ELF OpenGo
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/08 22:48 UTC 版)
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初版 | v0(2018年5月2日 | )
最新評価版 |
v2
/ 2019年2月13日[2] |
リポジトリ |
github |
プログラミング 言語 | C++、Python、C言語 |
種別 | コンピュータ囲碁 |
ライセンス | BSDライセンス |
公式サイト |
ai |
ELF OpenGo(エルフオープン碁)はFacebook AI Researchチーム(FAIR)が開発したオープンソースのコンピュータ囲碁ソフトウェア[3]。
概要
ELF OpenGoはFacebook AI Researchチーム(FAIR)により開発されたソフトウェア。DeepMindが科学雑誌Natureで発表した「AlphaGo Zero」と「AlphaZero」についての論文[4][5]により作られたオープンソースの囲碁思考エンジン(囲碁AI)[6]。定石や手筋などのヒューリスティクス(経験則)はプログラムに書き込まれず、囲碁の基本的なルールのみがプログラムされている。また、一種類のニューラルネットワークのみを持ち、自己対戦の対局で学習が行われる(AlphaGoはポリシーネットワークとバリューネットワークの2種類で設計されている)。
強化学習には20ブロックx 224フィルターのニューラルネットワークを使用し[6]、2000個のGPUで2週間トレーニングされた。これは、AlphaGo Zeroが使用する20ブロックx 256フィルターよりわずかに小さい(AlphaGo Zeroには40ブロックx 256フィルターのバージョンも存在する)。
Facebookが保有する高い計算資源により、高レベルの棋譜が作られ、それによりニューラルネットワークが強化されている[7][注 1]。AlphaGoの論文と同種のアルゴリズムが使われている[8][9]。
成績
コンピュータ囲碁との対局
Leela Zero
Leela Zeroはオープンソースでニューラルネットワークも公開されている数少ないコンピュータ囲碁ソフトで、コミュニティーによりニューラルネットワークが常時強化されているため、他の囲碁ソフトとの強さの比較がよく行われる。
Facebookによるテスト対局では、ELF OpenGoがLeela Zeroに対して198勝2敗の成績であったとしている(2018年5月時点)[3][注 2]。Leela Zeroの公式サイトでもELF OpenGoとの比較が行なわれている[10]。
CGOS
有志者により、CGOSに登録され、対局が行われている。ELF OpenGoのプログラムがそのままでは動作しなかったこともあり、ELF OpenGoのニューラルネットワークをLeela Zeroの形式に変換したものが使われている(ハッシュ値が62b5417b
的で登録名がLZ_62b541_ELF_1600
)[11]、2018年5月30日 現在[update]、1000対局以上が行われ、イロレーティングが約3940点となっている[12]。
プロ棋士との対局
Facebookは韓国棋院の協力で韓国のトップ棋士との対局を行った。コミ7目半の中国ルールで、ELF OpenGoは秒読み50秒(NVIDIA Tesla V100を使用)、人間側は時間制限なしで、ELFが14戦全勝した[7]。人間の対局者は金志錫、申眞諝、朴永訓、崔哲瀚であった[3]。
打ち筋
プロ棋士の上野愛咲美と大橋拓文はインタビューで「ELF OpenGoは囲碁AIの中でも打ち筋が奇抜で特に2019年2月に公開された『v2』は人間には理解しにくい」と語った[13]。
市販ソフトでの採用
2019年11月29日に発売された『入神の囲碁』にELF OpenGoが搭載されている[14]。入神の囲碁ではELF OpenGoを含め5種類の囲碁思考エンジン(囲碁AI)が搭載されている。
関連項目
- AlphaGo Zero
- Darkforest - FacebookがELF OpenGoの前に開発した囲碁ソフトウェア。
- Leela Zero - ELF OpenGoと同様のAlphaGo Zeroをもとにしたオープンソースのコンピュータ囲碁ソフトで、ELF OpenGoと比較されるために使われる。
- コンピュータ囲碁
脚注
注釈
- ^ 人間と対局者した14局のうちの2局は対局者の要望で名前と棋譜が未公開となっている[7]。
- ^ Leela Zeroのニューラルネットワークは、2018年4月25日の128番目であり、ハッシュ値
158603eb
のものがテスト対局で使われた。
出典
- ^ “pytorch/ELF: ELF: a platform for game research”. 2018年5月7日閲覧。
- ^ “Release pretrained-go-19x19-v2 · pytorch/ELF” (2019年2月13日). 2020年1月10日閲覧。
- ^ a b c “Facebook Open Sources ELF OpenGo” (2018年5月2日). 2018年5月8日閲覧。
- ^ “Mastering the game of Go without human knowledge”. ネイチャー (2017年10月18日). 2018年5月6日閲覧。
- ^ “Mastering Chess and Shogi by Self-Play with a General Reinforcement Learning Algorithm” (2017年12月5日). 2018年5月6日閲覧。
- ^ a b “ELF | Game Research Platform | Facebook AI”. 2018年5月6日閲覧。
- ^ a b c “Releases · pytorch/ELF”. 2018年5月6日閲覧。
- ^ “Releases · gcp/leela-zero”. 2018年5月9日閲覧。
- ^ “Releases · zakki/Ray”. 2018年5月7日閲覧。
- ^ “Leela Zero”. 2018年5月6日閲覧。
- ^ “Crosstable for LZ_62b541_ELF_1600”. 2018年5月7日閲覧。
- ^ “19x19 All Time Ranks”. 2018年5月30日閲覧。
- ^ xTECH(クロステック), 日経. “女流囲碁トップ棋士が語る、「相棒AI」との付き合い方” (日本語). 日経 xTECH(クロステック). 2020年1月10日閲覧。
- ^ Inc, Aetas. “PC用囲碁ソフトの新シリーズ「入神の囲碁」が本日発売。棋力を6級から十段まで実装し,初級者から高段者まで幅広く対局が楽しめる” (日本語). www.4gamer.net. 2019年12月7日閲覧。
外部リンク
ELF OpenGo
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 23:41 UTC 版)
「Leela Zero」の記事における「ELF OpenGo」の解説
「ELF OpenGo」も参照 ELF OpenGoは、AlphaGo ZeroとAlphaZeroの論文をもとにFacebookが実装したソフトウェアで、Facebookは豊富な計算資源を使用し(2000 GPUを2週間使用)、学習結果を公開。Leela Zero開発チームはELF OpenGoの学習データをLeela Zero用に変換した(ハッシュ値が62b5417b)。 Leela Zeroその後、ELF OpenGoの学習データを取り込むことを決め、2018年5月7日に実際に取り込んだ。
※この「ELF OpenGo」の解説は、「Leela Zero」の解説の一部です。
「ELF OpenGo」を含む「Leela Zero」の記事については、「Leela Zero」の概要を参照ください。
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