まんだらけ 事件

まんだらけ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/15 13:47 UTC 版)

事件

買取におけるトラブル

ヴィンテージグッズの買取販売を行う会社の性質上、買取を巡ってトラブルとなる事が度々ある。過去には盗難に遭った宮崎駿の水彩画『ラッパを吹く少年』が目録で販売されたり、アニメ制作会社から盗まれたセル画を買い取り販売しようとして元の制作会社から提訴されたりしたこともある[11]。また、ワンダーフェスティバル当日版権が許可された上で発売されたガレージキットを現地で仕入れて店頭で売っている事なども問題となった[12]

2003年、渡辺やよいの原稿がインターネットオークションに出品されていることが発端となり、まんだらけが盗難品である渡辺や弘兼憲史らの原稿を売買していた事実が明るみに出る。「単行本を復刻する」として漫画家から原稿を預かっていた「さくら出版」が2002年に倒産、原稿を漫画家に返還せず、まんだらけに転売したとされる。当初、まんだらけ側は「盗品であるとの確証がもてない」ことを理由に漫画家の返還要求を拒否していたが、その後の訴訟で原稿は返却された。詳細は「漫画原稿を守る会」を参照。

2015年2月頃、インターネットを介して買い取りを行った際に古物営業法に定められた本人確認を怠ったとして、2016年3月、警視庁は法人としてのまんだらけと社長の古川を書類送検し、7月25日に東京簡易裁判所が両者に罰金刑の略式命令を出したほか、東京都公安委員会も買い取りを行っていたコンプレックス店に対して9月12日から1ヶ月間の宅配買い取り業務の営業停止処分を下している[13][14]

2018年5月10日、まんだらけオークションにおいて、梶原一騎ながやす巧の作品『愛と誠』のカラー原画が売買されていた事実が発覚し、騒動となる。掲載誌であった『週刊少年マガジン』の編集部によると、1974年頃、テレビ局やレコード会社に貸し出した際に行方不明となったカラー原画10枚とモノクロ原画5枚のうちの1枚とされる。当時、警察にも紛失届が提出され、ながやす本人も外部へ譲渡・売却した事実はないとしている。講談社は原画を返却するよう求めたがまんだらけ側はそのままオークションサイトで販売、400万円の高値で落札された[15][16]。まんだらけ側は「編集部に非のある話であり、出版社がオークションで落札すべきであった」と公式サイトで反論している。

2023年12月7日、フリマアプリメルカリ」で商品を買い取る際に身分確認をしなかったなどとして、警視庁はまんだらけの前社長と法人としての同社を古物営業法違反の疑いで書類送検した。 前社長は容疑を認め、「フリマアプリ側が身分を確認しているので、うちは確認しなくていいと思っていた」と説明しているという[17]

万引き画像公開をめぐる是非

2014年8月4日17時頃、中野店4Fの変やにおいて、野村トーイ製の「鉄人28号 No.3 ゼンマイ歩行」(約25万円)のブリキ人形が盗まれる万引き窃盗事件が発生。これに対して、まんだらけは自社のウェブサイトで、防犯カメラで撮影された犯人と思われる男の顔写真をモザイク入りで公開し、「8月12日までに返しに来ない場合、顔写真のモザイクを外して公開する」という旨の窃盗被害品返還の呼びかけを掲載した[18]

こうした声明に対し弁護士などの法律関係者は、あくまで法律遵守の観点から、警察がウェブサイトで公開する場合を除き、一企業が勝手に顔写真を晒す行為は「人の名誉に対して害を加える告知をしているといえるので、店側が脅迫罪として処罰される可能性がある」と指摘している[19]。また、警視庁も中止を要請していた[20]。これに対してまんだらけでは、「法的リスクを承知のうえで公開する」としていたが[21]、最終的に中止を決めた[22]

この件について社長の古川益蔵は「一言で言えば、商品を返してもらいたかったということだ。我慢の限度だった」としつつ、反響については「「何でこんなことを」という声と「よくやった」という声が50:50だったが、最後は90%が「よくやった」だった。反響の大きさには正直驚いた」と語っている[23]。タレントの中川翔子なども画像公開を支持し、犯人への怒りを露わにしていた[24]

