Gタンパク質αサブユニットとは? わかりやすく解説

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Gタンパク質αサブユニット


Gタンパク質αサブユニット

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/19 16:10 UTC 版)

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G-alpha
Gtα/GiαキメラとGtβγサブユニットからなるヘテロ三量体複合体
識別子
略号 G-alpha
Pfam PF00503
Pfam clan CL0023
InterPro IPR001019
SCOP 1gia
SUPERFAMILY 1gia
CDD cd00066
利用可能な蛋白質構造:
Pfam structures
PDB RCSB PDB; PDBe; PDBj
PDBsum structure summary
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Gタンパク質αサブユニット: Gα subunit)は、膜結合型ヘテロ三量体Gタンパク質の3つのサブユニットのうちの1つである[1]

背景

Gタンパク質とその受容体GPCR)は、哺乳類細胞で最も広くみられるシグナル伝達システムの1つを構成し、知覚、細胞成長やホルモン調節など多様なシステムを調節する[2]。細胞表面では、ホルモンや神経伝達物質などのリガンドがGPCRに結合することで受容体のコンフォメーション変化が引き起こされ、膜の細胞内側で結合しているGタンパク質が活性化される。活性化された受容体はGタンパク質αサブユニットに結合したGDPGTPへの交換を促進する。GTPの結合はαサブユニットのスイッチ領域のコンフォメーションを変化させ、それによって受容体からの不活性な三量体Gタンパク質の放出と、活性型(GTP結合型)αサブユニットとβγ複合体英語版への解離が可能となる。αサブユニットとβγ二量体は、下流の異なるエフェクター分子(アデニル酸シクラーゼホスホジエステラーゼホスホリパーゼCイオンチャネルなど)の活性化を行う。こうしたエフェクターは、cAMPジアシルグリセロールナトリウムイオンやカルシウムイオンなどのセカンドメッセンジャーの細胞内濃度を調節し、最終的には遺伝子転写の調節を介して生理的応答を引き起こす。この応答はαサブユニットに結合したGTPのGDPへの加水分解によって完結し、αサブユニットとβγサブユニットが再結合して受容体に結合することでシグナルは終結する[3]。Gタンパク質シグナルの長さはGTP結合型αサブユニットの持続期間によって制御されており、RGSタンパク質英語版(regulator of G protein signaling)や共有結合修飾によって調節されることもある[4]

形態

Gタンパク質の各サブユニットにはいくつかのアイソフォームが存在し、その多くにはスプライスバリアントが存在する。これらが共に結合し、数百種類の組み合わせのGタンパク質が形成される。ヘテロ三量体Gタンパク質のサブユニットの組み合わせは、どの受容体に結合するかに影響するだけでなく、下流のどの標的が影響を受けるかにも関係しており、特定の外部刺激に対して特定の生理的過程を標的化する手段となっている[5][6]。Gタンパク質の複数のサブユニットには脂質修飾が施されており、これらは細胞膜への標的化とタンパク質間相互作用に寄与している。

Gタンパク質αサブユニットは弱いGTPアーゼとして作用する。Gタンパク質の分類はαサブユニットの配列と機能に基づいて定義されており、哺乳類ではGsGqGiG12/13などいくつかのサブタイプに分類され、菌類や植物のクラスも存在する。αサブユニットはGTP結合ドメインとヘリカル挿入ドメイン(helical insertion domain、InterPro英語版IPR011025)の2つのドメインから構成される。GTP結合ドメインはRas低分子量GTPアーゼ相同であり、活性化時にコンフォメーションが変化するスイッチ領域I、IIを持つ。スイッチ領域は、グアニンヌクレオチド感受性のコンフォメーションをとる、αヘリックスをつなぐループ領域である。ヘリカル挿入ドメインはGTP結合ドメインのスイッチ領域Iの前に挿入されており、ヘテロ三量体型Gタンパク質に特有である。このヘリカル挿入ドメインはGTP結合ドメインとの相互作用面にグアニンヌクレオチドを封じ込める機能を持ち、ヌクレオチドの解離にはこのドメインの移動が必要である。

出典

  1. ^ “G protein signaling: insights from new structures”. Sci. STKE 2004 (218): re3. (February 2004). doi:10.1126/stke.2182004re3. PMID 14762218. 
  2. ^ “G protein activation by G protein coupled receptors: ternary complex formation or catalyzed reaction?”. Biochem. Pharmacol. 68 (5): 799–806. (September 2004). doi:10.1016/j.bcp.2004.05.044. PMID 15294442. 
  3. ^ “Biochemistry of transmembrane signaling mediated by trimeric G proteins”. Physiol Res 53 Suppl 1: S141–52. (2004). PMID 15119945. 
  4. ^ “Regulation of G proteins by covalent modification”. Oncogene 20 (13): 1643–52. (March 2001). doi:10.1038/sj.onc.1204185. PMID 11313912. 
  5. ^ Hildebrandt JD (August 1997). “Role of subunit diversity in signaling by heterotrimeric G proteins”. Biochem. Pharmacol. 54 (3): 325–39. doi:10.1016/S0006-2952(97)00269-4. PMID 9278091. 
  6. ^ “G protein specificity: traffic direction required”. Cell. Signal. 14 (5): 407–18. (May 2002). doi:10.1016/S0898-6568(01)00259-5. PMID 11882385. 


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