オプス・デイ オプス・デイの概要

オプス・デイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/06 23:07 UTC 版)

オプス・デイ属人区
設立 1928年10月2日
設立者 聖ホセマリア・エスクリバー
種類 属人区
目的 仕事の聖化を通して、信仰に合致した生き方をするよう、キリスト者を励ますこと
本部

イタリア ローマ Viale Bruno Buozzi 75, 00197

平和の聖マリア教会(属人区長教会)
座標 北緯41度55分18.4秒 東経12度29分2.6秒 / 北緯41.921778度 東経12.484056度 / 41.921778; 12.484056
貢献地域 世界規模
会員数
93,400名(2020年時点) [1]
属人区長 フェルナンド・オカリス・ブラーニャ
主要機関 中央委員会
本部委員会
 上部組織 カトリック教会
ウェブサイト www.opusdei.jp
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本部庁舎は、ローマ市ヴィアレ・ブルノ・ブオッツィ75番(Viale Bruno Buozzi 75)に位置する。

概要

オプス・デイ本部(ローマ)
名称の由来
オプス・デイとはラテン語で「神の業」(「Opus」が「業」、「Dei」が「神の」)を意味する。正式名は「属人区聖十字架とオプス・デイ」(ラテン語:Praelatura Sanctae Crucis et Operis Dei[2]
歴史
オプス・デイは、ホセマリア・エスクリバーにより1928年10月2日スペインで創設された。マドリード司教の認可に続き、1947年にローマ教皇の認可を受け、スペイン国外にも広がる。1982年に教皇によって属人区として設置され、今日に至る。創立者のホセマリア・エスクリバーは死後わずか30年での列聖(2002年)が異例の早さとして話題となった。
創立者
聖ホセマリア・エスクリバー(1902年 - 1975年)[3]
代表者(属人区長)
司祭フェルナンド・オカリス・ブラーニャ師(1944年 - 現在)
本部
平和の聖マリア教会(属人区長教会)
Viale Bruno Buozzi 75, 00197(ローマ
国際センター(男子)・国際神学校
聖十字架ローマ学院 / Centro Internazionale Cavabianca[4]
Via di Grottarossa 1375, 00189(ローマ
国際センター(女子)
聖マリア・ローマ学院 / Centro Internazionale Villa Balestra[5]
Via dei Monti Parioli 31, 00197(ローマ
信者数・分布
2020年現在、所属している信者は約93,400名(女性57%、男性43%)で、80ヶ国以上の人々からなっている。そのうち、1,957名の司祭が属人区に所属しているが、大半(9万人以上)が男女の信徒である:[1]。なお、日本の信者数は約250名。メンバーの出身地域は:
  • アフリカ  4%
  • アメリカ  34%
  • アジア   4%
  • ヨーロッパ 57%
  • オセアニア 1%
日本での活動
1958年昭和33年)に活動を開始[6]、現在は兵庫県芦屋市に地域総代理(日本支部)を置いている。

精神的特徴

働く人々に囲まれたホセマリア・エスクリバー

仕事を始めとする日常生活のすべてを聖化し、信仰に100%合致した生き方を送るよう、あらゆる条件、身分の信者を励ますことが目的である。神との親子関係とミサを精神的な基盤とし、社会の中で観想生活を営む。自由を尊重し、愛徳と協調をもってイエス・キリストを伝えることなどが挙げられる。また、日常の仕事を神と隣人の為に心を尽くして果たし、仕事を聖化することを務めとしている[7]

オプス・デイの精神の特徴[8]

