1976年の全日本ロードレース選手権とは? わかりやすく解説

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1976年の全日本ロードレース選手権

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/10 17:33 UTC 版)

1976年の全日本ロードレース選手権
前年: 1975 翌年: 1977

1976年の全日本ロードレース選手権 (1976ねん の ぜんにほんロードレースせんしゅけん) は、1976年3月7日決勝の鈴鹿2&4レース大会で開幕し[1]、同年10月10日第13回日本グランプリロードレース大会鈴鹿)で閉幕した全10戦による1976年シーズンの全日本ロードレース選手権である。

1976年シーズン

本シーズンより、底辺の拡大を目指しライセンス区分の呼称が変更され、これまでの「セニア」「エキスパート・ジュニア」を統合して最上級区分「エキスパート」に変更、トップレベルから順にエキスパート > ジュニア > ノービス というピラミッド構成となった。メーカーワークスマシンが揃うフォーミュラ・リブレ部門(ポイント対象外)はエキスパートのみが参戦資格を持つ[2]

エキスパート350ccクラスの設置

また、これまで最上級区分ではクラス未設置だった350ccクラスが設置された。レース開催形態としては350ccと750ccは混走で、それぞれ参戦クラスごとの順位に対してポイントが与えられる(最上級区分では前年度まで350ccで参戦した場合、750ccクラスのポイント対象となっていた)。エキスパート250ccクラスも新設されここに混走するが、参戦台数が規定以下の場合はクラス不成立となる。エキスパートに350と250を新設した意図は、ジュニアからの昇格者がそのままの車両で出走できるため、プライベート参戦者の負担が軽減できるとの狙いがあったが、各クラス単独開催できる台数にならない場合は250/350/750の混合レースで開催せざるを得ないというこれまでと変わらぬ課題もあった[3]

ワークスマシンのFL参戦

エキスパート750ccクラスは、オイルショックの余波でヤマハ、スズキが海外レースワークス活動を休止した影響で[4]、両メーカーの国内フォーミュラリブレ参戦(賞典外)も縮小された。カワサキワークスは開幕戦に姿を見せ、前年参戦したレース連戦連勝したライムグリーン旋風を今年も継続するかと思われた。開幕戦でカワサキは清原明彦に国内初登場となるKR250を託し参戦、第2戦筑波では優勝を果たしたが、これを最後にカワサキもワークス車参戦を一旦休止してしまった。

スズキはシーズン前に契約ライダーの安良岡健・荘利光とのワークス契約を打ち切るなど、本年は全日本ロードレースでの活動を休止すると思われたが、第2戦筑波にRG500を社員ライダー・岩崎勝のライディングで参戦させ、清原に次ぐ2位でチェッカーを受けRG500国内デビューを飾った[5]。安良岡もRG500を持ち込みプライベート体制で参戦、RGの国内初優勝を奪った。安良岡のRGは岩崎のRGとは違い、ほぼ市販そのままの状態であった[6]。鈴鹿200マイルでも岩崎が完勝、WGP500で旋風を起こしたスズキ・RG500はポイント対象外とはいえ全日本選手権でもその速さを発揮した。ヤマハはTZ750で参戦した河崎裕之が第3戦、第4戦で2勝を挙げ、第6戦菅生では、全日本選手権に初登場となったYZR750を操る高井幾次郎が独走優勝、最終戦日本GPでも高井は独走優勝しワークスマシンの高性能を発揮した[7]

最終戦日本GPは雨となったが、カワサキがワークスKRを持ち込みこれを駆る和田正宏阿部孝夫がレースを引っ張った。そのままカワサキ勢が制すと思われた展開だったがヤマハ・TZ250の毛利良一が猛追を続け逆転勝利を見せた[8]

競技人口の増加したエントリークラスでの試みとして、第7戦鈴鹿200マイル大会でのノービス90ccクラスでは鈴鹿のフルコースではなく、S字セクション終了後にショートカットする「東コース」を周回するレースが初めて開催され、レース総距離はフルコース開催時と変えずに周回数を多くする形で開催された。

エキスパートのシリーズチャンピオン争いでは、250ccと750ccクラスでは1位の獲得ポイントが30点以下だったため、規定によりチャンピオン該当者なしとなった[9]

