X の正則部分代数多様体を中心に選ぶ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/20 01:04 UTC 版)
「特異点解消」の記事における「X の正則部分代数多様体を中心に選ぶ」の解説
代数多様体 X の非特異化の構成では、X の滑らかな部分代数多様体がブローアップの中心になるとは限らない。抽象的な代数多様体 X の非特異化は、多くの場合、局所的にX を滑らかな代数多様体 W に埋め込み、W におけるそのイデアルを考え、このイデアルの標準的な非特異化を計算することにより作られる。イデアルの非特異化ではイデアルの位数をイデアルの特異度を測るものとして使う。イデアルの非特異化は局所的な中心を貼り合わせて大域的な中心を作るというやり方でなされる。この方法による証明は、ヒルベルト・サミュエル関数で特異点の悪さを測る広中の元の証明に比べて、相対的に簡単である。例えば Villamayor (1992),Encinas & Villamayor (1998),Encinas & Hauser (2002),Kollár (2007) ではこのアイデアを使って証明している。しかしこの方法ではブローアップの中心は W で正則であることしか保証されない。 次の例 (Bierstone & Milman 2007) は、この方法により X(の強変換)との交叉が滑らかではない中心が生じ、したがって抽象的な代数多様体 X の非特異化が X の正則部分代数多様体でのブローアップとして得られていないものの例である。 4次元アフィン平面を考える。その座標をx, y, z, wとする。多項式y2 − x3とx4 + xz2 − w3で定義される部分代数多様体Xを考える。この多項式を生成元とするイデアルの標準的な非特異化ではx = y = z = w = 0で定義されるC0を中心とするブローアップを行うだろう。変換後のイデアルは、x チャートではx − y2とy2(y2 + z2 − w3)で生成される。次のブローアップの中心はx = y = 0で定義されるC1である。X の強変換X1はx − y2とy2 + z2 − w3で定義されるものである。C1とX1の交叉はx = y = 0とz2 − w3 = 0により与えられるが、これは正則ではない。 X の正則部分代数多様体をブローアップの中心とするより強い証明(Bierstone, Milman & 1991-97)では、局所的にWに埋め込んだときのイデアルの位数ではなく、Xの局所環のヒルベルト・サミュエル関数が使われる。
※この「X の正則部分代数多様体を中心に選ぶ」の解説は、「特異点解消」の解説の一部です。
「X の正則部分代数多様体を中心に選ぶ」を含む「特異点解消」の記事については、「特異点解消」の概要を参照ください。
- X の正則部分代数多様体を中心に選ぶのページへのリンク