Microsoft_BASICとは? わかりやすく解説

Microsoft BASIC

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/11 14:38 UTC 版)

Microsoft BASIC
開発元 マイクロソフト
初版 1975年 (1975)Altair BASIC
後継 Visual Basic, Visual Basic .NET
種別 BASICインタプリタコンパイラ
テンプレートを表示

Microsoft BASIC(マイクロソフト ベーシック)とは、かつてマイクロソフトが開発・販売していたBASIC言語の処理系である。BASICの流れを汲む派生言語(独自拡張の方言あるいは構造化されたBASICも含む)や処理系の総称とみなされることもあるが、Visual Basic以後は従来のBASICとは互換性がなく、「Microsoft BASIC」という語が指す範囲かどうかは議論があろう。また、QuickBASICやVisual Basicは独自の「構造化されたBASIC」として発展したものであり、同じく「構造化されたBASIC」であるISO/IEC 10279やJIS X 3003などで標準化されているFull BASIC英語版との互換性はない。

さらに、.NET Frameworkを基盤として動作するように設計されたVisual Basic .NETは、旧Visual Basic(バージョン6.0以前)の欠点を解消し、同時期に登場したC#と同等の本格的なオブジェクト指向言語としての機能をサポートするよう新規に再構築されており[1]、旧Visual Basicとの互換性はなく、完全に別物の言語および処理系である。

概要

マイクロソフトの基盤を築いた製品である。最初に登場したのは1975年、ホビーイスト[注釈 1]向けマイクロコンピュータMITS Altair 8800用のAltair BASICであった。

Altair BASIC インタプリタは、マイクロソフト社を設立したポール・アレンビル・ゲイツ(およびゲイツの同級生のモンティ・ダビドフ)が開発した。

開発にはミニコンピュータ PDP-10 を使用した。紙テープの形で販売され、初期バージョンは4 KB(厳密にはKiB)のメモリを使用した。拡張した8 KBバージョンは、いろいろなプラットフォームに移植された。BASIC-80 (8080/85とZ80)、BASIC-68 (MC6800)、BASIC-69 (MC6809)、6502-BASIC、そして16ビットの BASIC-86 (8086/8088) である。

Altair BASICでの成功の後、Microsoft BASICは儲かるソフトウェアライセンスビジネスの基盤となっていく。1970年代から(特に)1980年代にかけて、様々なホームコンピュータパーソナルコンピュータ(パソコン、PC)に移植され、拡張されていった。オリジナルのAltair BASICとは対照的に、多くのPC用のBASICはROM-BASICの形でROMに格納され、マシンの電源を入れると"READY."(または"Ok")などのプロンプトを表示して直ちにBASICが起動するようになっていた。つまり、Microsoft BASICとその派生品は初歩的なオペレーティングシステム (OS) としての役割を担っており(スタンドアロンBASIC)、そのような機種は「BASICターンキーモデル」などと呼ばれていた。

マイクロソフト発売の主なバージョン

当初DOS向けではインタプリタとコンパイラが別系統の商品として販売された後、QuickBASICによって統一され、その後プロフェッショナル向けが分離された。Microsoft Visual Basicでは、Standard/Professional版の形で再統一されている。

一時期Macintosh向けにもインタプリタとQuickBASICが発売されていた。

インタプリタ系

  • BASIC-80 : 8ビット(8080/85とZ80)版
  • BASIC-86 : 16ビット(8086/8088)版、DOS向けの最終版は V5.28(1983)。
  • GW-BASIC : IBMがPC DOSにバンドルしたBASICAのMicrosoft版。IBM PCのROM BASIC無しで動作し、CGAEGAのグラフィックをサポートする。最終版は V3.23(1988)。VGAはサポートされていないので、DOS/V機ではグラフィックが使えない。
  • QBasic : MS-DOS 5以降にバンドルされた。QuickBASICからコンパイル・リンク等の機能を除いた物。

コンパイラ系

  • Microsoft BASIC Compiler (BASCOM) : CP/M-80やMS-DOS用に販売されており、DOS向けの最終版は5.36(1984)。
  • QuickBASIC (1985) : BASCOMの後継で4.5が最終版、この後Visual Basicに移行する。
  • Microsoft Visual Basic (1991) : 先にWindows 3.0向けが発売され、その後DOS向けの最終版が発売された。

プロフェッショナル向け

  • Microsoft BASIC Compiler 6.0 (1988) : QuickBASIC 4.0から派生した。MS-DOS, OS/2両対応で後のVisual Basic Professional版の先駆け。
  • Microsoft BASIC PDS 7.x
  • Microsoft Visual Basic with Professional Toolkit
  • Microsoft Visual Basic for DOS Professional Edition : DOS版のプロフェッショナル向けの最終版

Microsoft BASICの派生品

Microsoft BASICを基に、企業独自の機能が使えるように改造および改良した派生品が数多く現れた。ライセンス契約の影響もあって本体同梱が原則であったが、一部の製品は別売で購入することができた。

脚注

注釈

  1. ^ hobbyistは「ホビイスト」とも表記される。業務用ではなく、家庭用あるいは個人的な趣味の一環としてコンピュータを利用するユーザーのことを指す。

出典

関連項目


「Microsoft BASIC」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「Microsoft_BASIC」の関連用語

Microsoft_BASICのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



Microsoft_BASICのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのMicrosoft BASIC (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS