カデンツとは? わかりやすく解説

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カデンツ【(ドイツ)Kadenz】

読み方:かでんつ

カデンツァ

「カデンツ」に似た言葉

カデンツァ

(カデンツ から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/05 18:08 UTC 版)

カデンツァ(: cadenza, : Kadenz)とは、一般に、独奏協奏曲オペラ等のアリアにあって、独奏楽器や独唱者がオーケストラ伴奏を伴わずに自由に即興的な演奏・歌唱をする部分のことである。なお、イタリア語の「カデンツァ」もドイツ語の「カデンツ」も、もともとは終止形としての和音進行を意味しているが、日本では一般に和音進行についてはドイツ語の「カデンツ」、協奏曲やアリアの即興的独奏・独唱部分についてはイタリア語の「カデンツァ」が使われることが多い。ごく稀に、室内楽曲モーツァルトのヴァイオリンソナタ第30番終楽章、作り付け)、ピアノ独奏曲(リストハンガリー狂詩曲第2番、任意)などにもみられる。

古典派の独奏協奏曲にあっては、通例、第1楽章のソナタ形式の終わり、コーダの部分で、一旦オーケストラによる合奏を中断する。その後、独奏楽器に自由な演奏をさせたあと、再び合奏となり楽章を終結する。典型的な例では、四六の主和音上で合奏が停止し、属音上のトリルを以て独奏部分を終わる。この場合、和声的には独奏部分全体を巨大な一つの属和音とみなすことができる。

上述のように元来、独奏者が自由に即興的に演奏していたが、やがてカデンツァを楽譜に書き残し、またその楽譜に従って演奏するということが行われるようになってきた。こうして、ひとつの協奏曲に異なる複数の作曲家がカデンツァを書くようになり、現在では演奏家はその中から選んで演奏するのが一般的である。

時代が下ると、独奏者が即興で演奏するためにカデンツァの部分だけ質が低下すると感じる作曲家も登場し、作曲者が協奏曲全体の統一を図るため、協奏曲の作曲者自身が同じ楽譜の上にカデンツァを書き記すということが行われるようになる。こうなると形の上ではカデンツァでも、演奏者の自由は完全に損なわれる(ベートーヴェンピアノ協奏曲第5番メンデルスゾーンヴァイオリン協奏曲が例である)。この場合でも、あえて他のカデンツァを演奏する、またはその場で即興的に演奏する、ということが希に行われることがある。

作曲家によってカデンツァの捉え方に相違があり、古典派(後期のモーツァルト・ベートーヴェン)では演奏者の独断を許さない作曲者の強い支配性がカデンツァまで作り付けにして演奏者を拘束している。初期ロマン派では演奏者の聴衆との自由な交流を尊重しようという考えでカデンツァは再び書かれなくなった。特に未完作の多いシューベルトはカデンツァ以上に再現部まで省略したともいえる。メンデルスゾーンはヴァイオリニストの助言で協奏曲にパガニーニ様のものを残したがピアノ協奏曲には顕著なものはなく、その意義について一定の妥協をしている。         

カデンツァは派手な技巧を凝らしすぎると協奏曲全体との均衡を崩すことになり、逆にあまり簡素だと芸術としての主張意欲がないと批判される。

このため多くの場合、拍子が一般の楽曲よりも自由で、拍子がなかったり、あっても安定しないのが普通である。また、テンポ・ルバートも自由に行われることが多い。

関連項目


カデンツ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 05:47 UTC 版)

和声」の記事における「カデンツ」の解説

(英: cadence, 伊: cadenza f, 独: Kadenz f, 仏: cadence f) 機能和声においては、Tに戻ることで一段落となる。言い換えると、和音移り変わりは、Tから他の機能移行して、またTに戻るまでがひとまとまりである。このひとまとまりをカデンツという。 機能和声においてDは、Tへ移行する力が強いので、Sには移行しないのが原則である。TとSはいずれ機能にも移行する。このことを考えると、カデンツは、 T→D→T T→S→D→T T→S→T の3種いずれかとなる。 注)パウル・ヒンデミットの「和声学I&II」と林達也の「新し和声」では、ドミナントからサブドミナントへ進む例外にも言及がある。DからSへの進行考慮に入れるならば、上記に T→D→S→Tのカデンツが加わることとなる。実際音楽においては、他のカデンツに比べて少ない。

※この「カデンツ」の解説は、「和声」の解説の一部です。
「カデンツ」を含む「和声」の記事については、「和声」の概要を参照ください。

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