同年8月19日に警視庁捜査3課が、千葉市在住の50歳の男を窃盗容疑で逮捕した。同月7日に中野区内の別の古物商に64,000円で売却しており、そこから関与が浮上した。警察の調べに対して容疑を認めており、動機について「ショーケースのガラス戸が少し開いていたので盗んだ、売ってお金にしようと思った」、まんだらけが警告を出したことについても「玩具を売ってから知った」と語っているという[25]。同年10月17日に行われた初公判では、この男が以前にも秋葉原のまんだらけの店舗でも約200万円のソフトビニール製の人形「宇宙怪人 ササヒラー」を万引きしており、この時は店側と示談していたことが明らかにされた[26]。同月31日の判決公判では「転売目的で高額な玩具を狙って万引きしており、刑事責任には相応の重さがある」としつつも、転売先とは示談が成立し、玩具がまんだらけに返還される見込みであるほか、弁償も一部済んでいるとして刑の執行を猶予するのが相当とだとし、懲役1年、執行猶予3年の判決が言い渡された[27]

残業代不払い・過重労働関連

2012年11月16日、元社員の女性が、未払いの残業代229万46円と付加金219万46円の支払いを求める訴えを東京地裁に提起した裁判で、「被告は原告に対し、223万3,606円を支払え」(未払金)、「被告は原告に対し、210万8,165円を支払え」(付加金)と命じた判決が出され、原告の主張が全面的に認められた[28]。 また、2012年11月16日にも、元社員1人がまんだらけを相手取り、未払い賃金140万7,750円、付加金132万4959円、不法行為責任して10万円の支払いを求める訴えを東京地裁に起こしている。

アダルトショップ営業・摘発問題

2021年8月28日に中野ブロードウェイ内に開店した、アダルトDVDなどを扱う「まんだらけ禁書房」について、同年9月14日に警視庁保安課が家宅捜索を行い、10月21日付で法務担当役員と法人としてのまんだらけを書類送検した。開店当初より近隣のファンシーショップから「営業を続けるのが厳しい状況」にあると表明、中野区役所や中野警察署に苦情や抗議が寄せられていた。まんだらけ側は「中野店のテナントの一部」と考え「アダルトショップの営業許可は不要と考えていた」としていたが、保安課は禁書房が他のテナントと接しておらず、独立した店舗であると判断。風営法及び東京都条例に定められた「病院の周囲200メートルの区域内ではアダルトショップ(性風俗関連特殊営業の5号営業に該当)の営業は不可」に抵触しているとして、9月2日から複数回営業の改善の指導を行っていたが、それに従わずに営業を継続したため、14日に店へ立ち入りを行い、商品など計約2500点を押収。約1カ月の捜査の後、風営法違反として書類送検し摘発に踏み切った。役員の男は容疑を認めている[29][30][31]

捜査関係者は風営法によるアダルトショップの規定は「『専ら』、性的好奇心をそそる物品を販売する店舗」と定義するが、「『専ら』は具体的にどの程度を指すのかが決まっているわけではないが、今回の件は明らかに法に違反していた」と強調する。一方、捜査関係者は「性的コンテンツを全否定しているわけではない」とも話す。ただ、治安の維持のために風営法の順守が必要とし「ルールを守っている店が大半だ。しっかりと法にのっとり営業することが必要だ」と訴えている[32]。この件で、アダルトショップなどの風俗店営業に課される規制の厳しさが明らかになった。

まんだらけは10月25日付で公式サイトに発表した禁書房摘発に関する見解の中で、警察からの指導を重く受け止めるとともに、禁書房については法令に抵触しない形で営業の再開を検討し、法令遵守に努めるとしている。その一方で「アダルト商品扱う店は他にもあるのに、まんだらけだけ摘発されるのは不公平」という内容の客からの応援とされるメッセージも併載している[33]

わいせつ図画有償頒布目的所持などの容疑で摘発

2021年10月から2022年1月にかけて、通販サイトでビニ本の画像を掲載、東京と大阪の3店舗及び千葉県内の倉庫にビニ本約400冊を販売目的で所持していたとして、警視庁保安課はわいせつ図画頒布などの疑いで2022年5月27日に社長や大阪の店舗の店長、従業員ら5人を書類送検(後に不起訴処分)した。まんだらけでは2010年頃からビニ本の取り扱いを行っており、2022年までの間に約1440万円を売り上げていた[34][35][36]。11月11日には東京都公安委員会が中野店・渋谷店に対し、アダルトグッズやビニ本などアダルト関連商品について180日間の販売停止を命じる行政処分を決定している[37]

