グラフキーとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > グラフキーの意味・解説 

グラフキー

(GRPH から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/22 13:24 UTC 版)

グラフキーとは、NECPC-8000シリーズPC-8800シリーズPC-9800シリーズPC-9821シリーズMSXシャープMZシリーズX1シリーズ富士通FM-8FM-7シリーズFM-11シリーズなど、主に1970 - 1980年代に発売された日本製パーソナルコンピュータのキーボードにあった、GRAPHまたはGRPHと刻印されたキーである。

スタンドアロンBASIC環境下で、 JIS C 6220 (いわゆるANKコード)の未定義領域に設定された「グラフィックキャラクタ」と呼ばれる特殊文字を、キーボードから直接入力するために用意されたキーである。各メーカーによる独自拡張であり、メーカーや機種によって仕様は異なる。

ここではそのキーと、文字のグラフィックキャラクタについても扱う。

概要

PC-9800シリーズのキーボードでは、スペースキーの左側から2番目の位置にGRAPHキーが配置されている
MSXでは、スペースキーの左側にGRAPHキーが配置されている(MSX2+ Panasonic FS-A1WSX)

1970年代から1980年代初頭にかけての当時の一般的なコンピュータで採用されていた文字コードであるASCII(7ビット、全128文字)は、英数字など限られた文字しか表示できなかった。ASCIIの拡張版である JIS C 6220 (1987年に「JIS X 0201」に改称)では、ASCIIを8ビットに拡張し(全256文字)、レジでレシートを発行する時などに必要な円記号「¥」を収録、さらに最上位ビット(MSB)が1の区画に「片仮名用図形文字集合」としてカタカナを収録することで日本語が利用可能となったが、やはりそれだけの文字では実用に難があった。

そこで、JIS C 6220の「片仮名用図形文字集合」の未定義領域(0x80 - 0x9F および 0xE0 - 0xFE)に、表などを書くための罫線素片、「円」の漢字、その他の漢字や記号、などを含ませることで、全256文字という枠内で何とか実用性を確保しようとした。それらの文字はグラフィックキャラクタ(略して「グラフ」)と呼ばれた。「グラフ」の入力方法として用意されたのが「グラフキー」である。

NEC PC-8001 の文字セット。上から5段目と8段目がグラフィックキャラクタ。

PC-8001以後のNECのパソコンでは、これらの文字を、キャラクタROMの0x80 - 0x9F および 0xE0 - 0xF7に配置した(計56文字)。なお、Shift_JISは第1バイトに同じ未定義領域を使用しているため、グラフィックキャラクタと混在させることはできない[1][2]

富士通FM-8/7/11 シリーズでは、0x80 - 0x9F および 0xE0 - 0xFE の63文字がグラフィックキャラクタに当てられていた[3]

MSX2では、未定義領域のうち 0x86 - 0x9F と 0xE0 - 0xFD をひらがな、 0x80 - 0x85 の6文字をスート(♠♥♣♦)と丸印(○●)に当てた。これとは別に 0x41 - 0x5F の31文字にグラフィックキャラクタコードが割り振られており、これらはグラフィックキャラクタヘッダ(0x01)に続けて出力することで表示することができた[4]

1980年代後半になると、JIS第2水準漢字まで収録した漢字ROM日本語入力システム(かな漢字変換システム)を搭載したパソコンが普及し、わざわざ「グラフ」を使わなくても漢字や記号を入力することが可能となった。そのため、グラフキーを使うことはなくなった。[要検証]

グラフキーは、「グラフ」を入力する意味を無くした後も、互換性確保の為に1990年代に展開されたPC-9821シリーズでもキーボードに搭載され続けた。当時は既にWindows時代であり、PC/AT互換機用ソフトウェアの移植などで、Altキーの代わりに用いられた(文字コードのMSBを1にする、という機能としてはほぼ同等のキーである)。

入力できた文字

ブロック要素

▁▂▃▄▅▆▇█▏▎▍▌▋▊▉▔▕
[5]

罫線素片

┼┴┬┤├─│┌┐└┘╭╮╰╯═╞╡

三角

◢◣◥◤

スート

♠♦♥♣

●○

斜線

╱╲╳

漢字

円年月日時分秒

MSXでは以下の文字も入力可能

火水木金土百千万大中小π

各社製品

脚注

  1. ^ 『続 PC110番 NECPC-9800シリーズ編』ラジオ技術社〈実践パソコンQ&A集〉、1985年8月10日、31頁。doi:10.11501/12629521 
  2. ^ 『新 PC110番 NECPC-8800シリーズ編』ラジオ技術社〈実践パソコンQ&A集〉、1987年7月1日、85-87頁。doi:10.11501/12629506 
  3. ^ 富士通株式会社『FMシリーズ FM-7/8/11 F-BASIC活用事典(FM-11 F-BASIC文法書)』誠文堂新光社、1983年5月2日、付録-5頁。doi:10.11501/12631854 
  4. ^ 『MSX2テクニカル・データブック』アスキー、1986年4月5日、408-410頁。doi:10.11501/12630363ISBN 4-87148-194-8 
  5. ^ MS ゴシックとMS 明朝だと4つ目の文字の高さが正しくない

関連項目

出典




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「グラフキー」の関連用語

グラフキーのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



グラフキーのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのグラフキー (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS