黒い瞳 (テレビドラマ)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/14 05:21 UTC 版)
藤堂志津子スペシャル 黒い瞳 |
|
---|---|
ジャンル | 単発ドラマ |
原作 | 藤堂志津子『黒い瞳』 |
脚本 | 木村由加子 |
演出 | 多田健 |
出演者 | 清水美砂 遠山景織子 篠原秀豊 川上たけし |
国・地域 | ![]() |
言語 | 日本語 |
製作 | |
プロデューサー | 林亮一、四宮康雅、安井ひろみ |
撮影地 | 北海道札幌市 |
制作 | 北海道テレビ放送 |
放送 | |
放送チャンネル | テレビ朝日系 |
放送国・地域 | ![]() |
放送期間 | 1999年8月28日 |
放送時間 | 15:00 - 15:55 |
放送枠 | HTBスペシャルドラマ |
放送分 | 55分 |
回数 | 1 |
番組年表 | |
前作 | ここではない何処か |
次作 | ひかりのまち |
『黒い瞳』(くろいひとみ)は、1999年に放映された日本のテレビドラマ。原作は藤堂志津子の短編集『目醒め』に所収されている同名の短編小説[1]。北海道札幌市を舞台として[1]、義姉妹2人の姉妹愛[2]、1人の男性を巡る姉妹2人の葛藤[3]、姉妹の微妙な心理の揺れ動きを心理劇として描いた単発ドラマである[4]。北海道テレビ(HTB)が製作し、1999年8月28日にテレビ朝日系列で「藤堂志津子スペシャル」として全国放映された[4]。主演は清水美砂と遠山景織子[4]。
あらすじ
義姉妹の田所恭子と美奈は、札幌市内のマンションで2人暮しである[5]。姉の恭子は真面目な会社員、妹の美奈は奔放なフリーターと[2]、性格も仕事も対照的であり、心は離れ離れになりがちで、2人は一定の距離を置いて生活している[6]。
恭子には恋人の平野進がいるが、恭子は彼との仲はうまくいっていないことに悩む[7]。美奈もなぜか、恭子と平野の結婚に強く反対し、恭子はそんな美奈の心情を理解できない[7]。
ある日、平野は恭子を、同僚と美奈を交えて4人での食事に誘う[6]。食事の席で、平野は酒に酔って恭子の批判を始める。恭子は不信感と嫉妬から、美奈に部屋を出るように言う。美奈は、実は平野が自分に言い寄っていたことを告白し、恭子のもとを去る[1]。後日、恭子は美奈の部屋で手紙を見つける[1]。
キャスト
スタッフ
製作
HTBが自社制作した5作目のドラマである。HTBのドラマはそれまでは東京都のプロダクションと共同制作であったが、本作より自社制作に移行した[9]。プロデューサーの四宮康雅によれば、ドラマ製作に予算を費やすことに難色を示す声が上がったことが、その理由とされる[10]。地元での制作に拘り、撮影は全編にわたって札幌市内で、1999年6月に10日間にわたって行われた[4]。原作者の藤堂志津子は札幌市在住であり、藤堂もレストランの客役でエキストラとして出演した[3]。
しかし当時のHTBはまだ自社制作への移行後も、脚本家や俳優事務所も捜すことが困難であったため、脚本作りとキャスティングに関しては、東京のフリーランスのドラマプロデューサーに参加を依頼した[10]。四宮康雅は「HTBの人間が脚本やキャティングに参加できないことは間違いであり、自社ドラマを作っていることにはならない」と考えたことで、正しいHTBドラマの製作を試行錯誤した末[10]、翌2000年のドラマ『ひかりのまち』からは脚本やキャティングも含めて、完全に自社制作に移行することとなった[11]。
作品の評価
清水美砂と遠山景織子の2人の演技により、台詞にはない女性の心理が表現されている作風が評価された[7]。視聴率は、土曜日の日中のドラマとしては高い数字を記録した[11]。放映翌年の2000年5月には、照明家にとって最も権威があるとされる第19回日本照明家協会賞において、テレビ部門で努力賞を受賞した[12]。