スケジュールおよび勝者

Rd. 決勝日 開催イベント 750cc 優勝 350cc 優勝 250cc 優勝 125cc 優勝
1 3月7日 全日本選手権 鈴鹿2&4レース大会 木山賢悟 浅見貞男 張間利治
2 4月18日 全日本選手権 筑波ロードレース大会 清原明彦 根本健 渡辺勝雄
3 5月2日 全日本選手権 鈴鹿ロードレース大会 河崎裕之 毛利良一 飯田浩之
4 6月13日 全日本選手権 鈴鹿ロードレース大会 河崎裕之 佐藤順造 上田公次
5 7月4日 全日本選手権 筑波ロードレース大会 安良岡健 福井正 飯田浩之
6 7月18日 全日本選手権 菅生ロードレース大会 高井幾次郎 石井康夫* 外谷悦男
7 8月8日 全日本選手権 鈴鹿200マイルレース大会 岩崎勝 毛利良一* 上田公次
8 9月12日 全日本選手権 菅生ロードレース大会 飯田浩之
9 9月26日 全日本選手権 筑波ロードレース大会 根本健 飯田浩之
10 10月10日 第13回 日本グランプリロードレース大会(鈴鹿) 高井幾次郎 阪本裕介 毛利良一 上田公次
チャンピオン 該当者なし 佐藤順造 該当者なし 飯田浩之
  • 750cc,250cc,125ccクラスで混走したフォーミュラ・リブレ (FL)は全日本選手権ポイント対象外。
  • 350ccクラスは750ccクラスと混走、*印の勝者は単独レースでの優勝ではなく、混走レースでのクラス優勝者。

ポイントランキング

ポイントシステム:
順位 1位 2位 3位 4位 5位 6位 7位 8位 9位 10位
ポイント 15 12 10 8 6 5 4 3 2 1
  • 上位5戦分の獲得ポイント数で争われる有効ポイント制
  • 最終戦・日本GPでは、ボーナスポイントとして入賞者に従来のポイントに加えて3ポイントが与えられる。
  • 最終戦終了後に有効獲得ポイント1位であっても、そのポイント数が30点未満の者はチャンピオンと認定されずランキング2位となり、以下の順位も繰り下げされる。本年は750ccと250cc両クラスにこの規定が適用された[10]

750cc

順位 No. ライダー 使用車両 1
SUZ
2
TSU
3
SUZ
4
SUZ
5
TSU
6
SUG
7
SUZ
8
SUG
9
TSU
10
SUZ
ポイント
1 該当なし -
2 18 高井幾次郎 ヤマハ 1 1 18
3 109 小島英俊 ホンダ 15
4 金谷秀夫 ヤマハ 2 15
5 和田正宏 カワサキ 3 13
6 木山賢悟 ホンダ 1 12
7 阿部孝夫 カワサキ 4 11
8 徳野政樹 カワサキ 10
全日本選手権ポイント非対象
- 114 岩崎勝 スズキ・RG500 2 1 -
- 22 安良岡健 スズキ・RG500 1 Ret -
- 清原明彦 カワサキ・KR750 1 -
- 58 河崎裕之 ヤマハ・TZ750 1 1 -
- 3 浅見貞男 ヤマハ・TZ750 2 -

350cc

関連項目

脚注

  1. ^ 「'76MFJスポーツカレンダー 走る楽しさ 見る楽しさを一人でも多くの人に」『ライディング No.81』MFJ日本モーターサイクルスポーツ協会、1976年2月25日、6-9頁。
  2. ^ 「'76シーズンにかけるトップライダー」『ライディング No.81』MFJ日本モーターサイクルスポーツ協会、1976年2月25日、22-23頁。
  3. ^ 「'76ロードレース S・SJ統合」『ライディング No.80』日本モーターサイクルスポーツ協会、1976年1月1日、23頁。
  4. ^ スズキは市販オートバイの4ストロークエンジン開発に人員を割き、レース部門の人員に余裕がなくなったという事情もあった。
  5. ^ 「第2戦で国内初登場したスズキRG500」『ライディング No.82』MFJ日本モーターサイクルスポーツ協会、1976年3月1日、24頁。
  6. ^ 「第13回日本GP大会特集 エキスパート750cc」『ライディング No.85』日本モーターサイクルスポーツ協会、1976年9月20日、10-11頁。
  7. ^ 「大観衆をわかすスーパーレーサーの疾走 第10戦・第13回日本グランプリロードレース」『ライディング No.86』日本モーターサイクルスポーツ協会、1976年12月25日、28-29頁。
  8. ^ 「新時代へのスタートは切られた!見ごたえ十分なレースから」『ライディング No.88』日本モーターサイクルスポーツ協会、1977年5月20日、20頁。
  9. ^ 「'76全日本選手権ランキング発表」『ライディング No.86』MFJ日本モーターサイクルスポーツ協会、1976年12月25日、39頁上段。
  10. ^ 「全日本選手権ロードレースシリーズランキング」『ライディング No.86』日本モーターサイクルスポーツ協会、1976年12月25日、39頁。



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