ガラパゴス諸島 ガラパゴス諸島の概要

ガラパゴス諸島

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/24 09:30 UTC 版)

ガラパゴス諸島
エクアドル
ガラパゴス諸島の衛星写真
英名 Galapagos Islands
仏名 Iles Galapagos
面積 7,665.14km2
登録区分 自然遺産
IUCN分類 II
登録基準 (7),(8),(9),(10)
登録年 1978年
拡張年 2001年
備考 危機遺産登録(2007年 - 2010年)
公式サイト 世界遺産センター(英語)
地図
使用方法表示

ガラパゴス諸島(ガラパゴスしょとう、スペイン語: Islas Galápagos [ˈizlaz ɣaˈlapaɣos]英語: Galápagos Islands)は、東太平洋上の赤道下にあるエクアドル領の諸島Islas Galápagos は「ゾウガメたちの島々」という意味で、スペイン語でゾウガメを意味する galápago からきている。正式名称はコロン諸島スペイン語: Archipiélago de Colón)で「コロンブスの群島」を意味する[1]。行政面ではガラパゴス県にある。約2万5124人(2010年統計)が居住し、主要言語はスペイン語。

地理

エクアドル本土から太平洋を隔てておよそ1000キロメートル西の赤道直下に点在するガラパゴス諸島は最初におよそ600万年前の海底火山の活動によって東部地区が誕生した。その後、大きく分けて2回の噴火で中央部、その後西部が生まれ、現在の諸島が形成された。 ガラパゴス諸島は太平洋上に浮かぶ大小の島々と岩礁で成り立っていて、主だった島々は13の大きな島と6つの小さな島だが、名前のついている島と岩礁の合計は234島確認されている。もっとも北のダーウィン島英語版と南のエスパニョラ島の間は220キロメートル離れている。最大のイサベラ島は面積4588平方キロメートル、島内のウォルフ火山は海抜1707メートルである[2]

1000万-500万年前の火山活動(ホットスポットの活動)でできた諸島で、現在も火山活動が続いており[3]、2009年4月にフェルナンディナ島ラ・クンブレ山スペイン語版で噴火した。

ガラパゴス諸島の島々は、現在のフェルナンディナ島に位置するガラパゴス・ホットスポット英語版(Galápagos hotspot)の火山活動によって代々形成されたと考えられている。ガラパゴス諸島一帯に位置するプレートの1つであるナスカプレートが年間数センチメートルずつ南東へ移動しているため[4]、形成された島々も南東に移動している。南東側から西に向かって順に新しい島になっており、現存する島ではエスパニョラ島がもっとも古く、今から500万-300万年ほど前に誕生したとされている。西側の島ほど噴火活動が活発で、東に行くほど火山活動は小さい。古い島は島を構成する岩石が古く侵食が進んでおり、そのうち海に沈むと考えられている。

構成島

ガラパゴス諸島。

19の主な島と小さな島や岩礁からなる。

など

歴史

バルトロメ島
サン・クリストバル島の市街地
ガラパゴスゾウガメ
ガラパゴスリクイグアナ
ウミイグアナ
人を怖れないアシカ
アメリカグンカンドリ
アオアシカツオドリ
ガラパゴスアホウドリ
セイモア・ノルテ島
シュモクザメ

この島々が人間に発見されたのは1535年であるとされる。スペイン人の司教フレイ・トマス・デ・ベルランガ英語版が、同国による侵略により得たインカ帝国内の領地へ伝道師として向かう航海の途中、偶然に発見した。ただしハイエルダールなどはそれ以前にインカ人などが訪れていたと論じ、実際に壺にあたる土器なども発掘している。しかし少なくとも永続的に定住はしていなかったようで、ベルランガの発見時は無人島であった[5]

その後、ガラパゴス諸島はスペイン船のなどの積載物を狙う海賊の隠れ家として利用され、海賊の中には地図を作ったり、島を命名した者もいた。海賊は食料のヤギを島に放した。

