Mallyの義務論理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 01:46 UTC 版)
アレクシウス・マイノングの弟子 Ernst Mally は著書 Grundgesetze des Sollens で初めて義務論理の形式体系を提唱し、ホワイトヘッドとラッセルの命題論理の文法を使って定式化した。Mally の記法では、論理定数 U と ∩、単項作用素 !、二項作用素 f と ∞ が使われ、以下のような意味を持つ。 !A = A であるべきだ A f B = A は B を必要とする A ∞ B = A と B は互いを必要とする U = 無条件に義務的である ∩ = 無条件に禁じられている また、f、∞、∩ は以下のように定義された。 (Def. f.) A f B = A → !B (Def. ∞.) A ∞ B = (A f B) & (B f A) (Def. ∩.) ∩ = ¬U Mally は5つの形式的でない原則を提案した。 A が B を必要とし、B ならば C である場合、A は C を必要とする。 A が B を必要とし、A ならば C である場合、A は B と C を必要とする。 「A が B を必要とする」とは、「A ならば B である」が義務的である場合だけを意味する。 無条件に義務的であるなら、義務的である。 無条件に義務的であることは、自身の否定を必要としない。 彼はこれらの原則を公理として以下のように定式化した。 I. ((A f B) & (B → C)) → (A f C) II. ((A f B) & (A f C)) → (A f (B & C)) III. (A f B) ↔ !(A → B) IV. ∃U !U V. ¬(U f ∩) これら公理から Mally は 35 の定理を導出したが、その多くは Mally が認めているように奇妙なものとなった。カール・メンガーは定理として !A ↔ A (「A が真である」と「Aであるべき」が同値)が導かれることを示し、! の導入に問題があるとした。メンガー以降、Mally の体系は哲学者からは見向きもされなくなった。Gert Lokhorst は Mally の35の定理とメンガーの定理の証明をスタンフォード哲学百科事典に Mally's Deontic Logic として列挙した。
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