Sentinel-1とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > Sentinel-1の意味・解説 

Sentinel-1

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/06/26 14:31 UTC 版)

Sentinel-1
所属 EUESA
主製造業者 タレス・アレーニア・スペース
公式ページ Sentinel-1
状態 計画中
目的 レーダーによる地球観測
設計寿命 7年
打上げ場所 ギアナ宇宙センター
打上げ機 ソユーズSTA/フレガート
打上げ日時 Sentinel-1A:2014年4月3日
Sentinel-1B:2015年11月(予定)
物理的特長
本体寸法 3.4m x 1.3m x 1.3m
質量 2,270kg
発生電力 4,800W(寿命末期)
姿勢制御方式 3軸姿勢制御
軌道要素
周回対象 地球
軌道 太陽同期軌道
高度 (h) 693km
軌道傾斜角 (i) 98.18度
軌道周期 (P) 98.6分
回帰日数 12日
降交点通過
地方時
18時
観測機器
C-SAR Cバンド合成開口レーダー

Sentinel-1(センチネル-1)は欧州連合(EU)とヨーロッパ宇宙機関(ESA)の地球観測プログラム「コペルニクス計画」によって開発されている地球観測衛星である。Sentinel-1AおよびSentinel-1Bの2基からなる衛星コンステレーションとして、1Aは2014年4月3日に打ち上げられた[1]。1Bの方は2015年の打ち上げが計画されている。

概要

欧州連合はヨーロッパ宇宙機関と協力し、全地球的なリモートセンシング網を構築するコペルニクス計画(旧名称Global Monitoring for Environment and Security:GMES)を推進している。この宇宙政策の中心となる地球観測システムは、それぞれ異なる種類の観測機器を搭載したSentinel1~5の衛星シリーズであり、その最初のミッションであるSentinel-1は搭載した合成開口レーダーの観測によって地表と海洋の情報を24時間体制で供給する。

ESAは1991年にERS-1を打ち上げて以降、ERS-2やEnvisatなどによって海面・海氷面・地表面のマッピングを継続しており、Sentinel-1はこれらの先行するリモートセンシング衛星の任務のうちCバンド合成開口レーダー(SAR)の観測を引き継ぐことになる。取得されたデータは気候変動を含む様々な科学的研究、資源利用や環境保全、そして防災に役立てられる。また欧州連合はSentinel衛星の観測データを無料で公開することによって、リモートセンシングを活用した新たな産業の育成を図り、2030年までに5万件の雇用を生み出すことを目標としている[2]

2007年6月にタレス・アレーニア・スペースイタリアが主製造業者としてESAとの契約を結び[3]、同社の衛星バスPRIMAを元にSentinel-1Aの開発製造を開始した。衛星は重量2.3トンの直方体で、打ち上げ後に長さ12.3mのアンテナアレイを展開する。設計寿命は7年でスラスタ燃料は12年分を搭載。Sentinel-1AとSentinel-1Bはギアナ宇宙センターよりそれぞれ2014年4月と2015年11月の打ち上げが予定されている[4]。 Sentinel-1AとSentinel-1Bは同一軌道面を互いに180度の位相差で周回することで観測の頻度を向上させる。

Xバンド送信機(520Mビット/s)を搭載し、スヴァールバルアラスカなど複数の地上局に観測データを送信するが、Sentinel-1で1日に得られる観測データは1Tバイトを超えると見積もられており[5]、この大量のデータを送るために光通信を併用する。ドイツのTesat Spacecom社が製造した光通信ターミナルによって静止軌道の欧州データ中継衛星(EDRS)へ1.8Gビット/sのデータを送信し、この光通信リレーを使って観測データの50%をダウンリンクさせる見込みとなってる[6]。衛星のフライトオペレーションはドイツのダルムシュタットにある欧州宇宙運用センター(ESOC)が担当し、分析にかけられた観測データの運用管理はイタリアのフラスカーティに所在する欧州宇宙研究所(ESRIN)が行う。

搭載機器

  • Cバンド合成開口レーダー C-SAR (C-band SAR instrument)
アクティブフェーズドアレイアンテナを備えたCバンド合成開口レーダー。レーダー波の中心周波数は5.405GHzで二重偏波での観測が可能。4種類の観測モードを持ち、最もレーダー波を絞ったStrip Mapモードでは解像度5mで観測幅が80km、広範囲の観測を行うExtra-wide Swathモードでは解像度20m×40mで観測幅が400kmとなる。EADS アストリアム社のドイツとイギリスの拠点がレーダー本体とサブシステムの開発を分担している。

関連項目

脚注

  1. ^ “Europe lofts first Copernicus environmental satellite”. ESA. (2014年4月3日). http://www.esa.int/Our_Activities/Observing_the_Earth/Copernicus/Sentinel-1/Europe_lofts_first_Copernicus_environmental_satellite 2014年4月6日閲覧。 
  2. ^ Business, citizens and environment to benefit from free access to EU satellite data”. EU Press releases (2013年11月13日). 2014年3月2日閲覧。
  3. ^ ESA Awards Thales Alenia Space a 229 M Euro Contract to Provide Sentinel-1”. ASD News (2007年6月19日). 2014年3月2日閲覧。
  4. ^ EU's first Sentinel to launch 'in April'”. BBC News (2014年1月17日). 2014年3月2日閲覧。
  5. ^ "Sentinel-1 The Radar Mission for GMES Operational Land and Sea Services", 2007, p.17, ESA広報131号
  6. ^ European Data Relay Satellite System EDA Workshop”. ESA (2011年6月7日). 2014年3月2日閲覧。

参考文献・外部リンク


「Sentinel 1」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「Sentinel-1」の関連用語

Sentinel-1のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



Sentinel-1のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのSentinel-1 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS