ガボン 国際関係

ガボン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/09 14:05 UTC 版)

国際関係

建国以来、旧宗主国であるフランスとの関係が非常に強い[25]。これは初代ムバ大統領以来、親フランス派の大統領が続き、政治的・経済的に密接な関係を築いてきたことによる。フランスは2016年の政府開発援助の31%を占める筆頭援助国である[26]。またフランコフォニー国際機関に加盟している。周辺諸国とは、1964年に中部アフリカ関税経済同盟を結成し、1994年にはこれが中部アフリカ経済通貨共同体に改組された。

アフリカ連合(および前身のアフリカ統一機構)の原加盟国である。またムスリムの人口比率は高くはないがイスラム協力機構に加盟している。歴史的にイギリスの植民地になったことはないが、2022年にイギリス連邦へ加盟した。なお2023年のクーデターにより、アフリカ連合では加盟停止[27]、イギリス連邦では首脳会談などに参加できない部分的加盟停止の処分が科せられている[28]

日本との関係

  • 在留日本人数 - 60名(2023年5月現在)[29]
  • 在日ガボン人数 - 52名(2022年6月現在)[29]

国家安全保障

同国の軍隊は、陸軍海軍空軍憲兵隊の4つに別けられている。また、約5,000人の小規模な専門軍が設けられており、管轄には現地の警察も一部ほど関わっている。

地理

地形図

国土中央部を西から東へオゴウェ川が貫流しており、この流域がガボンの主な領域となっている。大西洋沿岸は平野となっており、オゴウェ川下流にはデルタが広がっているが、内陸に入ると北部のクリスタル山地や南部のマヨンベ山地といった急崖が存在し標高が450mほど上がる。急崖の東は高原となっており、オゴウェ川の支流が刻む渓谷によってシャイユ山地などいくつかの山地に分割される[30]。東部のコンゴ共和国との国境は山地となっており、おおむねオゴウェ川流域とコンゴ川流域の分水界に沿って国境線が引かれている[7]。北西の赤道ギニアとの国境はほぼ直線からなる非常に人工的な境界となっているが、一部はムニ川の河口部分が両国の国境となっている[31]。なお、ムニ川河口のやや沖合に浮かぶコリスコ島は両国の係争地となっている。国土の最西端はポールジャンティ市のすぐ西にあるロペス岬であり、そこから南の海岸はマングローブラグーンが多い[30]

国土の88.5%(2014年)が森林[32]、近隣諸国と比べ人口密度が低いため、手つかずの豊かな自然が多く残されている。アフリカ森林には、ゾウゴリラチンパンジーなどの大型哺乳類が多数生息している。

多様な自然環境を含む、13の国立公園がある。国立公園の総面積は実に国土の11%を占める。ガボン政府は自然環境の保全に力を入れており、中部のロペ国立公園や、大西洋岸のロアンゴ国立公園ではエコツーリズムが導入されている。また、南西部ニャンガ州に位置するムカラバ・ドゥドゥ国立公園(Parc National de la Moukalaba-Doudou)では、日本人研究グループによる大型類人猿の長期野外研究プロジェクトが進められている。また、2007年にのロペ=オカンダ生態系と残存文化的景観が複合遺産として世界遺産に登録された。

気候は国土のほとんどがサバナ気候(Aw)であるが、首都リーブルヴィルを含む北部や東部の一部は熱帯モンスーン気候(Am)となっている。首都リーブルヴィルの降雨量は2510mmであり[32]、雨季の9 - 5月が毎月約300ミリだが、乾季の6 - 8月は3ヶ月で35ミリと極端に少ない。1日の最高気温は平均29 - 30度、最低気温は20 - 23度である。

地方行政区分

ガボンの州。数字はアルファベット順。

ガボンは9つの州に分かれている(括弧内の地名は、州庁所在地)。

  1. エスチュエール州 Estuaire (リーブルヴィル)
  2. オートオゴウェ州 Haut-Ogoouéフランスヴィル)
  3. モワイエン・オゴウェ州 Moyen-Ogooué (ランバレネ)
  4. ングニエ州 Ngounié (ムイラ)
  5. ニャンガ州 Nyanga (チバンガ)
  6. オゴウェ・イヴィンド州 Ogooué-Ivindo (マコクー)
  7. オゴウェ・ロロ州 Ogooué-Lolo (クラムトゥ)
  8. オゴウェ・マリティム州 Ogooué-Maritime (ポルジャンティ)
  9. ウォレウ・ンテム州 Woleu-Ntem (オイェム)

主要都市

最大都市は首都のリーブルヴィルであり、2013年の人口は70万人に達する[32]。リーブルヴィルは19世紀にフランスが解放奴隷を入植させた港湾都市であり、以来この地域の政治の中心地となってきた。これに次ぐのは、オゴウェ川河口に近い海港都市ポールジャンティ(13万6,000人、2013年)である[32]。ポールジャンティは河川舟運と海運の結節点であり、植民地時代から木材の輸出港として栄えてきたほか、独立後は沖合の海底油田開発の拠点都市ともなっている[33]。第3の都市は東部の森林地帯に位置するフランスヴィル(11万人、2013年)である[32]。フランスヴィルはトランスガボン鉄道の終着点であり、内陸部の森林・鉱山の開発拠点であるほか、ボンゴ大統領一族の出身地に近く、政府の重点的な開発投資を受けてきた[34]。このほか、中部のランバレネアルベルト・シュヴァイツァーが生涯を医療活動に捧げた地である[35]


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  10. ^ 「世界現代史15 アフリカ現代史3」p106-107 小田英郎 山川出版社 昭和61年3月30日1版1刷発行
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