  • 神との父子関係
洗礼によって人は神の子となる。キリスト教のこの基本的な真理は、オプス・デイの精神の中でも根本的なものである。創立者は、「神との父子関係はオプス・デイの精神の根本です」と教えていた。オプス・デイの提供する形成を受けている信者は、神の子としての身分を生き生きと自覚し、それに従って日々の生活を営む。それは、神の摂理に対する信頼、(複雑でないという意味での)単純な心、人間の尊厳への尊重、兄弟愛、キリスト者として神が望まれるような世界を目指しながら現実に即した本物の愛を持ち、落ち着きと楽観をもって生きることに表れる。
  • 日常生活
「神に仕え、すべての人々に仕えながら、自分自身を聖化すべき場所は、この世のもっとも物質的な事柄においてなのです」。聖ホセマリアはこのように教えていた。家庭、結婚生活、仕事、日々の務めは、愛徳、忍耐、謙遜、勤勉、正義、喜びなどの諸徳を実践することによって、イエス・キリストと出会い、キリストに倣う機会となるのである。「皆さん、兄弟である人々のいるところ、希望の実現をめざし、仕事に従事し、愛情を捧げるところ、これこそ皆さんが日々キリストと出会う所です。この世の最も物質的なものの真っ只中こそ、神と人々に仕えつつ自らを聖化すべきところです。」(聖ホセマリア、説教「愛すべき天地」1967年)[9]
  • 仕事の聖化
仕事において聖性を追求するとは、プロ意識とキリスト者としての自覚をもって、仕事をより良く成し遂げること。つまり、神への愛と人々への奉仕として、仕事を果たすことである。このようにして、日常の仕事はキリストと出会う場へと変わるのである。
聖ペトロ大聖堂(バチカン)外壁にある聖ホセマリア像
  • 祈りと犠牲
オプス・デイの精神は、日常生活を聖化するための努力を持続することができるよう、祈りと償いに励むよう勧める。そこで、オプス・デイの信者は、念祷や毎日のミサ聖祭、ゆるしの秘跡ロザリオ、霊的読書、福音書の黙想などを生活に組み入れて熱心に実行する。中でも聖母信心を大切にする。イエス・キリストに倣うために犠牲を実行するが、特に義務を果たしやすくする犠牲や人々の生活をもっと快くするための犠牲、さらに小さな満足を放棄することや教会が一般的に薦める断食、献金を大切にしている。
  • 生活の一致
創立者は、社会で働くキリスト者は「一方では、内的生活、神との関係を保つ生活を営み、他方では、それとは関わりがないように過ごす全く別な家庭生活や職業、社会生活を送るというような二重生活をすべきではありません」と語ってた。そして、「あるのはただ一つ、霊と肉からなる生活です。このたった一つの生活が、霊魂と体ともに、聖化され、神に満ちたものとなるべきなのです」と、教えていた。
  • 自由を愛する
オプス・デイの信者は他の市民、自分と同等の人々とまったく同じ権利を享受し、同じ義務を負っている。政治や経済、文化においては自由に、また個人的に責任をもって行動し、自らの決定に関しては教会やオプス・デイを巻き込むことはない。また、それを信仰に合致した唯一の決定と主張することもない。他人の自由と意見を尊重する[10]
  • 愛徳
キリストを知る人は宝を見つけたのであり、この宝を他の人々と分かち合わずにいられないものである。キリスト信者はイエス・キリストの証し人であって、キリストの希望の教えを、模範とことばを通して、親戚や友人、同僚の間で広めていく。創立者は、「同僚や友人、親戚たちと同じ望みをもって、共に働くとき、私たちは彼らをキリストのもとへと導くことになるのです」と教えていた。キリストを人々に知らせたいという熱意があれば、自然に人々の物質的な必要を満たす努力や周囲の社会問題を解決したいという望みとなって表れる。