落書き犯の映像公開に対する是非

2022年10月22日午前4時半頃、大阪のグランドカオス店の外壁が数名の集団によって落書きされた。まんだらけ側は直ちに警察に被害届を出すとともに公式サイトで事件について公表、犯人側に警察及び店舗に出向くよう呼びかけたが、1週間経っても名乗り出なかったため、動画投稿サイトで防犯カメラの映像を公開するとともに情報提供を募り、有力情報については謝礼金を支払うことを決めた[38]

まんだらけ側は「泣き寝入りしたくない」と公開の意図を語っており、また上述の万引き犯の画像公開事例も踏まえて「犯罪には毅然とした対応を取るという会社の姿勢は変わっていない」と強調している。ネット上では「公開して犯人を捜したいというのは普通の考え」と肯定的な意見も見られる一方、「私刑の感じがする」「ルールを作らないと無罪の人間を社会的に抹殺することもできる」と否定的・慎重な姿勢を求める意見も見られた[38]


注釈

  1. ^ 『まんだらけ風雲録』より。ちなみに、この『最後の世界大戦』は1980年(昭和55年)8月24日未明に万引きされ、行方不明になった。当日は大混雑だったらしく、閉店する際に古川がショーケースを見るまでなくなっていることに気づかなかったという[3]