一方で、「女性の微妙な心理の描写には、1時間ドラマでは短すぎたかもしれない」との声もあった[7]。これについては、演出を担当したHTBのディレクターの多田健が、地方局の予算不足から「予算の関係で1時間ドラマが精いっぱい」と語っていた[13]。
また、「せっかく北海道で作っているのに、地方らしさが全然ない」「東京キー局などと同じ発想で作っていても意味がない」との声もあった[14]。四宮康雅もこの意見を受けて、「地方がドラマに挑んでいる意味が見えなかった」と反省している[15]。このことでHTBでは、次作『ひかりのまち』より、観光地として知られる函館市を舞台にするなど、北海道の地域色を重視したドラマ作りに取り組むこととなった[14]。
脚注
- ^ a b c d 桐山正寿「姉妹が火花を散らす心理劇 藤堂志津子スペシャル「黒い瞳」あす、テレビ朝日」『毎日新聞』毎日新聞社、1999年8月27日、東京夕刊、10面。
- ^ a b 「清水美砂と遠山景織子 テレビ朝日系ドラマ「黒い瞳」姉妹役で共演」『日刊スポーツ』日刊スポーツ新聞社、1999年7月29日、26面。
- ^ a b 「夏の涼風が陰の主役? ドラマ、次々道内ロケ 本州から梅雨を逃れて 出演者「住みたいぐらい」」『北海道新聞』北海道新聞社、1999年7月1日、全道夕刊、5面。
- ^ a b c d 「全編札幌ロケの単発ドラマ「藤堂志津子スペシャル」テレビ朝日で28日放送」『読売新聞』読売新聞社、1999年8月18日、東京夕刊、7面。
- ^ “HTBスペシャルドラマシリーズ”. 北海道テレビ放送. 2025年5月17日閲覧。
- ^ a b 「きょうの見どころ ドラマ 藤堂志津子スペシャル「黒い瞳」(QAB=後3・00)」『沖縄タイムス』沖縄タイムス社、1999年8月28日、朝刊、24面。
- ^ a b c d e f g 「放送話題 透明感のある映像 ドラマ「黒い瞳」」『沖縄タイムス』沖縄タイムス社、1999年8月24日、夕刊、6面。
- ^ a b c d “黒い瞳”. テレビドラマデータベース. 2025年5月17日閲覧。
- ^ 「HTB自社制作ドラマ「丘をこえて」美瑛舞台に家族愛描く 主演の伊藤淳史ら熱演」『北海道新聞』北海道新聞社、2001年7月5日、全道夕刊、8面。
- ^ a b c 吉川邦夫「地方発ドラマからテレビ表現の本質を探る 〜地域発ドラマ・パネルディスカッションより〜」(PDF)『放送研究と調査』第62巻第4号、日本放送出版協会、2012年4月、6-7頁、NCID AA11207753、2025年5月17日閲覧。
- ^ a b 「家族の絆描く「夏の約束」こだわり続けて8作目 北海道ドラマ」『産経新聞』産業経済新聞社、2002年8月10日、大阪朝刊、11面。
- ^ 「道産子2人大賞に 日本照明家協会賞」『北海道新聞』北海道新聞社、2000年5月11日、全道朝刊、27面。
- ^ 西村章「カルチャープラス 奮闘、道内発ドラマ 地方色発信したい(2の1)予算やノウハウ不足…高い壁越え」『北海道新聞』北海道新聞社、2007年2月16日、全道夕刊、9面。
- ^ a b 「ふるさと色、全国ネットに 北海道テレビが函館舞台のドラマ制作」『朝日新聞』朝日新聞社、2000年7月22日、東京夕刊、5面。
- ^ 西秀治「「地方発」のドラマ、全国に 北海道テレビが今夏、10作目を放送」『朝日新聞』朝日新聞社、2004年7月6日、東京夕刊、5面。
北海道テレビ放送(HTB) スペシャルドラマ | ||
---|---|---|
前番組 | 番組名 | 次番組 |
ここではない何処か
|
藤堂志津子スペシャル
黒い瞳 |
- 黒い瞳_(テレビドラマ)のページへのリンク