4次元でのその他の特別な現象
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/28 14:15 UTC 版)
「低次元トポロジー」の記事における「4次元でのその他の特別な現象」の解説
多くとも次元が 3 の低次元における方法により証明することのでき、少なくとも次元 5 以上の完全に高い次元の方法により証明できる多様体の基本定理がいくつかあるが、次元 4 でのみ、成立しない定理がある。これらの例をいくつか挙げる。 次元 4 よりも大きな次元で、カービー・ジーベンマン不変量は PL構造の存在への障害を与える。言い換えると、コンパクトな位相多様体は PL構造を持つことと、 H4(M,Z/2Z) の中のカービー・ジーベンマン不変量が 0 となることとは同値である。次元 3 やそれ以下の次元では、すべての位相多様体は、本質的に一意な PL構造を持つ。次元 4 では、カービー・ジーベンマン不変量は 0 であるが PL構造を持たない多くの例がある。 4 以外の次元では、コンパクトな位相多様体は有限個の異なる PL構造や滑らかな構造しかもたない。4次元では、コンパクトな多様体は可算個の無限個の微分同相でない滑らかな構造を持つことができる。 次元 4 は、Rn が異種可微分構造を持つことのできる唯一の次元である。R4 は非可算個の異種可微分構造をもつ。異種 R4(英語版)を参照。 滑らかなポアンカレ予想の解は、4 以外の次元ではすべて知られている(少なくとも次元 7 では正しくない、異種球面(英語版)を参照)。PL多様体(英語版)は 4 を除くすべての次元で証明されているが、4次元では正しいか否か分かっていない(4次元での滑らかなポアンカレ予想と同値である)。 滑らかな h-コボルディズム定理(英語版)は、同境(cobordant)(コボルダント)でもなく境界が 4次元でもない場合には、コボルディズムは保存される。コボルディズムの境界が次元 4 であると、この結果は成立しない(ドナルドソンにより示された)。コボルディズムが次元 4 であるとき、h-コボルディズム定理が成立するかどうかは未解決である。 4次元以外の次元の位相多様体は、ハンドル体分解を持つ。次元 4 の多様体がハンドル分解を持つことと、滑らかな多様体であることとは同値である。 すべての単体複体に同相でない 4次元位相多様体が存在する。少なくとも次元 5 では、単体複体と同相でない位相多様体の存在は、未解決問題である。2013年段階では、シプリアン・マノレスク(Ciprian Manolescu)がArXivへプレプリントを投稿して、次元が 5 に等しいか大きい各々の次元で単体複体に同相でない多様体が存在すると主張している。
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