出典

  1. ^ a b c d 会社概要 まんだらけ公式サイト(2023年10月19閲覧)
  2. ^ 東京人』2014年7月号(NO.341)「ガロとCOMの時代」
  3. ^ 『漫画の手帖』2号(漫画の手帖事務局、1980年)3ページ
  4. ^ アキバに「まんだらけコンプレックス」-新築自社ビルに全館展開 アキバ経済新聞(2008年4月8日)2023年10月19日閲覧
  5. ^ まんだらけ札幌店 3/17新規移転OPEN!!
  6. ^ 世界一の在庫数! まんだらけのソフビ専門店が新規オープン、場所は高架下の「SEEKBASE」内 AKIBA PC Hotline!(2019年12月15日)2023年10月19日閲覧
  7. ^ 世界中のコレクターを魅了する「まんだらけ」の新業態「まんだらけ那由多」(TOY専門店)がP’PARCOにオープン! パルコ/PR TIMES(2019年12月19日)2023年10月19日閲覧
  8. ^ まんだらけ宇都宮店 まんだらけ公式サイト(2023年10月19日閲覧)
  9. ^ 通販・買取専門 まんだらけSAHRA まんだらけ公式サイト(2023年10月19日閲覧)
  10. ^ まんだらけ京都店 京都高島屋S.C.公式サイト(2023年10月19日閲覧)
  11. ^ 「セーラームーン」元の持ち主へ=盗難セル画、古書店に返還命令-東京地裁
  12. ^ 今一度真剣に考えたい「当日版権」が有する意味(『ワンダーフェスティバル2004夏ガイドブック』)
  13. ^ 「まんだらけ」行政処分 本人確認が不十分[リンク切れ]朝日新聞(2016年9月3日)
  14. ^ まんだらけを営業停止処分 本人確認不十分 Archived 2016年9月2日, at the Wayback Machine.[リンク切れ]スポーツニッポン(2016年9月3日)
  15. ^ 「愛と誠」紛失原画400万円で落札 講談社は「残念」[リンク切れ]朝日新聞(2018年5月11日)
  16. ^ 「愛と誠」紛失原画が競売サイトに 400万円で落札 講談社が注意喚起 スポーツニッポン(2018年5月10日)2023年10月18日閲覧
  17. ^ “「まんだらけ」を書類送検 メルカリ仕入れで身分確認しなかった疑い”. 朝日新聞. (2023年12月8日). https://www.asahi.com/sp/articles/ASRD8659XRD8UTIL02J.html 2023年12月8日閲覧。 
  18. ^ 警告 8月4日17時頃 まんだらけ中野店4F変やで25万円の野村トーイ製 鉄人28号 No.3 ゼンマイ歩行を盗んだ犯人へ まんだらけ公式サイト(2023年10月18日閲覧)
  19. ^ 「盗品を返さなかったら顔写真を公開する」 まんだらけの「警告」は問題ないのか? 弁護士ドットコム(2014年8月7日)2023年10月18日閲覧
  20. ^ “万引犯の顔 公開中止を 警視庁が申し入れも「まんだらけ」は公開の意向”. Sponichi Annex (スポーツニッポン新聞社). (2014年8月12日). オリジナルの2014年8月12日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140812203344/http://www.sponichi.co.jp/society/news/2014/08/12/kiji/K20140812008732860.html 2019年3月20日閲覧。 
  21. ^ 「法的リスクは承知のうえ」 まんだらけが「万引き犯」顔写真を13日0時に公開へ 弁護士ドットコム(2014年8月12日)2023年10月18日閲覧
  22. ^ 警視庁の要請により顔写真の全面公開は中止させて頂きます”. まんだらけ. 2014年8月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年3月20日閲覧。
  23. ^ まんだらけ社長独白「あの騒動と会社の今後」東洋経済オンライン(2014年10月5日)2023年10月18日閲覧
  24. ^ “しょこたん、「まんだらけ」万引き犯に怒り”. RBB TODAY (イード). (2014年8月13日). https://www.rbbtoday.com/article/2014/08/13/122439.html 2019年3月20日閲覧。 
  25. ^ “まんだらけ:50歳男逮捕…窃盗容疑で 玩具「転売目的」”. 毎日新聞 (毎日新聞社). (2014年8月19日). オリジナルの2014年8月21日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140821194708/http://mainichi.jp/select/news/20140819k0000e040140000c.html 2019年3月20日閲覧。 
  26. ^ “まんだらけ窃盗犯以前にも200万人形万引”. 日刊スポーツ (日刊スポーツ新聞社). (2014年10月18日). オリジナルの2014年10月19日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20141019055712/http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp0-20141018-1383614.html 2019年3月20日閲覧。 
  27. ^ “まんだらけ万引き、被告に有罪判決 鉄人28号玩具盗む”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2014年10月31日). オリジナルの2014年10月31日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20141031052225/http://www.asahi.com/articles/ASGB03DG5GB0UTIL009.html 2019年3月20日閲覧。 
  28. ^ まんだらけ、違法就労訴訟で敗訴!長時間の強制タダ働きの実態が露呈」ビジネスジャーナル 2013年01月29日12時00分
  29. ^ 禁止区域でアダルト商品販売 中野ブロードウェイの「まんだらけ」を書類送検[リンク切れ]産経ニュース(2021年10月22日)
  30. ^ なぜか区に抗議? 中野ブロードウェイの乱「まんだらけアダルト店VSファンシーショップ」と、いつもの外野の泥仕合 キャリコネニュース( (2021年9月7日)2023年10月18日閲覧
  31. ^ 「まんだらけ」を書類送検 禁止区域でアダルトショップ運営した疑い 朝日新聞デジタル(2021年10月22日)2023年10月18日閲覧
  32. ^ 【犯罪最前線】アダルト商品丸見え「まんだらけ」摘発の舞台裏[リンク切れ]産経ニュース(2021年10月31日)
  33. ^ 当社「禁書房」に関わる報道について”. 株式会社まんだらけ (2021年10月25日). 2021年11月4日閲覧。
  34. ^ まんだらけ社長ら書類送検 わいせつビニ本販売疑い[リンク切れ]」産経ニュース(2022年5月27日)
  35. ^ 古書店「まんだらけ」の社長ら書類送検 性的な「ビニ本」販売の疑い,朝日新聞デジタル(2022年5月27日)2023年10月18日閲覧
  36. ^ ビニ本販売容疑 「まんだらけ」社長ら5人を書類送検 警視庁[リンク切れ]毎日新聞(2022年5月27日)
  37. ^ 【速報】「まんだらけ」に行政処分 アダルト商品半年間の販売停止へ[リンク切れ]TBS NEWS DIG(2022年11月15日)
  38. ^ a b 落書き犯を報奨金付き「指名手配」 まんだらけ動画公開の是非[リンク切れ]産経新聞(2022年11月13日)


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