バッハ:2つの主題による幻想曲 ト短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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バッハ:2つの主題による幻想曲 ト短調 | Fantasie "duobus subiectis" g-Moll BWV 917 | 作曲年: 1704-07年 出版年: 1866-67年 初版出版地/出版社: Peters |
作品解説
《2つの主題による幻想曲 Fantasie "duobus subiectis"》のタイトルはヨハン・クリストフ・バッハの筆写譜に見られる。ここでいう「幻想曲」とは対位法的な内容を指す。2つの主題とあるが、実際には、半音階を含む4度下行(冒頭ではアルト)と、跳躍と掛留による旋律(冒頭ではバス)、さらに回音を連ねた8分音符による対位主題(冒頭ではソプラノ)の3つがある。ラテン語のタイトルが示す「2つ目」の主題とは、あるいはこの対位主題のことかもしれない。いずれにせよ、このように互いに性質の異なる主題を組み合わせる手法はバッハの対位法楽曲の極意である。
最後まで厳格な四声を保つが、テクスチュアは簡明で、優美さを失わない。曲の短さやラテン語のタイトルからして、対位法の習作あるいは教程とみなされていたと思われるが、規模や体裁からのみこの作品を判断してはならない。選び抜かれ、極限まで削ぎ落とされた音だけを用いた佳作である。
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