  1. ^ a b Datos informativos sobre la Prelatura de Opus Dei” (PDF) (2020年7月20日). 2023年3月22日閲覧。
  2. ^ なお、「オプスデイ」(ナカグロなし)と表記されることもあるが、日本語の正式名称は「オプス・デイ」(中黒あり)である。
  3. ^ ホセマリア・エスクリバーのプロフィール(バチカンHP、英語)
  4. ^ Centro Internazionale Cavabianca” (スペイン語). 2023年10月7日閲覧。
  5. ^ Nuova sede del Collegio Romano di Santa Maria” (イタリア語). 2022年10月7日閲覧。
  6. ^ オプス・デイ来日50年」『』。2018年11月13日閲覧。
  7. ^ Opus Dei よくある質問
  8. ^ http://opusdei.org/ja-jp/article/jing-shen/
  9. ^ 愛すべき天地―この世を熱烈に愛する」『』。2018年4月6日閲覧。
  10. ^ 属人区長の手紙(2018年1月9日)」『』。2018年4月21日閲覧。
  11. ^ The Canonical Configuration of Opus Dei as Foreseen by St. Josemaría | Prelaturas, Ordinariatos y otras circunscripciones personales”. prelaturaspersonales.org. 2020年9月23日閲覧。
  12. ^ スペイン語でprelatura personal、英語ではpersonal prelature。
  13. ^ ほかには軍属区という区分もある。
  14. ^ Anglicanorum coetibus Providing for Personal Ordinariates for Anglicans Entering into Full Communion with the Catholic Church (November 4, 2009) | BENEDICT XVI”. w2.vatican.va. 2018年5月28日閲覧。
  15. ^ Complementary Norms for the Apostolic Constitution Anglicanorum coetibus”. www.vatican.va. 2018年5月28日閲覧。
  16. ^ speaking), Copyright 2015 The Personal Ordinariate of Our Lady of the Southern Cross Ordinariate Community of St. Augustine of Canterbury (Japanese. “南十字星の聖母の属人区 カンタベリーの聖オーガスチン(日本語)会衆 Personal Ordinariate of Our Lady of the Southern Cross Ordinariate Community of St. Augustine of Canterbury (Japanese speaking) Home Page”. www.ordinariatejapan.org. 2018年5月28日閲覧。
  17. ^ “Ordinariate ordination in Hiroshima, Japan” (英語). ORDINARIATE NEWS (from the Anglicanorum Coetibus Society). (2016年6月12日). https://ordinariateexpats.wordpress.com/2016/06/12/ordinariate-ordination-in-hiroshima-japan/ 2018年5月28日閲覧。 
  18. ^ 聖職者以外の信者。
  19. ^ 聖十字架司祭協会とは何ですか?”. Opus Dei. 2021年11月30日閲覧。
  20. ^ “Priestly Society of the Holy Cross” (英語). http://opusdei.org/en-us/article/priestly-society-of-the-holy-cross/ 2018年6月1日閲覧。 
  21. ^ a b 教皇フランシスコ、オプス・デイ属人区長にフェルナンド・オカリス神父を任命 - オプス・デイウェブサイト
  22. ^ http://opusdei.org/en-us/section/canonization-causes/
  23. ^ 福者グアダルーペ!”. opusdei.org. 2019年6月7日閲覧。
  24. ^ Guadalupe Ortiz, First Lay Person of the Opus Dei Beatified” (英語). ZENIT - English (2019年5月19日). 2019年6月7日閲覧。
  25. ^ モンツェについての資料”. Opus Dei. 2021年11月30日閲覧。
  26. ^ Biografia resumida” (ポルトガル語). Marcelo Câmara. 2021年11月30日閲覧。
  27. ^ Biografía: Álvarez Ramírez, Arturo”. enciclopedia.udg.mx. 2021年11月30日閲覧。
  28. ^ 聖ホセマリアの生涯ー6”. opusdei.org. 2021年4月21日閲覧。
  29. ^ enquiries@thetablet.co.uk, The Tablet-w:. “Guadalupe Ortiz, the first woman member of Opus Dei to be beatified” (英語). The Tablet. 2022年6月5日閲覧。
  30. ^ Comments by the Popes on Blessed Josemaria and Opus Dei:http://www.vatican.va/latest/documents/escriva_pontefici_en.html
  31. ^ http://en.romana.org/
  32. ^ ダ・ヴィンチ・コードに対するオプス・デイの見解. 2006年6月1日.
  33. ^ 中井俊已 (2006年8月5日). 『ダ・ヴィンチ・コード』はなぜ問題なのか?. グラフ社. ISBN 9784766209846 
  34. ^ 『ダヴィンチ・コード』とオプス・デイ」『』。2018年4月19日閲覧。





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