ジャワ語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/14 14:22 UTC 版)
ジャワ語 | |
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Basa Jawa ꧁ꦧꦱꦗꦮ꧂ | |
話される国 |
インドネシア マレーシア スリナム ニューカレドニア |
地域 | 東南アジア |
話者数 | 約7500万人 |
言語系統 |
オーストロネシア語族
|
表記体系 |
ラテン文字 ジャワ文字 |
言語コード | |
ISO 639-1 |
jv |
ISO 639-2 |
jav |
ISO 639-3 |
各種:jav — ジャワ語jvn — カリブ・ジャワ語jas — ニューカレドニア・ジャワ語osi — ウシン語tes — トゥングル語kaw — カヴィ語 |
ジャワ語は、インドネシア・ジャワ島の中央部から東で話されている言語であり、その本拠地はジャワ島東部および中部である。これに対し西部の西ジャワ州では主としてスンダ語が用いられているが、バンテン州(Banten)の北方海岸地帯では再びジャワ語が用いられている。また19世紀以降行われた移民政策によって、ジャワ島以外にも、スマトラ島ランプン州(Lampung)、マレーシア、ニューカレドニア、南米のスリナム共和国などにジャワ語圏がある[1]。
インドネシア共和国の全人口約2.55億人(2015年時点)のうち[2]、約1.37億人がジャワ島に住んでおり[3]、そのうち約7500万人もの人々が日常生活でジャワ語を使用している[4]。ジャワ語話者が公的な場面で意思疎通を行う場合、または異なる種族言語を話す者同士が意思疎通を行う場合、多くの場合で公用語であるインドネシア語が用いられている[5]。
概要
本来ジャワ語はジャワ文字で記されるものであったが、20世紀後半からラテン文字に切り替えた。ジャワ語は、オーストロネシア語族のマレー・ポリネシア語派のスンダ・スラウェシ語群(西マレー・ポリネシア語群)のスンダ語群に属する[要出典]。言語学的に見て、マレー語、スンダ語、マドゥラ語、バリ語と深い関係がある。また、スマトラ島やボルネオ島の諸語、マダガスカル語といくらかの関係がある。
ジャワ語は中央ジャワから東ジャワにかけて話されている。また、西ジャワの北海岸でも同じように用いられている。マドゥラ島、バリ島、ロンボク島、および西ジャワのスンダ語地域において、文語として用いられる。パレンバン、南スマトラでの宮廷では、18世紀の終わりにオランダによって侵略されるまで宮廷語であった。
ジャワ語は現在、どこの国の公用語でもないが、ジャワ語を母語として用いる人の数は、オーストロネシア語族の中で、断然一位である。およそ八千万人がこの言葉を話すかまたは理解する。少なくともインドネシアの総人口の 45% は、ジャワ語の家系であるか、ジャワ語が支配的な言語である地域に住んでいる。1945年以降、インドネシアの大統領の五人に四人までがジャワ語の家系である。従って、インドネシアの国語でありマレー語の新しい方言であるインドネシア語の発展に、ジャワ語が大きな影響を与えていることは、驚くべきことではない。
ジャワ語は、世界でも伝統のある言語のひとつと見ることができる。12世紀以上にわたって、多くの文学作品が書かれている。学者は、ジャワ語の発達を四つの段階に分けている。
- 古ジャワ語 - 9世紀以降
- 中期ジャワ語 - 13世紀以降
- 新ジャワ語 - 16世紀以降
- 現代ジャワ語 - 20世紀以降(この段階はあまり一般的でない)
敬語
ジャワ語は、日本語と同様に敬語が発達していることでも知られる。その特徴として挙げられるのが、普通体と丁寧体の区別である。ジャワ語の日常語は「Ngoko体」と名付けられるが、これは二人称代名詞koの重語形kokoからの派生語である。「Ngoko体」はごく親しい友人間や目下の者に対して、またジャワ人が独り言をいう場合等に用いられる。一方、丁寧体である「Krama体」は、改まった会話や目上の者に対して、貴人同士、時としては妻が夫に対して用いる言葉である[6]。すべての「Ngoko体」に対応する「Krama体」が存在するのではなく、大多数の語は「Ngoko体」と「Krama体」に共通して使われる「Ngoko・Krama共通語」である[7]。
その他に「Krama Inggil語」と呼ばれる単語グループがあるが、これは日本語の尊敬語と謙譲語に当たる。単語としてのみ存在し、「Ngoko体」と「Krama体」の中で混ぜて用いられる[7]。
- ^ a b c d e f 亀井孝・千野栄一・河野六郎『言語学大辞典』三省堂、二巻、1995年、209頁。
- ^ “インドネシア基礎データ”. 外務省. 2020年6月28日閲覧。
- ^ “ジャワ島”. インドネシア共和国観光省. 2020年6月28日閲覧。
- ^ a b c “Javanese” (英語). UCLA Language Materials Project. 2018年9月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年1月17日閲覧。
- ^ a b 石井和子『ジャワ語の基礎』東京大学書林、1984年、1頁。
- ^ a b c 仁平芳朗『簡約ジャワ文法』、アジアアフリカ言語文化研究所、1986年、1頁。
- ^ a b 石井和子『ジャワ語の基礎』東京大学書林、1984年、2頁。
- ^ Brown, Keith & Sarah Ogilvie. 2008. Concise Encyclopedia of Languages of the World. Oxford: Elsevier, p.560.
- ^ 仁平芳朗『簡約ジャワ文法』アジアアフリカ言語文化研究所、1986年、4-7頁。
- ^ a b 石井和子『ジャワ語の基礎』東京大学書林、1984年、6-11頁。
- ^ 仁平芳朗『簡約ジャワ文法』、アジアアフリカ言語文化研究所、1986年、4頁。
- ^ 佐々木巧『ジャワ語の決まり文句』南雲堂フェニックス、1994年、16頁。
- ^ a b 石井和子『ジャワ語の基礎』東京大学書林、1984年、31頁。
- ^ 石井和子『ジャワ語の基礎』東京大学書林、1984年、32頁。
- ^ 仁平芳朗『簡約ジャワ文法』アジアアフリカ言語文化研究所、1986年、43頁。
- ^ 石井和子『ジャワ語の基礎』東京大学書林、1984年、123頁。
- ^ 仁平芳朗『簡約ジャワ文法』アジアアフリカ言語文化研究所、1986年、15頁。
- ^ 石井和子『ジャワ語の基礎』東京大学書林、1984年、60-63頁。
- ^ 石井和子『ジャワ語の基礎』東京大学書林、1984年、3-6頁。
- ^ 佐々木巧『ジャワ語の決まり文句-インドネシア語つき-』南雲堂フェニックス、1994、30-36頁。
ジャワ語と同じ種類の言葉
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