大航海時代には捕鯨船による)の捕食やヤギの繁殖が起こり、1832年エクアドルが領有を宣言すると、次々と入植されていった[要校閲]

やがて航空路や横断道路が建設されると欧米を中心に観光客が訪れるようになり、環境破壊も深刻になった。今ではダーウィン研究所や国立公園管理事務所の設置、世界遺産への登録、観光客に対するナチュラリストガイド制度などの厳重な自然保護対策を講じている。観光客は、足元を洗ってからでないと上陸させないほどの保護体制を取っているが、いまだ存在する入植されたヤギや、近年のエルニーニョ現象など問題もある。

1990年代初頭にアジア文化圏向けのナマコの需要が高まり、ガラパゴス諸島に生息するフスクス英語版Isostichopus fuscus)を求めて漁民が大挙して流入するようになった。漁民たちは上陸が禁止されている島に上陸し、ナマコの加工作業を行う傍ら、ガラパゴスゾウガメを食べる、フィンチの巣を荒らすなどの問題行動が行われるようになった[6]。環境保護活動家からの指摘を受けて1992年にエクアドル政府はガラパゴス諸島周辺でのナマコ漁を禁止したが、突然の禁漁に不満を抱いた一部の漁民がダーウィン研究所を封鎖したり、ゾウガメの殺戮をほのめかすなどの抗議を行った。一連の対立はアメリカの環境保護団体全米オーデュボン協会の機関誌を通じて「ナマコ戦争」として報じられた[6]

また、海洋保護区でのサメの密漁も問題になっている。ナショナルジオグラフィックの報道によれば、アジア向けのフカヒレと肉を目的とした密漁が続いているという。一例として、2017年8月に拿捕された中国の密漁船からは絶滅危惧種を含めて数千匹のサメが押収された。この密漁船の追跡に参加していた海洋生物学者のペラーヨ・サリナスによれば、「前代未聞」で「ガラパゴス史上最多」だという[7]


  1. ^ 伊藤 (1983)、12頁; (1966)、14頁
  2. ^ 伊藤 (1983)、9頁
  3. ^ 伊藤 (1983)、132-134頁
  4. ^ 水口 (1999)、154頁
  5. ^ 伊藤 (1983)、13-17頁; (1966)、15-20頁
  6. ^ a b 赤嶺淳「捕鯨・ナマコと国際社会 : 野生生物保護の問題点 : 「人類共有遺産」の保全をめぐる同時代史的視座」『国立民族学博物館調査報告』第97巻、国立民族学博物館、2011年3月1日、269-295頁、doi:10.15021/00000997ISSN 1340-6787NAID 1200030575372022年2月3日閲覧 
  7. ^ “【動画】拿捕の中国船にサメ数千匹、ガラパゴス”. ナショナルジオグラフィック日本語版 (日経ナショナル ジオグラフィック社). (2017年8月21日). http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/b/081800105/ 2017年8月22日閲覧。 
  8. ^ a b Galápagos Islands” (英語). UNESCO World Heritage Centre. 2023年4月26日閲覧。
  9. ^ Galapagos Biosphere Reserve, Ecuador” (英語). UNESCO (2018年9月24日). 2023年3月23日閲覧。
  10. ^ 藤原 (2001)、24-25頁
  11. ^ 藤原 (2001)、22頁
  12. ^ Galápagos Islands [Extension to include the Galápagos Marine Reserve] (Ecuador) - UNESCO World Heritage Centre
  13. ^ List of World Heritage in Danger: World Heritage Committee inscribes the Tombs of Buganda Kings (Uganda) and removes Galapagos Islands (Ecuador)”. UNESCO World Heritage Centre (2010年7月29日). 2021年7月30日閲覧。
  14. ^ 伊藤 (1983)、158-159頁; (1966)、154-155頁
  15. ^ 藤原 (2001)、199頁


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