p53の調節
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/30 15:43 UTC 版)
USP7(HAUSP)はユビキチン特異的プロテアーゼ(脱ユビキチン化酵素)であり、基質からユビキチンを切断除去する。一般的にユビキチン化(ポリユビキチン化)は細胞のタンパク質の安定性と分解と関係しているため、HAUSPの活性は一般的に基質タンパク質を安定化する。 HAUSPはMdm2の直接的なアンタゴニストであることで最もよく知られている。Mdm2はがん抑制タンパク質のp53に対するE3ユビキチンリガーゼである。通常はp53のレベルは低く維持されているが、その一部はMdm2を介したユビキチン化と分解によるものである。HAUSPは発がん性損傷に応答してp53を脱ユビキチン化し、Mdm2を介した分解から保護する。このことから、HAUSPはストレスに応答して迅速にp53の安定化を行うがん抑制機能を有している可能性が示唆される。 MycやアデノウイルスE1Aなどからの発がん性シグナルからのp53の活性化はARFの発現誘導を介して行われると考えられているが、一方でこうしたシグナルによるp53の活性化にはARFは必要不可欠ではないことも一部の研究では示唆されている。HAUSPはこうした発がん性損傷に対する安全装置として、p53活性化の代替的経路となっている可能性がある。
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