信総合研究所). 2021年7月31日閲覧。
- ^ 「よくわかるスポーツ人類学」p110 寒川恒夫編著 ミネルヴァ書房 2017年3月31日初版第1刷発行
- ^ 【フィギュア】真央、3回転半2度跳ぶ!ソチへ「自身最高難度」解禁:スポーツ報知
- ^ オリンピック憲章 - JOC
- ^ “The Most Popular Sports in the World”. World Atlas (2018年). 2018年8月17日閲覧。
- ^ 「スポーツイベントの経済学 メガイベントとホームチームが都市を変える」p56-58 原田宗彦 平凡社新書 2002年6月19日初版第1刷
- ^ Tomlinson 2012, p. 18.
- ^ べーリンガー 2019, pp. 513–517.
- ^ べーリンガー 2019, p. 397.
- ^ 佐野慎輔 (2019年8月21日). “エイベリー・ブランデージ 神になった「Mr.アマチュア」”. 笹川スポーツ財団. 2021年6月29日閲覧。
- ^ “オリンピズムって何だろう 第5回 時代とともに変わるオリンピック憲章”. 公益財団法人日本オリンピック委員会. 2021年6月29日閲覧。
- ^ Tomlinson 2012, pp. 96–97.
- ^ べーリンガー 2019, pp. 497–498.
- ^ べーリンガー 2019, pp. 499–501.
- ^ Tomlinson 2012, p. 102.
- ^ Tomlinson 2012, pp. 98–99.
- ^ 井上俊・菊幸一編著 2020, p. 22-25.
- ^ 「スポーツイベントの経済学 メガイベントとホームチームが都市を変える」p187 原田宗彦 平凡社新書 2002年6月19日初版第1刷
- ^ 呉羽正昭 著「グローバル時代のツーリズム」、矢ヶ﨑, 典隆、山下, 清海、加賀美, 雅弘 編『グローバリゼーション 縮小する世界』朝倉書店、2018年、96-97頁。ISBN 978-4254168815。
- ^ 井上俊・菊幸一編著 2020, p. 36-37.
- ^ Tomlinson 2012, pp. 106–107.
- ^ Tomlinson 2012, pp. 104–105.
- ^ 佐々木 1999, pp. 12–13.
- ^ 佐々木 1999, p. 21.
- ^ 佐々木 1999, p. 28.
- ^ 佐々木 1999, p. 34.
- ^ 矢ヶ﨑典隆 著「スポーツで結びつく世界の人々と地域」、矢ヶ﨑, 典隆、山下, 清海、加賀美, 雅弘 編『グローバリゼーション 縮小する世界』朝倉書店、2018年、123-125頁。ISBN 978-4254168815。
- ^ Tomlinson 2012, pp. 12–13.
- ^ オリヴァー・ジマー著、福井憲彦訳『ナショナリズム 1890-1940』岩波書店、2009年、66-69頁。ISBN 978-4000272063。
- ^ 「新版 スポーツの歴史」p195 レイモン・トマ著 蔵持不三也訳 寒川恒夫付論 白水社 1993年12月25日第1刷発行
- ^ 桜井三枝子・中原篤史編『ホンジュラスを知るための60章』明石書店、2014年、155-157頁。ISBN 978-4750339825。
- ^ 「新版 スポーツの歴史」p196 レイモン・トマ著 蔵持不三也訳 寒川恒夫付論 白水社 1993年12月25日第1刷発行
- ^ a b べーリンガー 2019, pp. 179–183.
- ^ 井上俊・菊幸一編著 2020, p. 88-89.
- ^ 井上俊・菊幸一編著 2020, p. 62-63.
- ^ 「よくわかるスポーツ人類学」p2-3 寒川恒夫編著 ミネルヴァ書房 2017年3月31日初版第1刷発行
- ^ 井上俊・菊幸一編著 2020, p. 70-71.
- ^ 井上俊・菊幸一編著 2020, p. 62.
- ^ 井上俊・菊幸一編著 2020, p. 74-75.
- ^ 井上俊・菊幸一編著 2020, p. 48-49.
- ^ 井上俊・菊幸一編著 2020, p. 106-107.
- ^ 「スポーツイベントの経済学 メガイベントとホームチームが都市を変える」p48-50 原田宗彦 平凡社新書 2002年6月19日初版第1刷
- ^ 井上俊・菊幸一編著 2020, p. 134-139.
- ^ a b c d “Aesthetics”. Internet Encyclopedia of Philosophy. 2021年9月30日閲覧。
- ^ a b 佐々木健一 2004, p. 106.
スポーツと同じ種類の言葉
- スポーツのページへのリンク