サイカチ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/07 03:52 UTC 版)
昆虫との関係
サイカチの種子にはサイカチマメゾウムシという日本最大のマメゾウムシ科の甲虫の幼虫が寄生する。マメゾウムシ科はその名前と違って、ゾウムシの仲間ではなく、ハムシ科に近く、ハムシ科の亜科のひとつとして扱うこともある。サイカチの種子は硬実種子であり、種皮が傷つくまではほとんど吸水できず、親木から落下した果実からはそのままでは何年たっても発芽が起こらない。サイカチマメゾウムシが果実に産卵し、幼虫が種皮を食い破って内部に食い入ったときにまとまった雨が降ると、幼虫は溺れ死に、種子は吸水して発芽する。一方、幼虫が内部に食い入ったときにまとまった雨が降らなければ幼虫は種子の内部を食いつくし、蛹を経て成虫が羽化してくることが知られている。
サイカチの幹からはクヌギやコナラと同様に、樹液の漏出がよく起きる。この樹液はクヌギやコナラの樹液と同様に樹液食の昆虫の好適な餌となり、カブトムシやクワガタムシがよく集まる[6]。そのため、カブトムシを「サイカチムシ」と呼ぶ地域も在る[7]。クヌギやコナラの樹液の多くはボクトウガによるものであるという研究結果が近年出ているが、サイカチの樹液を作り出している昆虫はまだ十分研究されていない。
文学
またサイカチは『万葉集』に収録された和歌の中にも詠まれている。
脚注
参考文献
- 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、198頁。ISBN 978-4-416-61438-9。
- 田中潔 『知っておきたい100の木:日本の暮らしを支える樹木たち』主婦の友社〈主婦の友ベストBOOKS〉、2011年7月31日、63頁。ISBN 978-4-07-278497-6。
- 西田尚道監修 学習研究社編 『日本の樹木』学習研究社〈増補改訂ベストフィールド図鑑 5〉、2000年4月7日、214頁。ISBN 978-4-05-403844-8。
- 林将之 『葉っぱで気になる木がわかる:Q&Aで見わける350種 樹木鑑定』廣済堂あかつき、2011年6月1日、136頁。ISBN 978-4-331-51543-3。
- 平野隆久監修 永岡書店編 『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、212頁。ISBN 4-522-21557-6。
関連項目
注釈
出典
- ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Gleditsia japonica Miq. サイカチ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月7日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l 田中潔 2011, p. 63.
- ^ a b c 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 212.
- ^ a b c d e f g h 西田尚道監修 学習研究社編 2000, p. 214.
- ^ a b c d e 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 198.
- ^ 林将之 2011, p. 136.
- ^ 佐藤亮一. 標準語引き 日本方言辞典. 小学館. "かぶとむしの方言 さいかち(サイカチの木によくいるところから) 埼玉県、千葉県、東京都八王子、秋田県鹿角群、千葉県上総、東京都 せーがじむし 千葉県印旛郡"
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